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巻き込まれて異世界追放  作者: 小泉@趣味の使徒
1章2節 サカッスタの新人冒険者
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7話 冗談ではありません!

 俺たち「破壊者たちの宴パーティー・オブ・カタストロフィ」は不動産屋にいた。一応あの後テストに合格して晴れて冒険者となることができた。首に下げたプレートに記されたランクは一番下の準兵士級だ。

 冒険者は依頼をこなして行くことで準兵士級、兵士級、準騎士級、騎士級、準将軍級、将軍級、準英雄級、英雄級とランクが上がっていく。そう考えるとガヴォンダさんは準将軍級らしいのでかなり上位の冒険者だったのか。瞬殺だったイメージしかないな……。


「みんな、ここはどうかな?」


 おっと、不動産屋に来てたこと忘れてた。えっと何々?俺たちはカタさんが差し出してきた書類に目を通す。


 冒険者の入居者募集!サカッスタ3丁目の宿屋。月額銀貨3枚。


「いいんじゃないですか?見た感じきれいな部屋ですし、銀貨3枚なら全然稼げそうです」

「なら決定でいいかな?」


 俺は異論はない。タイラントさんが言う通り、冒険者ギルドの掲示板にあった依頼は銀貨4枚とかのものが多かったから金銭面は全然余裕だ。となると問題は部屋や食事の質だけど、こっちも許容範囲。文句の付け所がない。


「店主、ここに案内してくれますか?」

「……悪いことは言わない。ここはやめといたほうがいいぜ?」


 店主が言った。


「ここの宿を運営しているやつは自分が認めたやつしか入居させねえんだ」

「ならぁ、認めてもらえばいいじゃない」

「いや、噂だが隣の街から来た将軍級の冒険者ですら入居を断られたって話だ。お前ら登録したばっかの準兵士級だろ?絶対とは言わねえが認めてはもらえねえだろうな」


 カタさんはこっちに顔を向けてきた。意見を聞こうとしているのだ。そして月影が言う。


「拙者は行ってみる価値はあると思う」

「そうだね、すいません。ダメ元で行ってみることにします」

「そ、そうか。そう言うなら別にいいけどよ……」









「ギルド長、これが今日登録したルーキーのステータスです」


 サカッスタギルドの受付嬢ルーナは書類を提出しました。提出した相手は自分の上司、サカッスタギルドのギルド長です。それはそれは、とてもきれいな緑髪をした女性でした。


「うむ。ご苦労じゃったな」


ギルド長はその見た目には合わない、老人のような言葉遣いをしています。


「いえ、仕事ですから。それより、この5人は普通ではありません。私のこの目で見たはずなのに、未だに幻術の類ではないかと疑ってしまうほどの実力です」


 ルーナの困惑も仕方がありません。サカッスタに4人しかいない準将軍級の冒険者であるガヴォンダが瞬殺され、木の的を壊すだけなのになぜか訓練場が大破するようなルーキーは今までいなかったのですから。


「そうか。お主がそこまで言うか。そうだな……ランクで言うとどのくらいだ?騎士級ぐらいか?」

「いえ、英雄級をはるかに超えるかと」

「ははは。お主も冗談を言うのか」

「冗談ではありません!」


 机が大きな音を立てました。ルーナが叩いたからです。


「――失礼しました。ですが、彼らはその程度の異常な存在だと理解してください」

「……うむ。にわかには信じがたいが、お主がそこまで言うなら信じるとしよう」

「では、失礼します」


 ルーナは退室しました。


「さて、ルーナがそこまで言う者たちのステータス、見ておくとするか」


 ギルド長は一番上にあった焼いたミントアイスクリームのようなイケメンの書類を読みはじめました。


「ほお。なかなかのイケメンではないか。して、レベルは……え?」


 書類が床にパタパタと落ちる音がしました。そして、ギルド長は目を見開いて言いました。


「……90、じゃと!?」


 ――そして、嗤いました。


「まさか、儂ですら届かぬ境地に至った者がいるとはな。ふふふふふ、はははははははははは!!」


 身を捩らせて嗤うギルド長の髪が揺れて、今まで見えていなかったものが見えました。人間の耳よりかなり長いそれが見えました。

 英雄級冒険者 森精族エルフの賢者、フィリア。それが現役時代の彼女の通り名でした。

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