白の狂気/いなくなったあの子/白緑
私は幸せだった。
ずっと、ずっと、幸せだった。
その幸せが続くと思ってた。
私は幸せに縋りたかったのかもしれない
(白の国)
「リン!!!なんで!!!なんで、いなくなったの……!?」
私はパパの胸ぐらを掴み叫んだ。
青の王子は愕然とした。
「リン?あの子はユースリアでは無いのか!?」
私は青の王子を叩いた。
「ユースリアは私!!!あんたと結婚なんか……婚姻の儀なんか!!!」
ため息を吐いて男は言った。
「死ね……お前なんか死ね!!!もう、二度と青の国とは交渉しないでくれ!!!……それに、俺を騙してまで女を売るとは姉のお前も最低な人だ!!!婚儀などこっちが断る!!!」
そう言い青の男は部屋から出ていった。
「パパ……ごめんなさい、これで次の白の王もいなくなる。もしも、パパが亡くなってしまったら新しい王もいなくなって白の国もなくなる。」
パパは私の頭を撫でて「大丈夫だ」と言っていたがパパはすごく悲しい顔をしていた。
だから、私は悲しい顔をして笑った。
「無事にリンも戻ってくるよ……ね?それに王子様も見つかるよね?私が婚姻の儀をしなくてもいい時が来るよね?」
パパの顔が上の空でこっちを見てないと分かりながらも言った言葉だった。
(緑の国)
父は母を殺しそして、父は自分の頭に銃弾を撃ち込んだ。
母の身体から生々しいほど血が流れその上に頭に銃弾後が残る父が倒れていた。
その事を忘れようとした。そして、忘れた。頭の中にその瞬間を思い出して苦しむこともあった。
だが、3年後、ある亜種の話し声が聞こえた。
「なぁ?3年前に殺したあいつの子供が生きてるって知ってるか?夜な夜な苦しみながら残酷なことを思い出して叫んでるって……笑えるよなぁ?殺したのが俺達って知らないくせに……いや、殺してないか……耳元で殺せって言っただけで」
その瞬間、子供ながら泣きながらやったことは覚えてない……
ただ、気づいたら妖精の羽根と胴体と首がバラバラに落ちていたってことぐらいだ。
緑の国ではどんな者でも子を殺してはいけないと言われており俺は約10年約束されていた牢屋で生きなきゃいけないと言うことだった。
牢屋に入り鎖に繋がれてこれが生きていると言えるものなのだろうか……
5年目ぐらいからなにも無いことに恐怖を感じた。
ただ、8年目からは妖精の話し声が聞こえた。
良い噂や悪い噂……
子供だった俺には妖精はいい存在だと信じていたが嘘をつき、人間の心を貪り尽くす悪しき存在だと今なら分かる。
いや、分かったところでもう、遅いか……
死を言い渡される一週間前に人型の亜種、亜人が俺に話しかけてきた。
俺は……必死に強がった……
ここから出ても緑の者に追いかけられて一週間後には死刑だ。
この国のいらない者として生きるのもこれで最後だ。
ここから出れれば最後の悪あがきになる……そう、思い言った
「亜人と仲間になりたいとは思わんが地獄から抜け出せるんならお前を殺してやるよ」