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63.2つ目の遺跡は?

 貯水施設(?)のドベリンコ遺跡から出た5人は、次の遺跡に向かう為に再び馬車に乗り込んだ。

「場所はもう分かっているのか?」

「ええ。今度も西なんだけど、どっちかって言うと北西ね。ほら……貴方と私が大きく迂回して来た山脈があったでしょ? 貴方があの英雄様に絡まれたって言う」

「ああ、あの鉱山の町が麓にある……ええと……」

 山脈をぐるりと迂回して来たのは記憶に新しいが、肝心の名前がさっぱり思い出せない。

 ユフリーとの会話に詰まってしまうニールを見かねて、横からミネットが口を出して来た。

「ねえ、それってレラルツール山脈の事よね?」

「そうそうそれだ。何か覚え難い名前なんだよ。まぁそれはそうとして、今度の遺跡はまたそのレラルツールって所に向かうのか?」


 ユフリーは真顔で頷く。

「そうよ。そっちの方向に2つ目の遺跡の情報があるわ。名前はレカーン遺跡。ここもさっきの貯水施設と思われる場所だったドベリンコ遺跡と同じく、封印が掛かっているから入って行けないって言われている場所ね」

「またかよ……」

 事前に情報として「入って行けない」と言うのはニールも聞いていたものの、こう改めて聞かされるとまた面倒臭い事態になりそうなのは目に見えて溜め息が漏れてしまう。

「しょうがないでしょ。で……貴方がドベリンコ遺跡の地下2階のあの魔物を倒した事で封印が解けたんじゃないかって考えているの」

「ん?」


 そう言えば封印がどうのこうのって話もあったっけ、と回想するニールだが正直自分は良く分かっていない。

 それでも、自分が考えた事を精一杯の言葉で口に出す。

「え……じゃあもしかしてそこにも魔物が居て、それを倒さないと中の捜索は出来ないって事なのか?」

「そうかも知れないわね。ドベリンコ遺跡だと最奥に辿り着く前に私達はあの水に邪魔されていた訳だけど、前にチラッと聞いた話だと奥に進もうとしても何か見えない壁があってそれで進めなかったって証言もあった……気がするわ」

 結局、ユフリーも正確な情報は掴めていないらしい。


 そんな彼女の話を黙って聞いていた、今はミネットに馬車の御者を任せているエリアスが口を挟んで来た。

「でも結局、次のその遺跡でも封印を何とかしないと調査が進まないって事だろう?」

「そうね。それは仕方無いと思うわ」

「そこに魔物とかが居るって情報は無いのか?」

「さぁ……そこまでは聞いた事が無いわね。そもそも封印が何処まで掛かっているのかってのも不明確だし、それ以上の情報は今の所は無しよ」

「そうか……」

 その2つ目の遺跡に関しての情報を聞けるだけ聞いておこうと思ってニールは質問したのだが、やはり現実はそんなに甘くは無い様だ。


 それでも、遺跡の位置が把握出来ているのであればそれは大きな情報なので何も情報が無いよりマシである。

「それで、そのレカーン遺跡だったか。その遺跡についての場所とかの情報も教えてくれ」

「ええとね……そこはレラルツール山脈の西側に位置している登山道を上って行くの。その山の中に大きな洞窟があるんだけど、そこが遺跡として発見されたって話よ。だけどさっきも話した通りそこにも封印が掛かっていて、まだ途中までしか調査が進んでいないの。しかもそこの遺跡は聞いた情報じゃかなり広いらしくて、調べるのに時間が掛かりそうって学者が話しているらしいわ」

「うーん、そりゃまあ……封印が掛かっているんだったら、その通りまだまだ時間は掛かりそうだけどな」


 そう言いながら、ニールは自分の手元にある自分専用の武器を見つめる。

 あの木箱から回収したロングソードはシリルが持っている。

 ニールが持っているのは、あの地下2階で遭遇した4本の腕を持っている魔物の死骸から回収した2本の棍棒だった。

 センサーシステム(?)を解除した後、やっぱり武器が無いと困ると思いニールは地下2階の魔物の死骸の元へと他の4人を引き連れて向かった。

 そこに残されたままになっていた魔物の死骸のそばに落ちていたあの棍棒を恐る恐る拾い上げてみたが、どうやらこれは魔力が注入されていない様なので、武器として使えると判断。

 恐らくは水の中に沈んでいた物だろうと考えられるが、その詳しい事は5人全員も全く分からない。


 理由はどうであれ、これでニール専用の武器が4本手に入ったのでしばらくはこれで何とかする事に決めた。

「とにかく武器も手に入れたんだし、ここからその遺跡までは大体3日も馬車で進めば着くんだ。それまでゆっくり身体を休めて、途中で何処かの町にも寄って食料を調達したり、遺跡やギルドの連中に関しての新たな情報を手に入れたりしようぜ」

「そうだな……」

 武器がある、と他人から言われるだけでも安心感を覚えるニール。

 結局ポケットに入れっ放しの破片の出番は無かったが、それでもまだ何かに使えるかも知れないのでスマートフォンと一緒に持ち歩いている。

 そのスマートフォンは自分が水に流されてしまった時に水没してもうダメな筈なのだが、地球へ帰ると言う気持ちを忘れない為にこれからも持ち続けておこう、とニールは固く決意した。

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