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一話~予定は未定~

どうも!海風です。スローペースって言いましたが・・・うん。亀以下の更新速度ですね。申し訳ありません!!!これからも頑張って執筆していきますので、よろしくお願いいたします。

「おい、神。」

「私のせいではないですよ!?」

「じゃあこれはなんだよ!!知らない天井ならぬ知らない草原だわ!」

「ま、待って下さい!今調べますから!!」

神は目の前にパソコンのウィンドウみたいなものを出してさわり始めた。すると今度は地図がでてきて今いるであろう場所を映し出した。

「ここは、トパーズ草原ですね。夕方になると綺麗な夕焼けが見れることで有名ですよ。」

「必要ない情報を教えてくれてありがとう。帰る方法を聞いてんの!」

「なら後ろの扉をくぐれば帰れるのでは?」

「はっ!そうだった。」

 すぐさま振り返るがそこには扉は存在しなかった。この時点で帰る方法を失った。腹をくくるしかないのか。

「・・・ハァ、ここから近い所で人がいる場所はどこ?」

「ここからだと・・・トパーズ村でしょうか。宿屋や、道具屋最低限の施設はあります。距離は大体二時間程度で到着すると思われます、ただ。」

 もうある程度のことでは驚かんぞ、もう。

「ただ?」

「モンスターに会わなければの話です、今出会ってしまうと、正義様死んでしまうかもしれません。」

「そこは、神の力使ってなんとかしてよ。」

「神は万能ではありません、ですのでこれをお使い下さい。」

 神がウィンドウをいじり、目の前に円を描くと円の中心から籠手がでてきた。しかも、手の甲辺り尖ってるし目みたいなものがあるし、口(?)らしきものあるし、正直気持ち悪い。というよりいらない。と思いつつも命には代えられないので渋々手にはめる。右腕を通したとたんにぴったりとフィットした。俺の目の前に神と同じウィンドウが現れ

『登録完了いたしました』

と文字を映し出す。

「これは伝説レジェンド級の武器でして、倒したモンスターの素材の組み合わせにより籠手が変化します。簡単にいえば、素材を集めて鍛冶屋で作る、をこれだけで可能にするみたいな感じです。」

「まるでモン○ンみたいだな。これで殴って倒すのか?」

「いいえ、籠手自体に攻撃力はありません。正義様の攻撃力だけです。今それはスタンバイモードですので、これをその玉に近づけてください。」

 そう言って神は両刃の剣を俺に渡し籠手に近づけるように促す。言われた通りに近づけると、すぅーっと籠手に吸い込まれていった。すると今度は別のウィンドウが現れ

『ソードモードが解放されました。』

と映し出す。

「ソードモードが可能になったって表示が出たんだけど。どうすればいいの?」

「ソードモードと念じていただければでます。この世界の全ての武器を籠手に取り込めば形状までしっかりと再現されます。もちろん材料と『鍛冶』のスキルさえあれば1から作れます。」

とりあえず神に武器同士も錬成可能か、武器に魔法は付与できるのか聞くと。

「可能ですよ。」

と短く返事された。すると神が胸ポケットから懐中時計を出して時間を確認したのち、パチンと懐中時計を同じところにしまい。

「申し訳ありません。これからまだ、いくところがあるので、何かありましたら。連絡下さい。」

 と俺の所に2つほど、アイコンが現れた。

・お問い合わせ

・ヘルプ

これだけだ。

「あのブレイドさん?防具は?」

「では頑張ってください。」

「おい、待て駄神だしん防具ないと死んじゃうでしょ!?」

「それは、正義様のド根性で何とか。」

「できるかーーーー!!!」

「すいませーーーーーーん!!!!」

 結局防具はもらえず籠手と両刃の剣(吸収済み)と鑑定のスキルだけ貰えた。ケチ。いつまで恨んでいてもしょうがないのでトパーズ村に進むしかない。歩いて約十分の所にウサギがいた。鑑定を発動すると

<鑑定>

名前:ウサギ

状態:警戒けいかいしてない

スキル:なし

と表示された。ウサギには申し訳ないがこちらも生きなきゃならんのでな倒すだけだ。籠手にソードモードと念じると籠手が先ほどの剣になった(イメージとしては手甲剣みたいな感じ)。よし、初めての狩りだ。正面突破だ!とりあえず弱そうだから突きで行ってみよう!ウサギに近づき剣を突き立てる。ほどなくしてウサギは動かなくなった。こんな感じでいいのかな?と額の汗を左腕でぬぐっていると仕留めたウサギが黒いウヨウヨした物体にムシャムシャとウサギを食べられていた。

「・・・・・はいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!????」

 そのまま籠手はウサギを食べつくし普通(?)の籠手に戻った。ついでに剣状態ソードモードも戻っていた。もうやだこの籠手、どんどん俺のSAN値(精神力)が減っていく。深いため息を吐きながらとぼとぼと歩いているとまたウサギが現れたがなんか刺々(とげとげ)しい。普通のとは違うので、鑑定を発動すると、

<鑑定>

名前:ニードルラビット

状態:警戒していない

スキル:ニードルアタック

と出た。触ったら痛そうだなぁと、考えて静かに近づこうとしていると、ニードルラビットが俺を見つけお腹辺りを目掛けて突進してきた。防具も無い状態で受けたら恐らく・・・いや、絶対に死ぬ。体をひねりなんとか間一髪で避けられた。当たらなければどうということはない!!しかし相手ウサギは地面に着地したとたんこちらを向いて、同じ場所に突進してきた。とっさにソードモードと念じ

「同じ所なら簡単に見切られるぞ!」

 右によけて剣を横になぎ払うように斬ると上と下に綺麗に斬れた。無論籠手が食べた。もうやだ。これ、近くでめっちゃ『バリバリボリボリゴックン』って聞こえるんだよ!?怖ぇよ。また、ため息をつきながらも、そこから約2時間ほど歩く、これ以外に敵は見当たらなかったので、バックの中に入れておいたスマホとイヤフォンを取り出し音楽を聞こうとするも、そもそも異世界なんで圏外であり今までネットで聞いていたのがあだとなった。スマホはとりあえずバックの中にいれてあるきだす。すると村らしき面影がみえてきた。近づいて見てみると木の柵で門の代わりをしており門の近くには異世界の関門と言われる衛兵はおらず、フリーダムに行き来できる。いわゆるザ・村って感想だ。衛兵は居た方がいい気もするが。村へ入るとちらほらと人が歩いている、そこそこ賑わっているのだろうか。しかしここで問題が発生した、そう、この世界のお金がないのだ。ここで俺の世界のお金が使えるわけ無いだろうしどうしようか考えているとふと思い付いた。

「こいつに肉とか入ってねーかなぁ。」

 藁にもすがる思いで、籠手を鑑定する。すると籠手の技能に『無限収納クローゼット』とかかれたものがあったので文字を押して見ると先程来る途中に倒したウサギとニードルラビットの文字があったのでウサギの文字を押してみると文字の横にさらに『解体』『そのまま』『吸収』と出てきた。

「『解体』や『そのまま』はわかるけど『吸収』ってなんだ?」

 不安もあったがとりあえず『吸収』を押してみた。するとウィンドウが開いた。

『吸収する能力がありません。』

ないんかーーーーーーい!!!!!

 吸収するのはスキルだけなのか?それならニードルラビットは? ニードルラビットを押すと先程と同じ文字が写し出される。そこで吸収を押すと。

『ガントレット(ニードルスタイル)が解放されました。』

と表示された。ニードルスタイルと念じると特に籠手は変化は見られない。なんだこれと思いつつ籠手に触るとチクッと刺さるような痛みがあった。

「表面上は見えない針に覆われているってところかな?」

 ちなみに無限収納クローゼットからニードルラビットは消えていた。しょうがないので、ウサギを選択し『解体』を押すとウィンドウから。

『ウサギの皮を入手しました。』

『ウサギの肉を入手しました。』 と、表示された。しかしまだ問題があった。ここは異世界、言葉が通じるのだろうか?そうだ!神の『お問い合わせ』だ!急いでウィンドウを開き『お問い合わせ』を押した、そうしたら白い空白の欄がでてきた。

『お問い合わせ内容をお書き下さい。』

 そういうシステムかよ。と思いつつ。

『この世界の言語がわからないのですが』

と、送るとポンと返事が来た。

『異世界言語能力追加しときますね。』

 ショートメールかよ!しかも軽っ!!と心の中で突っ込みを入れつつ、籠手を一々鑑定するの面倒だから簡単にしてほしいことを送ると、念じればウィンドウが開きますよ?と返ってきた。デスヨネー。

とりあえず、肉屋に直行だ。少し歩くとベッドの上に宝石らしきマークの建物がみえたので情報収集目的で入ると小太りで髪に少しウェーブがかかったおばさんが受付にいた。

「いらっしゃい。見ない顔だねぇ、この村は初めてかい?」

「えぇ、まぁ。すいませんがウサギの肉を売りたいのですが、買い取ってくれる場所ってご存知無いですか?」

「食べ物関係ならここで売買できるよ。皮とかは5軒隣の『ジャックポッド』っていう武器屋が買い取ってくれるよ。ちなみにウサギの肉はここでは状態によるけどまぁ、銅貨二枚か三枚だね。」

「それじゃあウサギの肉買い取りお願いします。」

「あいよ、それじゃあちょっと待ってな。」  おばさんが皿を持ってきたのでこれに乗せるんだろうな。籠手に『ウサギの肉』と念じると部位を切り分けるか表示された。

「切り分けてるほうがいいですか?」

「まぁ、できるならね。」

 ふむ、では『はい』を選ぶか。『はい』を押すと頭、体、両足が皿の上に置かれた。うわぁ生肉だぁ。まだ血が無いだけましかな。

「うん、これなら銅貨四枚でいいかい?」

「さっきは銅貨三枚って・・・。」

「手間省いてくれたお礼だよ。いいからとっときな。」

「あ、ありがとうございます。ええっと。」

「そういえば、まだ名乗ってなかったねぇ。わたしはこの宿『スリープジュエル』のオーナーのアンジェラってんだ。よろしくね!えーっと名前は?」

「自分は八雲正義っていいます。よろしくお願いしますアンジェラさん。」

「よろしくね!ヤクモ!!なんかあったらこのアンジェラに頼りな!」

 ドン!と拳を自分の胸に当てた。ありがとう、おば・・・アンジェラさん。その後アンジェラさんから銅貨四枚を受け取り宿屋を後にしたその後、隣の武器屋に入ると今度はごつくて角刈りのおっさんが受付にいた。

「へい!!ラシャーー!!!」

「・・・声もう少し小さくできませんか?危うく口から心臓飛び出るかと思いましたよ。あとウサギの皮の買い取りお願いします。」

「ワカリャシターー!!!」

 こいつ全然わかってないわ。皮を取り出すと、おっさんはじっくり見たあとこう言った。

「兄貴~。客だ~。」

 お前じゃないんかい!!何でじっくり見たんだよ!!奥から細マッチョの渋いおじ様が現れた。

「いらっしゃい。皮を買い取って欲しいとな?」

「ええ、まあ。いくらになります?」

「そうだなぁ。ウサギの皮だから・・・お客さん初めての方だし銅貨6枚ってとこかな。」

「あ、はい。ありがとうございます。」

 棚の下辺りをごそごそとする細マッチョ。お金を受け取ったが・・・安いの?高いの?そんな疑問を抱きなから店内を回った。しかし中々安い防具が見あたらないというよりは皮の装備が見当たらないので、渋マッチョの人にはなしかけてみた。

「あのう、ものすごく安い防具ってないですよねぇ?」

「安い防具ねぇ。・・・あるよ。」

「無いで・・・あるの!?」

「あ、ああ。これなんだがね。」

 渋マッチョの人が手袋を着けて受付の下からドロドロに汚れた防具を取り出した。

「こいつほとある冒険者が持ち帰って来たんだが、ものすごく汚くてね。私自身もあまり触りたくなくてな。どうだろう銅貨二枚で買ってはくれないか?汚れは裏の井戸で洗ってくれても構わない。タワシも使ってくれ。」

嫌なら買うなよというのは口には出さなかったが、銅貨二枚は確かに安い。でも、本当に銅貨二枚の価値はあるのだろうか、というより普通の服でモンスターの攻撃は防げないか。まぁ、皮より安いし買うか。渋マッチョの人に銅貨二枚渡した後、裏の井戸に案内された。

「ここで洗ってくれ。洗い終わったら一声掛けてくれ。それと、紹介がおくれたが、私はこの店、『ジャックポッド』の店主をしているアレックスだ。ちなみにデカイほうは弟の『バーン』だ、よろしく。」

「八雲正義です。よろしくお願いします。」

 挨拶を済ませた後に井戸に向かった。てかあれ弟かよ。そんなことより、銅貨二枚で買った鎧を磨くために。籠手こいつがやってくれたらなぁ。と思ってタワシを手に取ると案の定食べた。人の物なのに。するとウィンドウが目の前に開かれ。

『ガントレット(ブラシフォーム)が解放されました』

 とウィンドウが現れた。うんいらない。タワシを吐き出すように念じると籠手からタワシが出てきた。機能はそのままのようだが、灰色になっている。恐らくは機能としては残っているが、使えないってことかな?邪魔だったので背負せおっていたバックを無限収納クローゼットに預ける。そして、本題の汚れたよろいに取りかかる。ゴシゴシと普通タワシで洗うと銀色っぽい色がでてきた。うわ、想像はしてたけど、中までドロドロかよ。根気よく洗うか。集中して洗い、なんとか日が暮れる前に洗い終わった。洗い終わると目の前にはくすんだ銀色の鎧があり鑑定を発動すると『???鎧Lv1』と表示された。Lv1? というより名前が無い?頭の中に『?』マークがいっぱい表示された。そういえばヘルプもあったなと思いヘルプと念じるとでてきた。上の欄に『検索』の文字があったので押すと白色のバーがでてきた。ここに書き込めって事だと思う。バーに『鎧 レベル』と書くと『装備』という欄が出てきた。

また押すと、次は『剣』や『防具』など色々出てきた。防具の文字を押すと、一通りの説明があった。

<防具とは、敵の攻撃から身を守る道具である。魔法付与エンチャントを行うことにより火耐性など、様々な能力がつく。稀にレベル付の鎧がある。レベルは使用者のレベルと同じになる。>

だ、そうだ。結構レアな鎧だったのかこれ。しかし『???』の部分に入る言葉とは一体、と考えているとアレックスさんがやって来た。

「ヤクモ、どうだ?鎧の汚れは落ちたか?」

「一応は、でもこれ『鑑定』しても名前がでてこないんですよね。」

「・・・今、何て言った。」

「名前が出てこないって・・・。」

「名前が無い?まさかレベルまでついてるのか?」

「え?あぁ、はい。レベル1ってなってます。」

「ヤクモ、私以外にその鎧の事話したか?」

「いえ、先ほど洗い終わったんで。」

「そうか。だったら、絶対に他言はするな。」

「あ、はい。でも、何でですか?」

「それほどの鎧だからだ。」

そう言ってアレックスさんはお店に戻っていった。とりあえず、洗い終わった鎧を持って行こうかな。よし、喰え籠手ポチ。そう念じると手の甲から、黒い物体がウヨウヨと出てきて鎧目掛けてかぶりついた。ものの数秒で鎧は無くなった。無限収納クローゼットを見てみると、鎧はちゃんとあるが名前がやはり『???』のままだ。まぁいいやアレックスさんに聞くか。店の扉を開けると奥でひそひそとアレックスさんとバーンさんが話をしていた。ま、まさか鎧を返せって言うんじゃないかと思い隠れて聞き耳たてると。

「明日、ダンジョンにいこうとおもうんだが、バーンも行くか?」

「いいな兄貴。あのお客さんも連れていくのか?」

「あぁ。レベル付き防具を持っているからな。あぁ、私にも『鑑定』の能力があれば!」

 あーヤバいくらいでにくいなぁ。どうしようかなぁ、と考えているとアレックスさんが声をかけてきた。

「さて、ヤクモ。こそこそしてないでこっちに来たらどうなんだい?話を聞いていたのだろう?」

 うげぇ、バレてるし。しゃがんでいた姿勢を直し、二人の元に歩いていった。

「今の話は聞いていただろう?」

「ええ、まぁ。ダンジョンがなんたらかんたらって聞こえました。」

「あぁ、ダンジョンに行こうと思う。君の買った鎧だが・・・。」

 でたー!価値が分かった途端に差額を払えってやつか!?やめて!もう、俺の所持金ライフはあと銅貨8枚よ!それを見て焦ったのかアレックスさんが声をかけてきた。

「お、おい。勘違いするな。もう取引は完了してるんだ。鎧を見抜けなかったのは私の落ち度だ、安心してくれ。」

 なんだ。よかった。ホッとしたので肝心のダンジョンについて聞いてみる。ダンジョンと言うからには中には魔物モンスターがいて、そいつらをズババババッ!!っと狩っていくんだろうなぁ。いかん思わず顔がにやけてしまった。

「あー、ヤクモ?ダンジョンに行くなら剣とか必要になるんだが、持っているのか?」

籠手こいつが剣になるんですよ。」

 と、得意げに籠手をアレックスさんとバーンさんの目の前にだした。すると二人とも呆れたような顔をした。まぁ、籠手だもんねそうなるよね。ただこいつは普通じゃない。そう神(?)から貰った籠手なんだから。名前は無いけど。

「おいおい、籠手が武器になる?ふざけたこと言ってないで早く見せてみろ。お前の剣とやらを。」

「まさか兄貴、こいつ、『剣』と『拳』間違ってるんじゃないか?」

 俺はそこまでバカじゃねえ!!!と叫びたくなったが我慢した。バーンの野郎後で覚えてろよ。とりあえず籠手の性能を見てもらうのが早いと判断したので、目の前で剣状態ソードモードと念じる。すると手の甲辺りから剣がバーンさんの目の前に現れた。いや、現れたというよりは出てきたと言ったほうがいいのかな?

「うおっ!危な!!殺す気かよ!」

 やべ、バーンさんに当たるとこだったわ。とりあえず謝るか。さっき馬鹿にされたから軽くでいいだろ。

「あ、サーセン。」

「軽っ!」

「まあまあ、バーンそのくらいにしておけ、でだヤクモ。お前は剣の心得があるのか?」

「んー、あんまり戦いのないところにいたものですからー戦闘の経験は皆無かいむというかなんというか。」

 あるわけないでしょ。こちとら普通のオタクなんですから。戦闘はしたことない。まぁ、色々なゲームとか漫画やら小説やら読んでたから知識は多少あるんだよなぁ。鉄○とか、ケ○イチとか、ゴッ○イーターとか。

「ふむ。心得がないとなるとお前を守りながら進むのは難しい。どうだろう、私が稽古をつけてやろう。」

「えっ?アレックスさん武器扱えるんですか!?」

「私の店は一応武器屋なんだがな。こう見えて昔は冒険者だよ。ランクはまぁ、Cクラスだったんだが。」

「へぇー、冒険者ですか。というか『クラス』ってなんですか?」

 正直Cクラスっても強さがわからん。Cだからそこそこ強いとは思うが。

「ヤクモ・・・まさかとは思うがお前はギルドに入っていないのか!?」

「えっ?ギルド?知らないっす。」

 二人とも顔を一気にしかめた。え?なんかギルドに入ってないとまずいの?ヤバいぐらい不安になってきた。ギルドってゲームの世界では定番っちゃ定番だから知ってはいるけど。

「・・・マジかよ。兄ちゃんどうするよ。」

「明日、派遣団体が来るのを祈ろう。そろそろくる頃だと思うから。」

「あのー。ギルドに入ってないとなんかまずいんですか?」

「いや、ギルドに入ってなくとも何の問題はない。ただな。」

「ただ?」

「お前のその鎧かなりのレア物だ。それをお前が着て歩いてみろ。すぐに殺されて盗られるぞ。」

 ええっ!な、なんだってーーー!?そ、それは困る!ただでさえ駄神の手違いか間違いでここに来たのに、知らない土地で死ねるか!!

「そこで、ギルドって訳だ。ギルドで登録しとけば迂闊うかつに盗賊やらなんやらはうばうことはできないんだ。」

「さっすがギルド!俺に出来ないことを平然へいぜんとやってのけるぅ~!そこに痺れる!あこがれるぅ!」

「いや、普通だから。ヤクモ、その変なテンションはなんなんだ?」

「あー。僕のいた所の驚き方です。」

 これは変なテンションなのか。危うく『ギルドの技術は世界一ぃぃぃ!!』とか叫ぶところだったわ。あぶねー。出来るだけ冷静にいなきゃな。今日は来ないってことだから泊まらんといかんな。アンジェラさんとこに泊まるか。でも、お金足りるかなぁ。後、所持金ライフは銅貨8枚だし。明日、ギルドが来ることを祈って寝るか。そう思い、ジャックポッドを後にしスリープジュエルに向かった。すると前から無精髭ぶしょうひげを生やしたおっさんが歩いてきた。背中にはでっかい剣を背負ってるまるでデビル○イクライのダ○テみたいだな。服も赤っぽいし。すれ違った時、背筋にゾクッとした寒気を感じ振り返った刹那せつな、おっさんが剣を俺に向かって振り上げていた。ちょっ、おまっ!辻斬つじぎりかよ!なに時代に生まれたんだよ!咄嗟とっさに右手の籠手でガードする。ガキンと火花が散り甲高い音が鳴り響いた。

「おい、おっさん。いきなりなにすんだよ!」

「・・・その籠手、お前には宝の持ち腐れだ。だから俺がもらい受ける。」

 なんつージャイ○ンだよ。しかも初対面でかよ!距離をとるためおっさんの腹部に前蹴まえげ)りをする。空手なんてやったことないから威力なんてないけど牽制程度なら!そう思い前蹴りをするも、全然効いてない。うん、知ってた。素人だもん。やくも。じゃあねぇんだよ!なら喧嘩キック!もう一度腹部に蹴りを放つも効いてない。そうこうしている間にジリジリと組伏せられそうになっている。どうすれば、助けを呼べるだろうか。

「考えたって無駄だぜ?叫べばお前を切り裂き、このままだったら殺してでもその装備を奪い取るだけさ。今だったら装備さえ寄越せば命は助けてやるぜ?クククッ。」

 あ、これ絶対殺されるパターンだわ。そう思い頭の中をフル回転させるが全て死ぬ未来だ。

 そういえば、ずっとつばぜり合いしてるのに腕が痛くない。そうだ!昔したゲームで、つばぜり合いしているときに、左右に剣を振ることで、その方向に相手をよろけさせるという技があった!でも、現実で上手くいくか?・・・いや、一か八かやるっきゃない!

 俺はスゥっと息を吸い込み足腰に力を入れる。するとおっさんはわざとらしく煽ってきた。

「おいおい、何するかは知らねぇがおとなしくその籠手を渡せ。じゃねぇと、死ぬぞ?」

 ものすごく睨みを効かせてくる怖いけど、こっちも『はい、そうですか』って簡単には渡さねぇよ!!

 俺は、自分の右手首をつかんでおもいっきり腕を伸ばす、すると相手の剣は俺の右側を通過し地面に突き刺さった。そして、俺は右の拳をおもいっきりおっさんの顔めがけて放つ。

「カカッ!やるじゃねぇか。だが俺にそんなものは通用しない!」

 素人の拳が効かないことは大体想像できる!だがこれはどうだ!あの店でバーンさんに当たりそうになったあれをやる!

「ソードモード!!」

 すると籠手から剣が出てきた。元々俺の拳はおっさんに後、数センチ程度に迫ってる。おっさんはかなり俺に対して油断している!ここでさらに剣の長さを加えたら、避けるや、受け止めるといった反射的な事はまず無理なはずだ!そのまま俺の剣はおっさんの左目に突き刺さった。

「ウガァァァァァァァァァァァァァ!!!!」

 おっさんの断末魔が辺りに響く。その声にびっくりしてしまい、おっさんから剣を抜いてしまった。それと同時に剣状態ソードモードが解除されたが、まだ、手に刺したときの感触が残っている。恐らくそこまで深くはないだろうけど。

「貴様ぁ!よくもこの俺に傷を負わせたなぁ!!!」

 おっさんが自分の左目をおさえながらこっちをにらむ。先ほどつばぜり合いした大剣をこちらに振りかざす。もう先ほど見たく受け止める気力はない。なら、あの技だ!俺の聖書バイブルで一番好きで、一番練習した技(但し相手はいない)!ここで、発揮するとき!!

内側にねじりきった拳をやいば側面そくめんに入れ、一気いっきにねじりあげ、筋肉のパンプと螺旋らせんの力で最小にして最速の払いを瞬時しゅんじに行う!!

『白刃流し!!』

 初めて人にするから失敗しませんように!!という俺の思いは届いたのかは不明だが相手の顔に綺麗きれいに決まった。そのままおっさんは地面に頭から倒れた。一応殺してないかの確認の為、脈の確認を行う。うん、わからん!!もう、頭の中がパニックになってしまった。するとジャックポッドからアレックスさんが飛び出して来た。俺に気付き、駆け寄ってきた。

「おい、ヤクモ。これは一体どういうことだ?」

「えっと、そのぉ。」

 事のあらましを全て話した。

「ヤクモ。君は、勇敢と言うか無謀と言うかなんと言うか。とりあえず怪我がなくて良かった。こんなムチャは二度としないように。」

 ちょっと説教を受けた。

「それよりも君はすごいな。こいつの首は賞金がかっていたはずだ。」

賞金首しょうきんくびの男と言う時点で驚きだ。武術なんて、やったことないぽっちゃりがまぐれで倒してしまったのだから。しかもこいつはかなりの悪人らしく、ランクで言うとBランクに相当するらしい。こいつでBランクってことはAランクはもっとやべぇのかよ。一先ひとまずはおっさんを捕縛ほばくし、バーンさんが朝まで見張り、スリープジュエルには、アレックスさんが護衛ごえいにつくという。ありがたいがお金がないことを伝える。しかしアレックスさんは笑って。

「今日は疲れたろ?もう寝るといい。安心してほしい。冒険者だったときは三日三晩寝ない時があった。」

 うーん、お金のことについては触れない辺りいらないのかな?と考えていると。

「護衛の費用に関しては君が決めるといいもちろん懸賞金を受け取ってからな。」

 と微笑ほほえんでいた。まぁ、明日ギルドの派遣隊が来るかは判らないんだけどね。と言っていた。そういえば、おっさんの出血はどうするか聞くとアンジェラさんが初級の回復魔法を使えるとのことで頼んでおいた。目を元に戻すことはできないが出血を抑えることはできるらしい。一応見せてもらうことにした。

「ははっ!あんたも物好きだねぇ!まぁいいや。一朝一夕いっちょういっせきに覚えられる魔法じゃないからね!」

 と、笑っていた。そういえば、人間にも鑑定ができるか試してなかったな。だからと言って周りの人達の能力を見るわけにもいかないから、おっさんの能力をみよう。アンジェラさんはおっさんの前にたつと杖を向けて術を詠唱し始めた。

「我、汝に求める、かの者を癒せ『ヒール』!」

 おっさんの周りに緑色の光が包み込むすると出血はピタリと止まった。ついでにおっさんを鑑定してみよう。『鑑定』

<鑑定>

名前:エーベル 職業:盗賊 レベル:50

状態:左目失明

HP 100/950 MP 100/100

スキル:なし

 Oh・・・。嫌な予感はしてたさ。レベル50て、最悪死んで・・・いや、速攻で、だな。とごくりと生唾なまつばを飲み込んだ。一応俺も鑑定してみる。

<鑑定>

名前:八雲正義 職業:無職 レベル:6

状態:異常なし

スキル:喰う(イーター)、白刃流し、蹴り強化、受け流し

称号:オタク

 なんだよ称号のオタクって!!職業に関しては無職かよ!現実世界ではちゃんと仕事してました!!こっちでは反映されねぇのかよ!!まぁ、確かに現実世界あのときの俺に戦え言っても無理だわな。

 と、色々と頭のなかを巡らせたところで禿げたおじいさんが来た。

「本当か!?あの『辻斬り』のエーベルを捕まえたって言うのは本当なのか!?」

 おじいさんは息を切らせてゼェゼェ肩で息をしている。無理すんなよな年なんだから。

それよりもやっぱり辻斬りだったんだこのおっさん、もといエーベルは。

「ええ、村長。この少年が捕まえました。」

とアレックスさんが深く頭を下げる。この人が村長かよ。ただの、おじいさんにしか見えない。すると村長は俺の元にやって来て両手と両膝りょうひざをついて頭を地面に着けた。少し思考が停止した。この村の偉い人が、ただのぽっちゃりに土下座どげざをしている。ってえええええええええええええ!?!?!?

「ありがとう、青年よ!おかげでこの村は安全に過ごせるようになった!!なんとお礼を申せばよいか・・・。」

 そう言いながら村長は涙と鼻水を両方一緒に流す。誰得の絵面なんだよ。聞けばあのエーベルは昔からかなり人を殺してきたらしく、村の人間を殺しては、村の前に四肢を切断した死体を置いておく、といったむなクソ悪くなるような悪党あくとうだという。血が止まったクソ悪党がこちらを睨んできた。

「てめぇだけは絶対殺す!絶対にだ!!たとえ四肢が千切ちぎれようと、頭を割られ様とも!!必ず!貴様を!!殺す!!!」

 今にも、捕縛ほばくから逃れるのではないかといういきおいで、叫ぶ。もはやこのおっさんはここで息の根を止めたほうが俺のためではないか?・・・って、危ない。一々(いちいち)感情に身を任したら後々(あとあと)めんどくさそうだからどうやったら無力化むりょくかできるかな?と、考えていると、ふとおっさんの武器が目に入った。とりあえず鑑定だ!

<鑑定>

武器:悪刀あくとうレベル2

レア度:レア

状態:やや良い

説明:斬ることに特化とっかした剣。人を斬ることにより進化する。

 やっべ、これマジやべぇ。語弊力ごへいりょくなくなるほどやっべ。進化ってポケ○ンかよ、しかも条件が『人を斬ること』とか笑えねぇよ。まぁ、無くなれば無害か、よし!とりあえず喰え籠手ポチ。すると籠手から毎度お馴染みの黒いウヨウヨが出てきた。もう、俺は見慣れたな。他の人達は目を見開いている、だがしかし、そんなの気にせずに剣を籠手に食べさせた。目の前にウィンドウが現れ。

『ソードモード《悪刀》が解放されました。』

はい、デスヨネー。少しだけ静まり返った店内にすぐさまエーベルが反応した。

「て、てめぇ!!俺の剣をどこやったぁぁぁ!!!」

「あんたの剣は戦利品せんりひんとして、俺がもらっておく、命が助かっただけでもありがたいと思ったら?」

「ふざけんな、クソガキ!!返せぇ!俺の剣を返しやがれぇ!!」

「おっと、そろそろ黙って貰おうか。他の客に迷惑だ。」

 そう言ってバーンさんが口に布を丸めたのを入れ込んだ。恐らく自殺防止と、声を抑えるためだろうか。

「それでは、ヤクモ、私たちも部屋に行こう。安心して眠るがいい。」

「そうですね。明日、ギルド来たらいいなぁ。」

 アレックスさんが、ラスボスみたいな言い方をしたが、あえてスルーした。絶対知らんだろうし。

 俺はベッドに入りすぐに泥のように眠りについた。

読んで頂き、ありがとうございます。

ここではちょっとした裏話をしていきたいと思います。

 実はこの物語、『神から~』ではなく、『チート過ぎる武器を手にいれた俺は異世界を自由に生きることにした』という、タイトルだったんですが、主人公がもはやダメ人間になる道しか見えず、タイトルを変えました。本当は異世界に来てからなんとなく入ったダンジョンで籠手を見つけるっていうストーリーだったんです。でも、素手でモンスターに向かっていく素人はいないだろ。ということで、二転三転しながら、今にたどり着いたっていうことです。これからも頑張って書いていきます!!

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