現実と理想の差は思いのほかないようでpart.2
海から陽剣を受け取り、博士のいる書斎に引き返す。
海は考え込んでいるのか動く気配が無かったので放置する。
と言うより、脳内実験を早く実際に行いたくて気にしていなかった。
気持ち足取りが軽く、駆け出しそうな体を落ち着かせつつ書斎に入る。
「博士!剣が届いたので地下の実験室借ります!」
「いいぞ〜あまり無茶しないでくれよ〜君に暴れられるとあんなものあってないようなものだからな。壊されたくない物もあるんだから程々にな」
「それくらいは気を付けますよ。俺の盗撮写真とかは焼却しときますけどね、データもきっちり消しますけど。じゃ!」
「おーう…いや、待て!!なぜ、君の写真がある事を…!!」
言うことだけ言ってすぐさま踵を返した俺は背中越しに慌てながら起き上がる博士にウインクして扉を閉める。
そもそも許可を貰いに来なくてもセキュリティには俺の指紋やら何やらを登録してあるので降りる事はできるが写真などのために来たのだ。
まさか、本当に撮っているとは思わなかったが。
盗撮するくらいなら堂々と撮ればいいのに。
一言もダメなんて言った事がないのに博士は俺の盗撮写真を撮りまくっている。
寝室に入った俺はベットの横の棚にあるベルをある回数鳴らした。
すると、窓とベッドの間の壁がスライドしエレベータが現れる。
乗り込もうとすると海が飛び乗ってきた。
「ちょっと!!何置いてけぼりにしてるのよ!」
「何か考えているみたいだから邪魔しないようにと」
「それでも座れるところくらいまでは案内してよね、おかげで人様の家の中で相方使っちゃったじゃないの」
「この家は大丈夫だよ。博士手製のセキュリティーだし、何より俺の家が警備してるから」
「私会った事無いんだけど降りちゃって平気かな…?」
「まぁ、これに海のことは登録して無いからね俺に着いてくるしか無いよ」
そこを狙ってきたのだと思っていたが、案外普通に追いかけてきただけらしい。
3分と言うエレベーターに乗るにしては長めの直下降が終わると次に斜めへの下降に切り替わる。
「え…まだ降りるの…?」
「降りているけど今はどちらかと言うと実験場に直接向かっている感じかな」
「…どう言うシステムよこれ…これだけでも発表したらお金持ちよ…」
そんなに驚く事だろうか?
切り替わって動くシステムはあるのだから、それにちょこっと工夫すれば誰もが辿り着ける物だとは思うのだが?
と、口にして言うと突っ込まれる未来は見えているので心の内に留めておく。
最近、何かと俺の知識に対してのツッコミが多すぎるからな。
口にしないで丸く収めるようにしていた。
そんな事を考えていたらエレベーターの動きが遅くなり実験室についた。
実験室とは言っているが小さめの体育館ぐらいの広さが用意してある。
「じゃあ、実験するから。海はあまり壁際から動かないようにね」
「いや、この広さで俊くんの実験とか近づきたく無いよ…」
小言をもらって中央に立つ。
陽剣はひとまず床に突き刺しておき、枯月を出す。
ここまでは特に何ら変化は見られない。
次に触れるところだが、ここから少しずつではあるが変化が訪れ始めた。




