閑話
彼女接近中(今回の話では彼と彼女は出てきません)
そこは会議室だった。
ただ会議するためにある部屋は今はその用途では使われていないようだった。
というのも会議室だと言うのに議論を交わそうとするものはそこには一人もいないようだった。
そこにいる人物たちは円卓に座っていた。時計のように12人。
何かを待っているようだったし、何か考えごとをしているようにも見えた。
状況が変わらないことにいらついたのか、
時計でいう7時の席に座っている人物が声を出した。
「おい、どうするんだ。このままでは彼と彼女が出逢ってしまう。
彼女を早く捕まえないと。」
「どうやって捕まえるのですか。七。彼女は我々の監視を出し抜くほどですよ。
だいたい彼女を捕まえられる人間なんて」
「いない。なんてことはないだろう。九。我々が動けば。」
「それは・・・たしかに我々の誰かが動けば彼女は捕まえられるでしょう。ですがそれでは
かの者の思い通りに。だいたい彼と彼女はほっておいても問題ないのでは?」
「あの事件を忘れたとは言わせんぞ。九。
彼と彼女はほんの一瞬出逢っただけだ。それだけであれだけの力が観測された。
世界の10000分の1程度を消す力だ。その程度の力は別段大したことはない。
国がもっている力としては妥当だ。だが個人として持つ力としては破格だ。
ありえないといってもいい。 我々でさえその力を出すことが難しい。しかも」
七の喋りを遮り、それまで沈黙を保っていた人物の一人。
時計でいう12時の席に座っている人物が口を開く
「そこまでだ。七、九。今はそのような昔話をしている場合ではない。一刻も早く、彼女を捕まえなければならない。その為に七の言うとおり我々の誰かに動いてもらう。四、君が我々の中で彼と彼女に一番近い。動いてくれるか。」
時計でいう4時の位置に座っている人物が静かに問う。
「あれはどうする。」
「あれは君が動く間、私が受け持とう。」
「ですが? 十二。あれを受け持つと貴方にもかなりの負担がかかるはず。」
「いいんだ。九。その方法なら我々の誰にも迷惑をかけない。
よって議決をする必要もない。 これで問題はないな。四」
「了解した。」
そういうと四の姿はまるで存在しなかったように消えさった。
どうやらここにいる人物は全員ホログラフィーで会議室にいる人物はひとりもいないようだった。
「で。 十二。あんたは大丈夫なのか。
あれは一つでも厳しいのに二つもあったらさすがに」
「私は大丈夫だ。だが七の言うとおりここで会議している余裕はない。
こで会議を終わりたい。意見のあるものは・・・ないようだな。
これで本日は終わりとしよう。では、さらば。」
十二と言われる人物はそれだけ言うとさっさと姿を消してしまった。
「全くあいつは。って九。なんで誰もいないんだ。」
「会議が終わったのですからここからいなくなるのは当たり前でしょう。」
「それならなんで九は残っているんだ。会議は終わってるというのに。」
「それは。」
「さっきの話か?」
「そうです。
先ほどもいいましたがあれをほっといてまで関わる問題とはどうしても思えないのです。」
「まあそうだろうな。
我々が危険視しているのは彼と彼女の力が未知数ということだけだからな。」
「未知数?彼と彼女の力は分かっているのではないのですか?」
「いや、だだひとつ言えるのは行方が分からなくなる直前に彼女からあの事件より強力な力が
観測されたことだけは確かだ。たった一人だったにも関わらずな。」
「それでは彼女は成長しているとでも。」
「それは分からないが彼とだけは出逢わせないほうがいい。
最悪、我々でもどうしようもなくなる。」
「それは考えすぎだと思います。我々がどうしようもないことなんてそれこそ・・・ですが
七と十二の言うとおりこの問題は我々が動いた方が早いのでしょう。
だいたい疑問も解決しましたので帰ります。ではさようなら。」
「ああ。杞憂だといいんだが。」
そう呟くと最後にいた人物、七と言われた人物も消え去った。
最後に残ったのは物言わぬ会議室だけだった。
明けましておめでとうごさいます。
今年もよろしくお願いします。
誤字、脱字、感想などあればよろしくお願いします。