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89.必殺技・その4

https://ncode.syosetu.com/n7580fb/35/

34.イノシシのポーズ

にイノシシのポーズの挿絵追加。

 ユフリーとのバトルにも勝利して、いよいよ4連戦のファイナルバトルのシリルとの手合わせを残すのみになったニール。

 しかし、その前にニールはユフリーに対して1つ質問があった。

「ユフリー」

「何?」

「休憩中だし、シリルとバトルする前に聞いておきたい事があるんだが」

「私に……?」

 それはずっと忘れていた話である。

「ああ。前に皆の必殺技の話になっただろう。その時にユフリーの必殺技だけまだ教えて貰って無い気がするんだが」


 ニールの言葉に、ユフリーも「……そう言えばそうだったわね」と思い出した様だ。

「だからもし良ければ君の必殺技も教えて欲しいんだが。それに、さっきの俺とのバトルの時はその必殺技っぽいのを使っていなかった気がするし」

「そうね。貴方の攻めが凄くてなかなか繰り出せなかったわ。それじゃ私の必殺技を見せるわね」

 ユフリーの必殺は2つあるらしい。

「ナイフだけじゃなくてロングソードとか、後はハルバードでも使う人が居るんだけど、ゴールデンツインストームとクリムゾンカイザーアサルトが私の持つ必殺技ね」

「また御大層な名前だな。それで、肝心の技の中身はどう言うものなんだ?」

「それじゃせっかくだからここに居る皆さんに見せるわね」


 大層な名前に負けない位の威力なり効果なりを持っていて欲しいと思うニールに対し、ユフリーはナイフを構えて距離を大きく取る。

「まずはゴールデンツインストームから行くわね。これは武器に魔力を乗せ、振るう勢いと返す勢いで地面に衝撃波を滑らせるのよ」

 ツイン、と名前に入っているので2回衝撃波を飛ばすらしい。

 それを実際に距離を取ったユフリーに見せて貰う形になったのだが、斜めに飛ばすと言うのでなるべく真正面に立つ様にポジションを考えるニール以下ギャラリーの面々。

「じゃあ行くわよ……それっ!!」

 順手で握ったナイフを横に腕を伸ばして構え、「技のタメ」でおよそ3秒の時間を使ってから横にナイフをまず振るう。


 その瞬間、ナイフの先から衝撃波……と言うよりも風の刃に近いものが、地面からほぼ垂直にシルエットを描きつつ現れて斜めに向かって来る。

「うお……っ!?」

 それは1度で終わらず、ユフリーが振るったナイフを逆に返してもう1つ現れる。

 ユフリーを中心として現れたその衝撃波は、ガリガリと土の地面を抉りながらスーッと滑って行くものの、段々と威力は弱まって行き終いには消えてしまった。

「これでどうかしら?」

「あ、ああ……存分に見させて貰ったよ。でも何処までも衝撃波が続く訳じゃないんだな」

 肉眼でその衝撃波をハッキリと確認したニールに対し、ユフリーは口をへの字にして呟く。

「ええ、まぁ……体内の魔力には限りがあるからね。多く魔力を乗せれば乗せる程遠くまで届くし威力もアップするんだけど、今のは最低限の魔力しか乗せていないからね」

 どうやら使うエネルギーの大小で色々と変わるらしい。


 その衝撃波の必殺技であるゴールデンツインストームの説明とデモンストレーションが終了し、続いてはクリムゾンカイザーアサルトだ。

「こっちは自分自身に魔力のパワーを掛ける技ね。魔力を使って自分のスピードを上げ、相手に一直線に突進するのよ」

 そう言ってユフリーはナイフをしまい、ニールに対してその場から動かない様に指示を出す。

「今から貴方の目の前まで一気に接近するわ。そこから動かないでね」

「あ、ああ……」

 正面衝突のリスクも考えられるが、そこはユフリーを信じてニールは待機する。

 勿論、咄嗟に逃げられる様に少し身構える事も忘れずに。


「行くわよ!!」

 ユフリーから声が上がり、やはり「タメ」があった次の瞬間。

「うおっ!?」

 さっきと同じリアクションをするニールの目の前、およそ1mの場所にまさに「瞬間移動」の言葉がピッタリの動きで残像を残しながらユフリーの身体が現れた。

「こうやって一気に相手に近づく事が出来るわ」

「凄いもんだな……これも魔力の大小で移動距離が変わったりするのか?」

「そうね。大きければ大きい程その移動距離も長くなるしスピードも速くなるの。ただし欠点もあって、自分が今立っている場所と移動したいと思っている場所の間に障害物があると、そこでぶつかっちゃって移動がストップするだけじゃなく、自分にもダメージがあるのよね。それにあの狭い舞台の上で不用意にこれを使うと、間違って自分が落ちちゃう可能性もあるしね」

「……バックは出来ないのか?」

「出来るけど、後ろが見えない状態で使うのは怖いわよ」


 メリットがあればデメリットもある。

 魔力による必殺技と言うのも、どうやら万能なものでは無いらしいと言うのはニールにも今の説明で分かった。

「こんな感じで私の必殺技の説明は終わりだけど、他に何か聞きたい事はあるかしら?」

「いや、もう結構。今ので良く分かったから大丈夫だ。それに君だけじゃなくて、他にも使える人が居るって言うのも分かったしな」

 特に1つ目のゴールデンツインストームはナイフのみならず、他の武器でも同じ様に使えるとなればその流用性は高いだろう。

 そしてそれを自分の戦いで使用されなくて良かった、とニールは安堵しつつもいよいよ最終戦のシリルとのバトルを始めるべく石舞台に上がった。

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