姉のような存在/ディアナの呪い/黒黄
僕にお姉ちゃんがいたら
きっと、いや、絶対に!!!
優しくて温かくて明るい
そんな、お姉ちゃんが……
いや、
『ノア』が!!!
(黒の国)
「え?」
僕はとっさに出てしまった。声を隠すことはできず泣きながらもう一度言った。
「ね、ノア!!!僕も他の世界を見てみたい!!!他の国を見てみたい!!!」
さっきと変わらぬ笑顔で「なら、行ってみる?この世の地獄に醜く死んでしまう人の死体に」と真っ直ぐと僕の目を見て言った。
二つ返事で『うん』とは言えず目を背け僕は声を出すことができず目を背けた。
「できれば、人の死なない国に」
初めて僕のホホを叩いたノアは僕に声を大きく「そんな国なんかない!!!」と言って1回深呼吸をしてから子供を説教するような親の目になり僕に冷たい声をだした。
「人は死ぬの……必ず死ぬ……『首にナイフを強く当てれば死ぬ』『銃を頭に撃てば死ぬ』『飯を食えなかったら死ぬ』人は、人は、簡単に死ぬの……それにこの国から出れば私は守れることも出来ない」
気づくとノアは泣いていた。
そして、「私は……私は……」と小さな声と共に怯えていた。
「だから、僕は言いたくなかったんだ。」
僕は僕をいじめてたやつのように親と呼ぶにはすごく醜いやつのように『お前は人殺しなど出来ないお前は生きる価値のない人間だ。』
そう、僕に言う……
だから、、だから、、
「だから!!!僕は君に言いたくなかったんだ!!!」
僕は食いかけのパンを持って窓から飛び降りた。
足が痛む。靴など履いてない。足裏の血が滲む。痛い。痛い。怖い。涙が地面に……落ちる。
苦しむ身体は上をむき空を見た。
『今日は晴れていた。』
(黄色の国)
「ニール・アルストフだったかな?君、金は欲しくは無いかい?」
仮面を外し手には宝石が溢れ出した。
兵士は「欲しかろう欲しかろう」と笑い宝石を投げた。
「俺は……どうすれば……」と声をあげた瞬間に手を引かれ女の声で「アモン」とだけ声を出した。
兵士は笑った。大声で苦しそうに……笑った。
「「アモン」か……そうだよ。そのアモンだよ。黄の亜種……否、黄の亜人、俺は金の悪魔マンモンの亜人のシュルート様だ。」
俺はその亜人に襟を引っ張られた。
「残念だったなぁ?遅いんだよ。『バン』とか?『ドブネズミ』とか?『上流階級』とか?『王様』とか?んなの知らねぇ俺には金が全てだ。金を渡し苦しむのも金で死ぬのも金で生きるのも俺様は好きなんだよ。だから、金に埋もれて死ね金に踏まれて死ね」
俺は恐怖と共に「バンはまだ生きている」そう、思った。
「金のために生き金のために死ね」
地面に零れ落ちるほどの宝石は土と変わり兵士の着ていた鎧は大鎌となりニールの首を落とした。
「きゃぁぁぁぁ」と言う女の叫びが耳元で聞こえ視点が落ちた。
地面に首が落ちそこで痛みを感じ髪に温かい血がついて気を失った。
「俺は死んだんだ。」




