始まりの冬
頭の中では玲はショートカットの美人で、隼人はパッと見はイケメンで長身です。
俊哉は……良いとこどりで行こうと思います。
正直、その三人が頭の中で会話していると……イケメンと美人、そのいいとこ取りの息子が仲睦まじく…
悲しくなってきます。
それは、ある日の朝の出来事である。
茶道、弓道、武術の世界で有名である冬月家。
すべてにおいて世界最高峰の水準であるが、1人が秀でているのではなく、家の者達で切磋琢磨している賜物である。個ではなく群で力を発揮するような姿勢である。
あくまで、群での運用に重きを置いているだけで、個の力が弱いわけではない。
その現当主である冬月隼人は、分家の茶道界の次期トップである秋月《しゅうつき》玲を妻に迎え入れて平穏な生活を送っていた。
玲が妊娠してからも大きな問題(隼人目線ではなく)が起きることもなく、何事もなく出産日を迎えたのだが…
出産が終わりしばらくした時、玲は病室で、夫である隼人に手を握ってもらいながら話していた。
「まさか、こんな日に生まれるなんて…良い日なのか悪いのか分からないわね」
「良い日に決まっているだろう!多少、外が騒がしいだけだ。」
12月8日の朝、冬月俊哉が生まれた日でもあり世界にとっては『精霊降り』が起きた日であった。
各地の空が昼間のように明るくなったと思ったら、光を放つ結晶が降り注いだ。
大きさと速さの割には衝撃は小さかったが、全く被害がない訳でもなく周辺の建物が崩壊寸前までボロボロになっている光景が至る所で見られた。
それを、騒がしいで纏めてしまう隼人には、違和感を覚えるが。
ちなみに、後々わかるのだが、この日に生まれた子供は10人いる。
もっと多くの生命が生まれたはずなのだがほとんどが死んでしまった。
「それにしても、この子が生まれてきた時に持っていた、この石はなんなのかしら?」
「医者が触れようとしても、触れられず、仕方なくそのままにしているらしいが…」
玲の横のベットですやすやと寝ている俊哉の手には、後にヴェールと呼ばれる石が握られている。
仄かに発光するそれは時折、強く発光したと思うと別の色に変化してまた、弱まる。
玲と隼人は手に取ることはできるが、たちまち、ただの透き通った石ころに変化してしまう。
同じ現象が外の世界で、各地の空から降ってきた大きな光の結晶でも起きていた。ある者が触れると光が弱まる、または無くなる。またある者が触れると、目が痛くなるほどの光を発したりしていた。
隼人は、職人に頼んで俊哉が持っていた石をネックレスに加工してもらい、ある程度成長するまでは大事に保管していた。
「…この子も何事なく平穏な日々を送って欲しいな…」
隼人は誰に言うでもなく呟いていた。その願いが儚く散ることになるのは、俊哉が5歳になった時のことだ。
とんでいる、時間の間の話は閑話であったり、章の最後にちょろっと書いたりします。




