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164.え? 必殺技? そんなのありませんけど。

https://ncode.syosetu.com/n1363eo/1/

前作の登場人物紹介にエンヴィルークとアンフェレイアを追加。

 そんなニールに、今度はシリルからの質問が投げ掛けられる。

「俺達6人の必殺技についてはこれまであんたにそれぞれ説明した通りだけど、逆にあんたにも必殺技って無いのか?」

「え? 必殺技? カラリパヤットにはそんなの無いよ」

「無いの!?」

 ニールの返答に真っ先に声を上げたのはエルマン。

 彼だけに留まらず、必殺技が無い事に対して他の6人も驚いているが、ニールは淡々と自分の世界の話を口に出して説明する。

「ああ。そもそも必殺技も俺達の戦いの中では必要が無いと言うか、地味な技の応酬みたいなものだからな。プロレスって言うものとかにはド派手なアクションで一気に勝負を決められる技もあるから、そう言うのがこっちの世界で言う所の必殺技だったりするんだろうが……一種のパフォーマンス的なものもあるからな。それも、色々なテクニックの下積みがあって出来る事だから、基礎からトレーニングしないでいきなりそんな大技を決めようとしても成功しない。それはカラリパヤットもそうだけど、俺は必殺技が無くても戦う術を知っていると個人的には思っているよ」


 必殺技が無くても、カラリパヤットに限らず何でも地道な下積み故のテクニックがあれば割と何とかなったりするものだとニールの自論が展開した所で、改めて今後この帝都でどうするかを決める。

「とにかく、あの地下にある黒い扉の先を見てみたい」

「それはそうだが、問題はどうやってあの扉のロックを解除するかだな」

「あの扉の横に、何かを差し込む様な穴があったからそこに何かを突っ込むんじゃないのかな?」

 ニールの要望にセバクターとエルマンが答えるが、残る4人の要望はまた違うものらしい。

「それも良いんだけど、地下にあったあの実験施設を僕はもっと調べた方が良いと思うよ」

「私も賛成ね。あそこで何が行われているかを知ることで、帝国がこれまで何をして来たか、そして何をしようとしているのかが分かる気がするから」

「俺は……あの奪われちまったアイテムを探し出して回収した方が良いと思う」

「俺も賛成。だってほら、あれをあいつ等が奪うって事は絶対何かをしでかそうとしているって事だろう?

 イルダーとミネットは地下の実験施設の調査を求め、シリルとエリアスはアイテムの奪還を試みているらしい。


 しかし、それにはタイミングが重要だとシリルが考える。

「その3つが俺達の目的だな。じゃあとりあえず目的の順番を決めよう。扉の先を調べるのは後回しでも大丈夫そうだから、アイテムの奪還は2番目に行きたいと思う」

「王城に乗り込む気か?」

 冷静なセバクターの声に対し、シリルは首を横に振った。

「俺もそこまで無鉄砲じゃねえよ。敵の本拠地の王城に乗り込むんだったらもっと人員が必要だし、俺達7人だけじゃとても太刀打ち出来ねえからな。でも、まだやりようはあるだろう」

「やりようって?」


 ミネットの問い掛けに対し、シリルはグルリとパーティメンバーを見渡した。

「あの地下水路は道が繋がっていない……と言うよりも、地下の実験施設みたいな場所があっただろう。その上は魔術実験場だから、そっちに忍び込むんだよ」

「……そっちも危険な気がするな」

 魔術師達が数多く居る実験場に忍び込むだけでも大変そうなのに、そこに乗り込むだけじゃなく地下への道も見つけなければならないと言う事をシリルは言っているのだ。

 その作戦も突発的ではあるがシリルが思いついていた。

「だから、俺達の知名度を利用するんだよ」


「知名度……そうか、知名度か」

 その「知名度」の意味に1番最初にピンと来たのはセバクターだ。

「もしかして……俺達は悪い意味で名前が知られているから、それを利用するって事か?」

「それはそうだが……危険過ぎる気がするわね」

「でも、それならそれでやるしか無いんじゃねえのか?」

 エリアス、ミネット、エルマンの3人も彼の言いたい事に気が付くが、イルダーとニールの考えは違った。

「言いたい事は分かるよ。わざと騎士団やギルドの連中に追い掛け回される事でそっちに注意を向けさせている間に、魔術研究所に忍び込めって話でしょ? 結構無茶な話だと思うから僕は反対だね」

「そうそう。捕まるリスクも高いし……仮に俺だったら夜中にそーっと忍び込んだ方が良い様な気がするけどなあ」


 イルダーとニールは渋い顔をするものの、シリルはシルヴェン王国騎士団の食堂で働いている時から魔術師達の行動を良く知っていたからこそ、それも踏まえての作戦提案だった。

「それは確かにそうだな。だけど、どっちにせよ追い掛け回される事になると思っている」

「何で?」

「魔術師ってのは基本的に夜型の行動をする奴が多いんだよ。勉強だの研究に没頭して寝るのも忘れて、それで朝方になってから寝るもんだから夜中起きてたりするんだ。だから昼間に行動して騎士団とかギルドの連中に見つかって派手に動き回るよりも、夜中に寝静まった町の中の研究所で魔術師達が研究している時に忍び込めば、何をしているのかも分かるんじゃないか?」

「……そう上手く行くのかねえ……?」

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