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39.メイパイヤット終了、そしてマッサージ。

 そうしてパンチを叩き込んだら、右足が前に来ているので左足でさっきの膝蹴りを続けて叩き込んでも良いし、パンチでふらついた相手に更に容赦の無いパンチのラッシュを打ち込んでも良い。

 トレーニングの際はここからまた色々なポーズをやり、大体の場合はストレートキックの後に今度は左手を右肩に当てて右手を前に突き出すパンチのポーズ。

 足は馬のポーズの歩幅、その次に身体を少し起こして右手を一旦移動させて頭の後ろから持って来るヘビのポーズで方向転換。

 方向転換した所で腕は上げずに何時もの耳をガードするポーズをしながら左足を上げ、右回りのターンをして左足を大きく前に出し、右足も大きく後ろに開いて限界ギリギリまで出来るだけの前後開脚。

 そして少し起き上がって前後の足を入れ替えてもう1度開脚をし、起き上がって終了となる。


 こうしてメイパイヤットのトレーニングが終了となるのだが、このメイパイヤットは道場のスペースの問題もあってストレートキックのポーズからターンをして馬のポーズに持ち込み、また元の場所に戻ると言う往復トレーニングを大体3周から5周位する。

 馬のポーズの後はニワトリのキックポーズから入る事が多いものの、そこからイノシシのポーズをしても良いし、やっぱり一旦起き上がってストレートキックのトレーニングを再びチャレンジしても良い。

 とにかくこのメイパイヤットは、一連の連続するポーズでのトレーニングを通してコンビネーションのトレーニングになる。

 それから自分の苦手なポーズや得意なポーズが分かるので、得意な部分を伸ばしたり苦手な部分の克服にも使えるし、連続した動きを繰り返せばそれだけ疲れに慣れる身体を作る事が出来てスタミナもアップする。

 他にも、まずは斜めに身体を向けて後ろの足を曲げてバランスを取った状態から、1歩前に後ろの足を踏み出し、大文字のアルファベットの「D」を意識してストレートキックをし、振り下ろしながらもう一方の足のかかとで身体を素早くターンさせる「ターンキック」と呼ばれるものもある。

 また、ストレートキックとやり方は一緒だが自分の反対の肩目掛けて足を振り上げつつ、顔は蹴った方の足とやや反対側を向いてバランスを取る、空手でもやる様な斜めへのキックもある。


 この様にして、様々なキックと動物のポーズを組み合わせるメイパイヤットのトレーニングが終わり、最後に前後開脚から起き上がったニールは目を閉じて瞑想をする。

(……身体はまだまだ大丈夫そうだな……)

 そうして精神を統一させ、目を開けたニールはユフリーに声を掛けた。

「これが俺の習って来たカラリパヤットの全ての基礎だ」

「じゃあ、全てはこの8つのポーズが色々な動きに繋がるのね」

「そうだ。後は全身にオイルを塗ってマッサージもする。身体の事を全て知り尽くした人がマッサージをする事で、ツボを的確に刺激してその人が持っている本来のパフォーマンスを引き出せる様にするんだ。その治療院が道場の横に併設されていて、カラリパヤットのマスターからマッサージを受けてからトレーニングをする道場が大半なんだ」

「そうなの? じゃあ私は長い時間その馬に乗って来て疲れてるんだけど、今でも出来る?」

 ニールは首を横に振る。

「いいや、今はこの夜で君の身体が良く見えないんで駄目だ。オイルが無いけど、朝になってからならそれなりのものが出来る。2本のロープとそれを引っ掛けて支える場所さえあればだが」

「ロープ……?」

 マッサージにロープなんて必要かしら? と疑問に思うユフリーだが、それなら丁度持ち合わせがあったので朝起きてからマッサージをして貰う事に。


「……ん、ここなら良いか」

 朝食前にニールはユフリーにマッサージを始める。

 その準備として、まずはユフリーから預かったロープを手近な太い木の枝に引っ掛けて、実際にぶら下がってみて折れないかどうかをチェック。

「大丈夫だな。それじゃこの下にうつ伏せで寝てくれ」

「こうかしら?」

 指示された通りに横になるユフリーを下に見る形で、靴を脱いでから木の枝に括り付けた2本のロープをそれぞれ片手て持って身体を支えるニール。

 、本来は裸体にオイルを塗ってマッサージをするのだが、今回はやむを得ず服の上から背中のマッサージに掛かる。


 ロープで自分のバランスを取りながら、ユフリーの背中に足を押し付けて擦る様にマッサージを心掛ける。

 力任せにギュッギュっと押しても効果が無いどころか、マッサージをして貰う方の人物がが身体を痛めてしまう可能性があるので逆効果。

 身体を柔らかく擦り、老廃物の排出を促して身体のパフォーマンスをアップさせるのがこのマッサージの目的である。

「どうだ?」

「あー、なかなか気持ち良いわね」

「なら良かった。本当は君の身体に専用のオイルを塗るんだ。それでもっと効果が上がるんだが、今回は無いから我慢してくれよ」

 本来は部屋の中で腕や足を使ってオイルマッサージをするのだが、まさか大自然の中でこうしてマッサージをする事になるなんて……と思わずニールの顔に苦笑が浮かんだ。

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