第24話「地獄の特訓!」
ノリだけで来たけどもうちょっと設定とか考えてから書いたら良かったorz
A.
金城と椋椅の主従コンビに敗北を喫し片腕を失った月夜。都会と比べて遥かに人は少ないが、野生動物は多い緑豊かな村へと彼女は逃げ込んでいた。
「まさか負けちゃうなんて、此の侭じゃ皆が....」
さっきまで片腕が有った部位を見詰めながら、今にもわ消えてしまいそうな声で月夜がそう呟くと同時に、
「殺されちゃうね」
と....木陰からフィエーアが姿を現した、透明化して月夜を観察していたようだ。
嫌いな人間の中でも上位に位置する人物であるが故に、自然と舌打ちしてしまうのは仕方がない。
「死刑宣告でも頼まれたかよ」
月夜本人は強気に言葉を発したつもりだったが、予想以上に体が衰弱しているのか、自分でも驚くほど弱々しい声が出てきて少し驚いた。
「我らが主は寛大な方だから、一度や二度の失敗じゃそんな事はしないよ」
紅鴉の部下の殆どが彼女を寛大かつ強く聡明な方とまるで神でも慕うかの様に持ち上げる。月夜はそれが気味悪くて仕方なかった。
「じゃあ何しに来たんだ」
「協力してあげようと思ってねェ」
フィエーアの代わりにそう答えたのは、白衣を着た幼女....千戦狂叫だった。
「協力だと?」
「肉体を改造してあげよう、つまりはサイボーグになるんだ」
「やっぱイカれてんなアンタは」
千戦狂叫....その見た目は幼女だが海に入った人間を引き摺り込み海底の研究室で実験台にしているマッドサイエンティスト。
哀れにもモルモットにされた人間達はみんな、途中で死んでしまうか、生き残ったとしても狂人と化してしまっている。
研究対象には能力者も含まれ、幼いながらもイカれた研究者としてそれなりに知られているのだ。
そんな人間に改造されるなど、自殺にも等しい行為だ。月夜は首を横に振りたかった、だが....
「何れくらい掛かる?」
月夜はそう訊ねた、能力のタネが明かされ重傷を負った自分が、春野緋美華と彼女を助けるであろう仲間に勝つのは殆ど不可能と察していたから、コイツに賭ける敷かないと思ったから。
「暫くは掛かるがねェ、我らが主は待って下さるそうだよォ」
「それまでに奴等が私以外に殺されたら!?」
「どうなるかなあ、家族は用済みとして殺されちゃうんじゃない?分かんないけど」
フィエーアは心の底から嬉しそうに言った。その態度に月夜の頭に血が上り始める、だが此の状態で戦ったところで勝ち目があるわけない事は理解していたので、歯を食い縛り怒りを堪えることにした。
「どうなるか気になるから殺しに行っちゃお。私あれから沢山の生き血を啜ってきたから更に強くなったし」
「辞めろ....!」
「どのみち君では無理、フィエーアが負けるのを願いながら改造手術を受けるのが一番賢いと思うよォ」
「クソっ....私が殺すまで殺されるんじゃねえぞ」
この時の月夜が見せた表情を見て、根拠は無いが、初めて私の実験に耐えられる人間が現れたかもしれない....と白衣の狂人は胸を踊らせ新たなモルモットを研究室へと運び始めた。
第24話「地獄の特訓」
B.
金城さんと椋椅さんの活躍で、奪われた能力が戻って来た! これでまた悪い奴等と戦えるよ。
でも月夜と名乗った女の子....彼女よりも厄介な能力を持つ敵が現れるかもしれないし、お姉ちゃんには今のままじゃ勝てない。
「水無ちゃんは別メニューで」
「分かったわ、子供にやらせて良いもんじゃないしね」
だから特訓して強くなろうと....いま金城邸の広大な庭に訪れていた、池もあるしゴルフすら出来そうだし迷子になりそう。これだけ広ければ目一杯に特訓が出来るよ!
お見舞いついでに頼んで良かった、金城さんは風見さんを守ってくれないと困るから特訓しなさいって....本当に金城さんはひよりが好きなんだなあ。
「うわっ」
「来たわね」
ジープ....じゃなくユニキャブって言うらしい車が入って来たかと思うと巨大なプールの隣に泊まり、中から一人の女性が降りてきた。
「どうも〜遅くなりました。あ、あなたが水無ちゃん?話には聞いてたよ、可愛い!」
そうでしょそうでしょ、可愛いでしょ。でも一番に水無ちゃんを可愛いって思ってるんだからね!
「誰?」
「ひよりの友達のお姉さん、奈南さんだよ。運転できて暇な人だから手伝って貰いに来たんだよ」
そう水無ちゃんに説明しながら、私はタイヤのついたロープを腰に巻き付けた。
「何してるの」
水無ちゃんの疑問に、ひよりは私を指差して、「まあ見てれば分かるわよ」と答えた。
「では初めます」
と言って奈南さんはジープじゃないや、ユニキャブに乗り込みエンジンを掛けてやるぞー!と叫んで....
「え?」
....水無ちゃんをビクっとさせた。もう、やる気あるのは分かるけど私の可愛い妹を驚かせないでよね。
「いい?行くよ!」
いいよと答える間も無く、ユニキャブが発進し私の背中に迫り始めた....全力で走らないと轢かれちゃうよーっ!!
「うわああああああ、轢かれるうううううう!!」
水無ちゃんにキスして貰ったから三時間はセーフとはいえ、なかなか怖い....タイヤが重くて思う様に走れない、追い付かれるー!!
「いったーい....!!」
ついにユニキャブは私をタイヤごと撥ね飛ばし、プールの中へと誘った。あ、えーとタイヤは浮かんだけど私は沈んで....溺れる、溺れるーっ!!
C.
いくら不死身だろうと気絶はする、溺れて気を失っている緋美華を人工呼吸で起こそうとしたんだけど。
「子供の分際でまだ早いわよ私がやる!!」
風見ひよりが目にも止まらぬ速さで緋美華の唇を奪い、心臓マッサージを始めてしまった。
子供の分際って....特訓中に死ぬかもしれないからと嫌そうな顔でとは言え、緋美華と私にキスしときなさい!と指示したのは何処のどいつだ。
「子供って私から見たらひよりちゃんも子供だよ?」
奈南とやらが正論を吐いた。いいぞ、もっと言え!
「それもそうですけど、緋美華の面倒は私が見ますから。他の人に迷惑かけさせられないし」
「立派だね」
「まだ未熟です」
騙されるな....コイツは他の人間に面倒をかけさせたくないってよりも、わたし以外の人間に緋美華の面倒を見させたくないって思ってるよ。
「....目を覚まさないわよ!?」
「大丈夫だよ。それだけ処置したなら、暫くすれば目を覚ますから」
「そうね....じゃあその間、 アンタも同じ特訓をしましょう!」
「え、嫌だ」
さっき子供にやらせて良いもんじゃないって言ってたのは何だったの?
「冗談よ....私はアンタも死なないんだし同じ特訓をやらせようと思ったんだけど、緋美華に猛反対されゃったのよね」
「良かった」
ありがとう緋美華、惚れ直したよ。貴女はこの鬼畜ドS女とはやっぱり違う....。
「うーん、おはよう」
緋美華が呑気な目の覚まし方をした、寝ぼけてるみたいだ。
「起きたわね。次は滝に打たれに行くわよ!」
ここには滝まであるのか、豪邸だけある、でも何故に滝があるのか、金持ちの道楽か....?
「え、えっと水は当分あとに....」
「文句言わない!精神力を鍛えるわよ!」
「うえ〜ん酷いよー!!」
溺れたばかりで水に対する若干の恐怖が残ってる緋美華を、風見ひよりは強引に奈南が乗ってきた車に乗せた。
「将来はブラック企業の社長かもしれない」
働くとしてもあんな上司のいる会社に勤めるのは絶対に嫌だ....ブラックどころじゃない上司ばかりの組織に居たけど、奴等は悪だと言う自覚が有った。
けど彼女やブラック企業の偉い方は良かれと思ってやってるのが厄介だ....と考えながら、私は気持ちが沈んでいる緋美華の膝上に座った。
つづく
かゆい!痒い




