第28話「主人公対ヒロイン《クリムゾンバーサスブルー》」
ゴスロリは最高なのだーっ!今期アニメ俺好みのゴスロリっ娘が出ていやがるーっ!!幸せなのだーっ!!
A.
いま私は義理の妹的な意味で大好きな娘に、貴女のことを恋愛的な意味で好きだから一線を超えさせてと据わった目で迫られている。
それも学校のグラウンドという告白するには全くロマンの欠片もない場所で。
「逃げるなんて酷い」
「水無ちゃんと私は恋人関係じゃ無いんだよ?」
フード姿の二人組が、命を貰うとさ言って四方に飛ばした針から私を庇って水無ちゃんは様子がおかしくなってしまった。
「深いキスまでしといて何を今さら怖じ気付いてるの?」
「だってアレは敵を倒す為だし、水無ちゃんの方から!」
何とかして元に戻って欲しいけど、どうしたら良いのか分からない。刺さった針を抜けば良いのかも知れないけど、何処に有るのか見付からない、とにかく今は説得するしか思い付かないよ....!
「私とは嫌なんだ、他に好きな人でも居るの?」
「今はまだ居ないよ」
ずっと昔は居たけど、でも優しくてカッコ良かった彼も両親と同じく誰かに殺されちゃったんだよね。
「なら私以外の人を好きになる前に、殺す」
“殺す“ 水無ちゃんは私にそう言った....いくら敵のせいでこうなってると分かって居ても精神的に辛いよ。
「悪い冗談は辞めて....っ!?」
私の言葉も右側の長髪も水の刃が切り裂いた。女の子の命である髪の毛が斬られて辛いけど、咄嗟に体を反らさなければ体が真っ二つになってたんだから不幸中の幸いと思わなきゃ。
「分かった? 冗談じゃないよ」
今ので確信した、本気で私を殺すつもりなんだ。そんな事は絶対にさせない....私はまだ死にたくないし水無ちゃんに私を殺させたくもないから!
「春野さん、何してるの早く逃げて!」
水無ちゃんが私を追いかけながら人前なのに能力を使うから、生徒みんなは校舎から逃げて行った。
けど逃げるのを諦めたから、心配したクラスメイトの新見さんは戻って来てくれたんだ。
「あいつ貴女を心配して、もしかして」
ヤバっ、今の状態だと誤解した相手を殺しちゃうかもしれないよ....!!
「きゃあっ!?」
予想通り水無ちゃんは新見さんに水流を放ち、私は新見さんを突飛ばして、代わりにそれを食らう。
ただ冷たくて、寂しさを感じる痛みが背中に広がりながら、私は水無ちゃんの華奢な体を蹴り飛ばした。
「こらっ、めっ、でしょ! 」
「うぐ」
水無ちゃんが踞っている今の内に新見さんに逃げて貰わないと!!
「新見さんこそ早く逃げて!」
「あなたを見捨てて逃げろって言うの?」
「そうだよ、良いから早く!」
「う、うん....」
これで邪魔が無くなった.... ....仕方ない、逃げちゃうくらい本当に嫌だけど、水無ちゃんが罪の無い私の友達を殺しちゃうのはもっと嫌だから!
「庇うなんてやっぱりアイツを....んっ!?」
私は水無ちゃんの唇を塞いだ。これで三時間はお互いに死なないからどんな戦い方しても大丈夫、殺さないように手加減して勝てる相手じゃないもんね!
「目を覚まして貰うよ....!」
「なるほど。お互いに闘うのは初めてだね」
そう、出会ってから色んな敵と一緒に戦って来たけど、初めてお互いに戦い合う時が遂に来ちゃった....!
第28話「主人公対ヒロイン《クリムゾンバーサスブルー》」
B.
錫杖を使った連続突きを蹴り技で捌いて、焔を纏った拳による逆襲の一撃で胸元を狙うも、水の障壁を寸前で張られ衝撃を吸収されてしまった。
「前より強くなってるね」
「水無ちゃんこそ....」
次は火焔弾で攻撃だよっ、幾らでも連発できるから避け切るのは楽じゃないよ!
「きゃっ!!」
焔の弾丸を錫杖で叩き落としたり、水で消火していたけど、やがて防ぎ切れなくなり遂に二発を水無ちゃんは受けた!
「すかさず焔ちょーっぷ!」
私が仰向けに転倒した水無ちゃんに、焔を纏った手を振り下ろした瞬間....
「貫け、水槍!」
....水無ちゃんの固形化させた水の槍に私の胸が貫かれ、同時に振り下ろされた私の焔ちょっぷも彼女の胸を引き裂く!
「あううう!」
両方同時に大ダメージを受ける....でもお互いの体は直ぐに傷を治癒してしまう、やっぱり苦痛で気絶させるぐらいしないと!
「不死身を相手にするのは面倒だね」
「本当だよ、敵には今更ながら同情しちゃうかも」
気絶させて拘束して、その間に何とか針を見つけて抜かないと行けない、タイムリミットは三時間....!
「えやああああああ!」
戦えないって疲れ果てさせるか気絶させるか、それしかない、やっぱり攻撃しまくるしかないよ!
「緋美華らしい真っ直ぐな攻撃、故に好きだけど見切るのも簡単」
「きゃっ、あいた!」
私の連続蹴りを全部かわされた挙げ句に脇腹の肉を水刃で削ぎ落とされ、回し蹴りで吹き飛ばされちゃった。
「貴女は私を気絶させるつもりだね」
「バレちゃってたか」
技だけじゃなく心まで見切るだなんて凄いね、流石は水無ちゃんだよっ....!
「当然。なら私は貴女に無理矢理でもイエスと言わせる」
気付くと私は水の玉に閉じ込められていた。息が出来なくて苦しいよ....でも幾ら暴れても全く割れない、こうなったら!
「私に体を許すと言って、そうすれば窒息の苦しみから解放してあげる」
「燃えろー!」
焔を出した瞬間、爆発が起こって水の玉も流石に割られ、これで私は再び呼吸をすることが出来る。
全身大火傷の代償と引き換えに....そろそろ倒さないとヤバイかも、でも技は見切られちゃったしどうしよう?
「相変わらず無茶をするね」
そうだ、あんまり気は乗らないけど勝つ為だよ....幾らするかは分からないけど後でちゃんと弁償するからね!
「とおっ!」
近くに置いてあったサッカーゴールをパンチで破壊、すると破片が水無ちゃんを襲う!
「くっ、破片で視界が!」
「今だ!」
私が持ってる中で最強の技、脚に焔を纏って相手に飛び蹴りを放つ必殺の一撃を喰らえーっ。
「焔神力きーっく」
「きゃああああああああああああ!!」
黒いゴスロリ服も白い焔に包まれながら、水無ちゃんは転がって、かき氷屋台に突っ込んで動かなくなった。
「何とか、勝ったのかな」
後は止めを刺せば、大丈夫死ぬわけじゃない、ただ気絶するだけなんだからさ。
そんなこと分かっているのに何でか私の腕は動かない、あと少しなのに....水無ちゃんを助ける事に繋がるのに!
「覚悟した筈なのに、何でだろ、出来ないよ」
「優しすぎるんだよ」
「ああ....」
水無ちゃんは倒れた状態のまま、腕を伸ばして私の太腿に小さな手を侵入させた。
「全身の血を固めたから暫くは治癒しないハズ」
駄目だ、力が入らない....私は焼け焦げ、水で泥濘んだグラウンドの真ん中に大の字で倒れた。
C.
「大人しく私と一線を超えたら、他の人間に被害は与えないよ」
倒れて動けない私のお腹に、水無ちゃんが馬乗りになって耳元で囁く、負けちゃったしもう受け入れるしかないかな。
「本当....?」
「うん」
「だったら好きにして良いよ」
私は静かに目を閉じる、自分の甘さが招いた事態だし自業自得、それに水無ちゃんにならまだ良いかも、他の人は嫌だけど。
「このバカ、駄目に決まってるでしょ!」
聞き慣れた声に目を開けると、涙目で怒ってるひよりと溜め息を吐いてる金城さんに寄り添う椋椅さんの姿があった。
「ひより!?逃げたんじゃないの?」
「あーやっぱり....トイレ入ってたけど、腹痛で声が出なかったの、恥ずかしいこと言わせんじゃないわよ!」
返事が無いし誰も居ない、鍵が壊れてるのかなーと思って放置して逃げたんだけど、申し訳ないことしちゃった。
「そうだったんだ、ゴメンね置いてっちゃって」
「いいわよ別に....私にも非はあるんだし」
「それよりあなた、爆発音が聞こえて見に来てみれば何てザマですの!!」
金城さんの言うとおりだ、全く自分で情けなく思う、こんなんじゃ、お姉ちゃんを倒すなんて無理だよ。
「邪魔者は排除しないと」
私はもう戦えないし金城さんと椋椅さんに任せるしかない。でも水無ちゃんだって私との戦いで疲労が溜まっているハズだよ!
「生意気ですわよ!」
「がはっ....」
「春野さんとの戦いで弱ってた様ですわね」
いつの間にか背後に瞬間移動していた金城さんにジャーマンスーップレックスを決められて水無ちゃんは気を失った、体力の限界はお互い様だったんだね。
「ありがとう金城さん。あとは針を探して抜かなきゃ、でも見当たらないの」
「服の下は見たワケ?」
「み、見てないよ....」
家の外でそんな事できないよ、恥ずかしいし!
「女の子同士ですし恥ずかしがらずやれば良いのでは」
そう言って、椋椅さんは涼しい顔で水無ちゃんのゴスロリ服とパンプスを脱がし始めた....!
「きゃーっ」
「あんたコイツと毎日いっしょに風呂入ってる癖に」
もう、何で私と水無ちゃんが毎日お風呂に一緒に入って背中を洗いっこしたり髪洗ってあげたりしてるのをひよりが知ってるの....?
「状況がぜんぜん違うし」
「目を覚ます前に見つけて抜かなくては、再び目を覚まして暴走されても困りますから....おや」
「有りました?」
「これですね」
水無ちゃんのお臍の真上に針が刺さっていた、椋椅さんによるとコレが刺さると嫉妬心に狂うらしい。
「えい」
ぶちっ、確かに針は抜かれた、皮膚ごと。勿論、血がいっぱい吹き出してヤバい事に....!
「きゃああああああ水無ちゃあああああん!!」
「すみません。つい強引に」
「お馬鹿!!ワタクシが針を転移すれば安全に外せると、さっき見ていて十分に理解してるハズでしょうに」
「見て! 傷が治ってくわ」
「あー....さっきキスしたんだよ」
それから未だ三時間も経ってないから治癒するしセーフだよ。でも泡吹いてるし気絶してても相当痛いんだ、かわいそう....!
「服脱がすのは躊躇う癖にキスは出来るとか」
「本当、理解し難い脳味噌をしてますわね」
アレ....ひよりと金城さんの仲が今までよりも良くなってる気がするんだけど、気のせいかな?
「うーん」
「あ、気が付いたみたいですよ!」
「緋美華....私は....」
良かった、何時もの可愛いくて大好きな水無ちゃんに戻ってくれたよ....!
「!」
「わっ」
嬉しさの余り水無ちゃんに抱き付いてしまった、でも嬉しくて抱き着かずにはいられないよっ!
「元に戻って良かったぁ!」
「えと、ごめんね....嫌いにならないで」
「ならないよ、大好きだもんー!」
涙目で上目遣いなんてされたら、あんな目に遭わされたことなんてすっかりどうでも良くなっちゃった!
「感動のシーンですわ!」
「服をちゃんと着てればだけど....ね」
あ、忘れてた、水無ちゃんはいま下着姿だ。
「本当だ、わたし服を着てない。嬉しい....その気になってくれたんだね」
凄い誤解をされているんですけど、服を着せるのが先だったかーっ....
「いやコレは違くて!」
「でも家に帰ってから....それに服は着たままがいいな」
「えっ」
水無ちゃん....もう私とあんなことやこんなことするのは確定なの!? 駄目だよ年齢制限的にも法律的にもアウトだよーっ!
「幼女の癖に飛んでもないド変態ですわね」
「真っ昼間から何て話してんのよアンタ達はーっ!」
さっきまでのシリアスな雰囲気は何処へやら、私たちに辛辣な空気は似合わないってことかな。
とにかく私は水無ちゃんが私も誰も殺さずに済んだ事に喜ぶと同時に、学校のみんなに説明しなくちゃいけないことに頭を痛めるのだった。
つづく
もっと面白いバトルが書けるようになりたーい!




