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巻き込まれて異世界追放  作者: 小泉@趣味の使徒
1章1節 巻き込まれて異世界追放
2/14

2話 マジか・・・

「うわぁぁぁぁっぁああああああああああ!!!!」


 前回のあらすじぃ!

 俺ことアポカリプス・リューダ―は人間のフリをして同じギルドに入っていた天使、コラップス・タイラントさんが天国のルールを破って会いに来た!

 タイラントさんは罰則として異世界に追放される!巻き添えで俺(他のギルドメンバーもらしい)異世界へ!


 そんな俺がなんで空から降って来ているのかわかるかい?俺にもわからん。

 でも、一つだけわかることがある。


 このまま落ちると、死ぬ!


「リューダ―さーん」


 声がした。首をその方向に曲げると天使がいた。当然飛んでる。


「タイラントさん!その翼貸せ!」

「ちょっと引っ張らないでください!取れちゃいます!」

「ならどうにかして!このままじゃ死ぬ!」

「〈飛行フライ〉を使ってください」

「はあ?」


 なにを言ってるんだこの天使は。ああそうか。人間が魔法を使えないってことを知らないのか。自分ができることは他人もできると思いこむ。上位の存在の典型的なパターンだな。

 ああ、楽しい人生だった。天使のせいで死ぬなんて、思ってはいなかったけど……。


「――ゲームの魔法はここではそのまま使えます!早く〈飛行フライ〉を!」


 俺はタイラントさんの気迫に負け、ゲーム内のアバターの真似をする。確か、こんなんだったはず……。


「〈飛行フライ〉!」


 唱えると体が青く光り、落下から開放された。ただし慣性の法則は適用された。急な停止で下に引っ張られるように感じた。


「うおえ」

「あの、大丈夫ですか」


 大丈夫に見えるのか?体中の血液が一気に足に行ったのだ。めまいがする。


「それじゃあ、降りますよ、真下に他のギルドメンバーもいるので」

「え、俺顔出しNGだよ」

「あんたはYouTuberか。大丈夫ですよ、見た目はアバターです」


 鏡を差し出されたので覗き込む。白い髪を後ろでまとめただけの引きこもりのようなポニーテールもどきに真紅の瞳。そして魔法神龍の毛皮でできた星30(最高レアリティ)アイテム「魔法神龍の霊衣」。紛れもないアポカリプス・リューダーだった。


「おお、マジか!」


 途端に気力が湧いてきた。アポカリプス・リューダ―になったのなら何でもできる気がする。うおおおおおおおお!!え?近所迷惑?上空で?


「大丈夫そうですね。早く皆さんのところ行きますよ」

「おうよ!〈加速ブースト〉ォ!」








 ヒュ――――――――――ドカン。着地成功。


「お、リューダ―が来たね」


 イケメンがいた。こいつこそ「破壊者たちの宴パーティー・オブ・カストロフィ」のギルドマスター、暗黒騎士のジョブを持つ「焼いたミントアイスクリームのようなイケメン」。その狂戦士顔負けの戦闘からついた通り名が「破壊カタストロフィ」。俺たちの頼れるイケメンだ。


「マジですか。来なければよかったのにぃ」

「何言ってんだ八幡ましろ。プレイヤーキルできたら百回キルしてやる」

「ちょっと~。喧嘩は良くないですよ」

「「タイラントさんは黙ってて!!」」


 そうなのだ。異世界追放なんてどうでもいい。今日こそはこの雌豚と決着をつけてやる。邪魔はさせぬ。


「おいおいおい。流石に異世界追放の原因を放置はないよ。ねえタイラント」

「はい!」


 むう。カタさんのようなイケメンの願いとあれば俺のようなフツメンは従うしかない。おとなしく原因であるあの天使を……ってあれ?天使がいない。


「おーい、こっちですよ」


 手を振っているのは天使ではなくて神官服を着たゲーム内のタイラントさんだった。いつの間に着替えたんだよ。くう、いくら(どこがとは言わないが)小さいとはいえ、女子の着替えを見過ごすとは……不覚っ。


「とりあえずこの世界の説明をしますよー。ミントさんもましろさんもリューダ―さんも…ってあれ?月影さんがいませんね」

「月影ならそこだよ」


 一同がカタさんの指した方向を見る。月影さんはいない。


「あ――!姿隠してるんでしょぉ!見せなさい!」


 雌豚が言った。すると空間が歪み、忍者が姿を見せた。


「――〈隠密亜空間〉か」


 それは忍びの使う魔法のうち、最上位に位置する魔法の一つだ。ゲームでは亜空間に姿を隠す、ほぼ無敵の隠密魔法だった。


「忍びの魔法は全て使えた」

「月影には魔法がどこまで使えるかを確認してもらってたんだ」

「殿の言うとおり」


 殿、ね。ロープレは異世界でもつづけるのか。随分とご自分の設定がお好きなようで。


「それじゃあ月影さんもいたので説明しますね

 ここは天使業界ではグランディールと呼ばれる世界です。以上!」


 全員(タイラントさん除く)がポカンとしていた。え?それだけ?

 するとタイラントさんは頬を染め、指と指をちょんちょん突き合わせる。そして言った。


「恥ずかしながら、私は地球担当だったもので、この世界についてはあんまり知らないのですよ」

「「「マジか……」」」


 役に立たないなこの天使。定番はもっと詳しく教えてくれるもんだろうに……。

 額を抑えていたカタさんが声を発する。キャーイケメンの方が人類を超えた存在より役に立つ!つまり天使はイケメン以下!いや、それじゃあ天使に失礼だ。タイラントさんはイケメン以下!


「とりあえず、僕が落ちてくる時に街が見えた。そこに行こうか」

「そうするか」

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