登校時に
「さあ始めよう。終焉の物語を。誰も望まなかったけどおきてしまった物語を。彼と彼女が出逢った物語を・・・今はじめよう。」
「君は誰かって、うーんとボクはね。この物語の語り部で唯一の傍観者なのかな。まあともかく彼と彼女の物語のはじまり、はじまり。」
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ピピッと味気ない携帯のアラームが鳴る。なんで話の始めって、寝起きが多いのだろう。そんなこと考えながら目を覚ます。
もちろん、どこかの話みたいに幼馴染がやさしく起こしてくれたり、ブラコンの妹がお兄ちゃんの隣で寝ていることもない。
そんな出来事が現実で起こりえるのだろうか。だとしたらそいつはどういうフラグを立ててきたのだろう。
くだらないことを考えていたからか携帯のアラームが再度味気ない音で鳴る。どうやらうとうとしていたらしい。
眠い気持ちを切り替えて体を動かすことにする。いつもの場所にかけてあった制服に着替える。うちの学園の特徴と聞かれたら
まずこの制服の詰襟としか思いつかないぐらい有名らしい。ついた名前が詰襟学園。正式な名前は・・・なんだっけ。
頭の中で意味のないことを考えながら黙々と朝するべきことをする。朝食だったり、昼食つまりは弁当をつくったりしているうちにいつもの時間、
つまり登校時間が来たので学園に向かうことにする。登校時間の間に自己紹介でもしておこう。誰にって聞かれても僕もわからない。
強いていうならお空があおいから、つまりは深くは突っ込むなってこと。まあともかく僕の名前は 一 凛
名前については突っ込むことが多いと思うが無視の方向で。女ぽい名前とか言うな。通称、詰襟学園の2年で身体的特徴としてメガネでチビ
そして不本意なことに詰襟学園(通称)で女装が似合う男子2年連続NO.1とある事を除いては極めて普通の高校生のはず。むしろそうであってほしい。
家族についてはちょっと事情があって現在一人暮らし、そして彼女もなし。
自己紹介というくだらない一人遊びに耽っていたせいか前にいた人に気づかずぶつかってしまう、無論かわいい女の子ではなく、むさくるしいごつい男だ。
むさくるしくてごつい男は機嫌でも悪いのか、こちらを睨みつけてくるので僕もにらみ返す。
「おい、てめぇ なに俺にぶつかってきてるんだよ。喧嘩売ってのか?」
「いえ、喧嘩などは売ってません。先ほどはぶつかってしまいすいませんでした。」
僕は面倒なことが嫌いなのでサッサと謝り歩き出そうとするが、先ほどの謝罪ではむさくるしいごつい男は気に食わなかったらしく僕の肩をつかむ。
「おいおい、謝ってすむなら警察はいらないだろう。今ので肩の骨が折れたから慰謝料を払え。」
今時、そんな人間どこにもいない思うけどな、めんどくさい相手にぶつかったなと思いながら応対しながら歩き出す。もちろん僕の肩の手は払って。
「はい、それでは慰謝料はいくらぐらいですか?」
「30万円だ。」
「はーあ、高いですね。僕、そんなにお金もっていません。現在の所持金はなんと1000円です。」
「それでも払え。」
「いやです。」
「払え。」
「いやです。」
そのやりあいが何度か続いて、いい加減きりがないと思ったのか、男の声が変化する。
「おい、人が優しくしていればつけあがりやがって、払わないだったら」
「払わなければ、何かするのですか、この警察署の前で、すごいな。お兄さん。勇気があるな。警察署の前で恐喝するなんて」
さすが男はここがどこだか気づいたみたいであわてて口を噤むが時、既に遅し、むさくるしいごつい男よりもさらにごつい男がつまりは警察官が
「話なら署でききましょうか。そこの君」
といって男を引きずっていった。男は覚えていろと悪役みたいな言葉を言っていたかどうかは定かではない。
そうこれが僕の変わっていることのひとつ、絶対不運、つまりはこっちが何もしなくてもトラブルが喜んでやってくるってこと。
楽しんでいたたければ、幸いです。
誤字、脱字、感想などいただければありがたいです。