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85.前準備

https://ncode.syosetu.com/n7580fb/25/

24.魚のポーズ

に魚のポーズの挿絵追加。

 この仲間内同士の手合わせと言う事になった修練場のバトルは、ニールの実力を見極めたいとの修練場の要望で必然的にニールvs他のパーティメンバーの構図が出来上がった。

 つまりバトルは4戦連続の勝ち抜き戦となる訳なのだが、更にニールが不利になる様な事を言い出した1人のパーティメンバーが居た。

「この人の武器を持った時の強さは分からないけど、素手でもかなり強いのよ」

「そうなのか? だったらぜひ素手で戦ってくれ」

 以前、ナイフで奇襲を掛けた時にその凄さを実感したユフリーの余計な一言が切っ掛けとなって、ニールは腰の茶色いベルトにエリアスから貰った別の細くて黒いベルトで引っかけていたハンドメイドの剣……長さから言えばショートソード位のその武器まで何と没収されてしまったので、素手で戦わなければならなくなってしまった。


「余計な事言うなよ……」

 世話になって来た身分とは言え、ニールもこの時ばかりはユフリーに対して憎しみの心しか浮かんで来なかった。

 兼山から教わったKOTOWAZAで言えば、まさに「口は災いの元」である。

 不用意にペラペラと喋ると、それが思わぬトラブルの切っ掛けになるから言葉を十分に選んで発言する事が大切、あるいは言葉を慎むのが大切と言う意味のKOTOWAZAだとか。

 まさにその通りになってしまったじゃないか、と言う悔しい思いでニールの頭の中が埋め尽くされる。


 その一方、彼の耳に入らない様に離れた場所では誰がバトルするのかの順番決めをパーティメンバーによって行われている。

「4人居るから……まずは誰がやる?」

「そうねえ、それじゃ私が最初に行こうかしら」

 真っ先に手を挙げたのは、戦闘が余り得意では無いので後方支援に回る事が多いミネットだった。

 しかし彼女自身は全く戦えないと言う訳では無く、シリルと共にかつては南に存在していたシルヴェン王国の王国騎士団員達とトレーニングをしていた経験を持っている。

 それでも、近接格闘には自信が無いのでもっぱら使うのは弓や回復魔術と言った後方支援用の武器や魔術である。


「それじゃ2番手は……エリアスがやってくれ」

「え、俺が?」

 てっきりもっと後の方になるかと思っていたエリアスだが、シリル曰くこれも作戦らしい。

「ああ。エリアスも余り近接格闘は得意じゃないだろう?」

「そりゃそうだが……ナイフ位は使えるぞ」

 自分は体力の減ったニールを一気に仕留めたいから、もう少し後に回してくれと遠回しにお願いするエリアス。

 しかし、それでもシリルは首を横に振る。

「そうだが、一気に畳み掛けるなら攻撃力の高い俺が有利だろう?」

 結局その一言で、エリアスが第2防衛ラインとして待ち構える事になってしまった。


「じゃあ、3番目は私って事?」

「そうだな。君は彼と1度戦った事があるんだろう?」

「うん、まああるにはあるけどあっさりやられちゃったわよ」

「それでも良いさ。もし負けてもその後には俺が控えるからな」

 流石に4連戦バトルになると、1つ1つが短く終わったとしても体力の消耗が激しくなるから最後にリーダーの自分がケリをつけるのがベストなチョイスだろう、と言うのがシリルの考えらしい。

 修練場の方のリクエストで「実戦を想定したチームでの戦いも見てみたい」と言うものがあったのでこうして真剣にニールとの戦いに向けて作戦を練っていた。


 肝心のバトルフィールドは、ちょっとした学校位の敷地面積を誇るこの大規模な施設の中にある小さな闘技場にて行われる事になった。

 この修練場にやって来る冒険者や傭兵の全員が遺跡を巡っている訳では無く、単純に自分の実力を高めたい者も居ればやる気も無いのに親に無理やり放り込まれた者まで多数である。

 その中で闘技場を利用するのは、帝都で毎年行われている武術大会に向けて実力をつけておきたい修練希望者が大半なのだと言う。

 地球で言えば、イタリアのあの有名なコロッセオの様に円形状のバトルフィールドは修練場の1つとしても利用されているのだが、その中央部分に長方形状の石舞台が用意されている。

 その周りには砂が敷き詰められており、帝都の闘技場もこの形になっているので実戦形式の鍛錬や手合わせが手軽に出来るのだとか。


「それで、ルールはどうする?」

「じゃ、帝都の闘技大会のルールに則ってやるとしましょう」

「……そう言われても分からないな。説明してくれ」

 ニールに頼まれ、鍛錬場の審判員がルールの説明をする。

 まずは相手を殺してしまえば、その時点で殺してしまった加害者の即失格。

 石舞台から相手を落とす……つまりリングアウトの場合はそこで試合終了。落とした選手の勝ち。

 制限時間は1試合15分で、地球のボクシングやK-1の様に判定による勝ち負けもあるらしい。

 ちなみに引き分けは無く、3人の審判員によって決められるので絶対にどちらかが勝つシステムになっている。

 失神で意識を失くした場合も負けになってしまう。

 他には審判がレフェリーストップを掛ける場合もあるので、その場合はストップを掛けられた方がで強制的に敗退させられる。

「分かった。早い話が相手をあの下の砂地に向かって落としたら勝ち。で、例えば俺が意識を無くしたり俺に審判の静止が入ったら俺の負けだな」

「その通りだ。それでは始めようか?」

「ああ、始めてくれ」

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