殺されるために/目には眼を肉には血を/緑/黄
殺してやる。殺してやる。殺してやる。
憎い恨めしい妖精殺しめ
お前さえいなければお前さえ殺せれば
俺は俺は
『あの人に殺してもらえたのに』
(緑の国)
「すみませんでした」
管理官に頭を下げていたその人に恐怖など無かった。
「もういい……」と言われ部屋から出ると先程の恐怖が嘘のように見える。
「悪かったな……申し訳なかった」と頭を下げられるとこちらも申し訳ないと思ってしまう。
おかしなことがいくつかある。
牢屋の壊れ方、この人の怒り方、なにも分からない。
「悪かったね?取り乱していた。僕には夢があるんだ。」
夢?
私にもある。父と母を守るために他の国から攻撃されないために……
「僕は殺してもらうために生きている。僕の父は死んだんだ。」
静かに怒りを抑えてる。だが、必ず怒ってる。
「父親?」
それは頭に浮かぶ言葉のはずだったが声に出ていた。
「はは、嘘だよ!!!……冗談!?僕の父は死んでないんだ。ずっと、生きてる。永遠に生きてるんだ。」
明るく笑顔で嘘だと言った。今日は表情が目まぐるしく変わる。
「永遠に?」
その笑顔と嘘だという言葉に不安しか浮かばない。
「そう、永遠に痛くても辛くても死ねない。苦しくても怖くても死ねない。永遠に生きなきゃいけないんだ。」
『だから、僕はあの人に殺されるために』
(黄の国)
「消えた?」
砂になり消えたバケモノは身体と頭が離れた兄を残して消えた。
兄はずっと「金、酒、女、食いもん」と言ってるだけで虚ろな目をしていた。
姉は僕を抱いて「大丈夫大丈夫」と言って朝になると頭だけの兄を地面に埋めた。
埋めた後に僕は眠ってしまい『強欲な悪魔』とか『アモン』とか『亜種』とか『亜人』とか言っていたがよく分からなかった。
死なずによかったと思ってしまった。生きたいって思うのが強欲ならば僕にはもう、その『亜人』や『亜種』には二度と会いたくないと思うことが多かった。
「お姉ちゃん……僕、死なないために頑張るよ。」




