問題は解決しても尽きないようで
最近、いろいろなお話を書き始めて混乱するどころか、上手く自分の中で共存していることが不思議でならない作者です笑
家に戻った俊哉は言葉少なに夕飯を済ませ自室に戻っていた。
その様子に家族は気づき、何も言わず普段通りの生活を送らせてくれた。
俺が先ほど使った技は切る相手を認識した時、その相手が今後罪を犯す可能性が無くなったとき、初めてこの技が使える。
この技の発動の基準は俊哉には決められない。
俊哉の持つ伝説級装備の枯月が意思を持っているためそこで判断される。
枯月の真名は罪枯の銀月。
この刀が使用されたのは秘密裏に処刑を行うとき、月が綺麗に見える夜に密室の中に介錯人と罪人の二人きりにして行なっていたこと。
その時、懺悔を聞き、罪人の人としての権利、存在を無くす意味で右手首から先を切り落とすか首を切り落とすかの選択を刀が下すとされその介錯人に選ばれる人は代々、神を憑依することができたとされる。
しかし、介錯人は長く務めることが出来ない。
刀が命を奪うのと同時に介錯人の命もその罪の懺悔に見合う分命を削るためである。
刀の製作人は不明で、銀月が光り輝く月夜に霊樹の根元に刺さっていたと言う。
「あの刀は使用人の命を削るとともに感情すら酷く傷つける…か。」
隼人は一人、晩酌をしながら呟く。
隼人の哀悼は断罪の灼剣、その太陽のように赤く光り輝く刀身から陽剣と言われている。
冬月家に代々受け継がれる装備は枯月と陽剣、不明級の武器である。
俊哉は陽剣にも適性はあった、かなり高く過去最高とされていた隼人ですら凌駕していた。
しかし、さらにそれを上回る枯月への適性があったのだ。
むしろ、それを振るうことが決まっていたかのように。
「アイツが初めて天技を使ったのは幾つだったかな?」
「俊哉が使ったのは10歳よ」
「ん、玲か…そんなに前か」
「あの時は反動のせいかしばらく箸すら持てていなかったのは忘れられないわ」
「あの刀は俺も一度握ったことはあるが、正直二度と振るいたくないと思ったよ」
「私は元々は秋月の家の人間だからその辺りの事情は詳しくはないけれど、あの刀はある意味本当の諸刃の剣よ」
「確かにな身体的にも精神的にも分かりづらいが大きすぎる影響を残すからな…俊哉があの悲しみにまた苛まれているとなると当主の座を明け渡すが早すぎたんじゃないか考えてしまうよな」
実際、俊哉が当主に着いたのは12歳の時。
外から見れば早すぎる交代であった、しかし中から見れば順当であった。
だが、誰よりも俊哉の身近にいた家族や唯人は反対だった。
あくまで実績のみで彼らは判断しているだけで、その責任が彼の存在に見合うかどうかは別なのだ。
実際、家にいる彼らから見れば彼は必要な経験などが不足している。
しかし、この決定を促したのは当の本人である俊哉だった。
「アイツがこれから成長するのが先か刀や責任に食われるのが先かそんな賭けに出なければならない自分が悔しいな」
そう呟く隼人は冬月家の当主としての顔ではなく一人の親としての顔であった。
なかなか、更新頻度が高くないのは他のお話を順番に書いているからなので、もし自分の作品が好きだと思ってくれる方は他の作品も読んでいただけると幸いです。




