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それは綺麗な世界のように  作者: 勇野章
24/28

殺されるために/目には眼を肉には血を/緑/黄


殺してやる。殺してやる。殺してやる。


憎い恨めしい妖精殺し(エスフェアリスト)


お前さえいなければお前さえ殺せれば


俺は俺は


『あの人に殺してもらえたのに』



(緑の国)


「すみませんでした」

管理官に頭を下げていたその人に恐怖など無かった。


「もういい……」と言われ部屋から出ると先程の恐怖が嘘のように見える。


「悪かったな……申し訳なかった」と頭を下げられるとこちらも申し訳ないと思ってしまう。


おかしなことがいくつかある。

牢屋の壊れ方、この人の怒り方、なにも分からない。


「悪かったね?取り乱していた。僕には夢があるんだ。」


夢?

私にもある。父と母を守るために他の国から攻撃されないために……


「僕は殺してもらうために生きている。僕の父は死んだんだ。」

静かに怒りを抑えてる。だが、必ず怒ってる。


「父親?」

それは頭に浮かぶ言葉のはずだったが声に出ていた。


「はは、嘘だよ!!!……冗談!?僕の父は死んでないんだ。ずっと、生きてる。永遠に生きてるんだ。」

明るく笑顔で嘘だと言った。今日は表情が目まぐるしく変わる。


「永遠に?」

その笑顔と嘘だという言葉に不安しか浮かばない。


「そう、永遠に痛くても辛くても死ねない。苦しくても怖くても死ねない。永遠に生きなきゃいけないんだ。」


『だから、僕はあの人に殺されるために』


(黄の国)


「消えた?」

砂になり消えたバケモノは身体と頭が離れた兄を残して消えた。


兄はずっと「金、酒、女、食いもん」と言ってるだけで虚ろな目をしていた。

姉は僕を抱いて「大丈夫大丈夫」と言って朝になると頭だけの兄を地面に埋めた。


埋めた後に僕は眠ってしまい『強欲な悪魔』とか『アモン』とか『亜種』とか『亜人』とか言っていたがよく分からなかった。


死なずによかったと思ってしまった。生きたいって思うのが強欲ならば僕にはもう、その『亜人』や『亜種』には二度と会いたくないと思うことが多かった。


「お姉ちゃん……僕、死なないために頑張るよ。」

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