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赫蒼の殲滅者  作者: 怪奇怪獣魔爾鴉男
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第1話 邂逅!元気なJKとクールな幼女!

文章力や表現力とか段々上がっていくといいなあ


挿絵(By みてみん)



a. 時は一九九六年、九月七日ーーー漆黒のゴシックロリータ服を着た少女が、蒼いツインテールの髪を靡かせて疾走していた。



場所は昼間でも薄暗い森の中なので、真夜中である今は尚更暗く、懐中電灯の光が無ければ何度転んだり木に衝突したか分からない。



そんな彼女の後ろからは、蒼白い仮面で顔を隠しボロボロに汚れた黄色いフードを身に纏った者が空から追ってきている。少女は“それ”から逃げているのだ。



しかし少女は間もなく森を抜けて街に出るという所で足を止めた、と言うより止めざるを得なかった。



身の丈は三メートルも有り、蟻に鳥の翼の生えたような体に、爬虫類のような頭部といふ異様な姿をした怪物が立ち(はだか)ったからだ。



少女はその怪物が黄衣の配下である事と、自動車と同等くらいの速さで飛行することを知っていた。



到底逃げ切れない....黄衣の追っ手も、段々と近くに来ているのが気配で分かる。



「どいて」



少女はスカートをまさぐると、そこから分厚く人間の顔が描かれている不気味な本を取り出して数ページ程捲り、水色の玉を飲み込んだ。


すると怪物の真下に紫色に光る魔方陣が現れ、そこから勢い良く間欠泉の如く噴き出した水が怪物の胴体貫いて撃墜した。



本には怪物の召喚または撃退する方法、魔術の使用方法、水に関する知識が記載されている。



そのうちの水の知識と魔術の使用方法を組み合わせて、水の魔法を使用したのだ。



「小癪な真似をしおって!!」



既に少女の背後まで追い付いていた黄衣は、蚯蚓のような数本の触手を袖の下から伸ばし、彼女に叩き付ける。



「あう....」



少女はスカートを捲り上げ、太腿に巻き付けられたホルダーから蒼い棒を取り外す。こんなもので戦うつもりだろうか....違う。


少女は棒に付いている銀色のボタンを押すと、棒は数十センチ伸びた、これならばロッドと言う一つの武器として扱う事が可能だ。



「汚い触手で触らないで」



「流石だな、津神 水無(つがみ みな)。貴様をこの手で処刑できるのが嬉しくて仕方がない!!」



「相変わらず悪趣味」



津神 水無と呼ばれた少女は、再び振り下ろされた触手を軽快かつ人間離れした動きで容易く回避すると、黄衣の懐に飛び込み彼の心臓部をロッドで突き刺した。



「我々には悪趣味な人間しかいないだろう?」



「お前は人間じゃない、最早化け物」



「お互い様だな」



心臓を貫かれたにも関わらず、黄衣は苦痛の声をあげる事も血を流す事も無く、軽口を叩き触手で水無を弾き飛ばし、自分の心臓に刺さったロッドも難なく引き抜いてしまった。


やはり人間では不可能な行為、しかも触手を扱い、飛行も可能、尚更化け物と言う表現が似合う存在だ。



「くっ....あう」



「じゃあな、裏切り者は処刑せねばならんからな」



倒れる水無の幼い身体に、容赦なく触手が振り下ろされ、彼女の上半身と下半身は綺麗に別れた。



黄衣の処刑人は水無の”死体”をこの森に放置して、この死体を見つけた者はさぞ驚愕することだろう、と嗤いながらその場を去った。




第1話「邂逅!元気なJKとクールな幼女!」



B.



「起きなさあああああい!!」



うーん...アラームは止めた筈なんだけどなあ、ぽんぽんと叩いてるのに、一向に鳴り止まないのは何故だろう。壊れちゃったのかな?



「こら、寝惚けてるからって人の頭を叩いてんじゃないわよ」



いや違う、これは目覚まし時計の音じゃなく人の声だ....それも良く知っている人の聞き慣れた心地良い声....。



「私は目覚まし時計じゃないの、このままじゃ遅刻するわよ、さっさと起きなさないよ!」



「うあっ!?」



腹部に痛みが走って、目が覚めた。幼馴染みである風見 ひより、彼女が来てくれなければ遅刻は確定だったけど、もっと優しく起こして欲しかったよ。



「また私ってば寝坊しちゃったんだ」



「そうよ、これで何百回目の寝坊かしらね!!」



今回こそは自力でちゃんと起きようと思ってたのに、結局何時もの様にひよりに世話を掛けさせてしまった。これも全部ふかふかで寝心地が最高のベッドがいけないんだ!



「ごめんね、今準備するからね」



「早くしなさいよ...今日も走る羽目になるのね。はぁ....毎日走ってるのに何で未だに百メートル走、下から八番目なのかしら私....」



「ごめんってば!!」



私は急いで制服に着替えると洗面台で顔を洗って歯を磨いて鞄を持ち、ローファーを履いて準備完了....その間僅か二分!私は最強最速!!



「準備出来たよ、早いでしょ!」



「でも走らなきゃ間に合わない時間には変わらないし、あと」



「え?」



「靴下履き忘れてるわよ」



しまった、慌てて靴下を履くの忘れていた、プライベートだと靴下履かないからなぁ。



「履いてくるよ」



「そんな時間無いから!」



そんな訳で靴下無しでローファーを履いて登校することになってしまった。足が臭くなっちゃうかも....でも遅刻する訳にもいかないし、今日だけ我慢!



「はい、これ」



「ありがと。いっへひまーふ」



ひよりが作ってくれた鮭とツナマヨと梅干しが入っている彼女しか作れないというか、作ろうとしないであろうおにぎりを頬張り家の外へ出る。



「こら、口に食べ物を入れて喋るんじゃないの!高校二年生にもなってそれくらい分かるでしょ!」



はーいと飲み込んで返事をすると、ひよりは眉を顰《しかめ》て、溜め息をついた。



「じゃ、走るわよ」



突然ひよりの言葉を遮って大きな物音がした、自宅の二階からだ。



「ふぇっ」



「泥棒とかじゃないでしょうね、見に行くわよ」



「でも遅刻しちゃうよ」



「物盗まれるよりはましでしょ!」



お気に入りの少女漫画とか可愛い私服、お母さんとお父さんの形見とか盗まれたら嫌だなぁ。


あ、もしかすると下着泥棒の可能性が....私は可愛いから有り得るね。



「でも危ないよ」



「不良どもを片手で気絶させるような奴が何言ってんのよ?」



怖いのは怖いよ、最近この街では色んな事件が多発して物騒なんだから....不良なら未だしも、本当に泥棒だったり、強盗だったら勝てるか分からないよ。



「だったら私一人で見に行くわよ」



「もう、心配だから私も行くよ」



「心配してくれるの、ありがとね」



そりゃ大切な幼馴染で一番の親友だし、もし何か有ったら悲しいよ....と言う訳で結局様子を見に震えながら二階へ向かうことに。



「荒らされた様子は無いわね」



「私たちが上がってくるのに気付いて荒らす前に逃げたんだよ、きっと」



窓の鍵が壊れてるから、きっと其処から入って来て逃げたんだろうな、早く修理して貰わないとね。


そう思っているとゴトッ....と使ってない物置部屋の押し入れから音が鳴り、驚いてひよりの腕に獅噛みついてしまった。



「ちょっと!!」



「この押し入れの中に何かいるよ〜!」



「ね、猫かもしれないわね」



猫というか猫型ロボットの方がいそうなんだけど、というか何でひよりの顔が赤いんだろ。今はどちらかと言えば赤くなるより青冷める場面だよ、熱でもあるのかな?



「あ....開けるわよ」



「う、うん、せーの!」



恐る恐る押し入れを開けて見ると....何と!



「な、どういうことよ...これ」



「はわわわ!」



其処には小学生くらいの蒼いツインテールの女の子がいた、ボロボロだけど黒くてフリフリなドレスみたいな服を着ている。



「.....」



「えーと、どこの娘かな」



「.....」



女の子はじーっと、不安げな瞳でこちらを見つめたまま黙っている。


でもそれじゃ困るよ、迷子でも先ず他人の家には入らないだろうし、こんな高そうな服を着ている娘が泥棒に入る理由も無いと思う、どうしてこんな場所に居るのか、その理由が知りたい!



「怯えないで良いよ、私たち怖くないから。お母さんは?どうしてこんな場所に居るのかな?」



「......」



「迷子?」



「......」



いくら質問しても女の子は無反応....何か答えてよー!



「目を開けたま寝てるのかな?」



「そんなわけないでしょ!授業中のアンタじゃないんだから」



「授業は眠たいけど寝たら怒られるから、先生に寝ているのがばれないように編み出した私の技を見破っていたなんて!」



「頭は良くないけど悪知恵は働くからね、アンタは」



「酷い....そんな事より、この娘をどうしたものか」



悩んでたら誰かのお腹が鳴った。私じゃないよ、おにぎりをさっき食べたし、となると...?



「わ、わたし!?違うわよ!」



ひよりの顔に視線を送ったら否定された、じゃあ残るのはこの女の子?



「...私」



女の子が遂に喋った、ちょっとした進展だけど嬉しいな!



「お腹が.....空いたの」



「ちょっと待っててね!」



私は一階に降りて、冷蔵庫からプリンとスプーンを持ってくると、女の子の目の前に置く。それを見た女の子は首を傾げた。



「お腹空いてるんだよね、どうぞ。毒とか入ってないから安心して食べて良いよ」



「それは匂いで分かるけど、何でくれるの?」



「アンタがお腹空いたって言ったからでしょ」



私の代わりに、ひよりが水無ちゃんの疑問に答えてくれたので、そうそう彼女の言う通りだと頷く。



「得体の知れない奴なのに?」



「それでも君は空腹の女の子に変わりはないから、放っとくなんて出来ないよ」



「要するにお人好しなのよ、この娘は」



「えへへ、そうでしょ私ってば見た目だけじゃなくて性格も良いんだよ〜!」



「ありがとう、私は津神 水無(つがみ みな)



津神 水無ちゃんか、可愛い名前だなぁ。それにしても、さっきは黙ってたのに名前まで教えてくれるなんて、これも食べ物の力かな?



「あと、お人好しって悪口だから喜んじゃダメだよ」



「ふぇっ!?」



そ、そうなの?良い人が言われてるのを良く見かけるから、てっきり褒め言葉なのかと思ってたのに!



「私は風見ひより、このバカの幼馴染よ」



ひよりに先に自己紹介されちゃった....って、馬鹿って今度は直球で悪口言って来たよ!....否定できないけど。



「私は春野 緋美華(はるの ひみか)、何処にでもいる可愛い普通の美少女女子高生だよ!よろしくね!」



「普通自分を美少女って言う?」



「だって本当の事だもん!」



「確かに、可愛いか可愛くないかって言えば可愛いけど」



えへへ、そんなに沢山可愛い可愛いって言われたら流石に照れちゃうよ〜!



「でしょでしょ、でもひよりだって可愛いよ!」



「なっ....煽てても何も出ないわよ、もう」



顔を赤らめ恥じらう ひより の女子力が高くて可愛い、私も女の子なのにキュンキュンしちゃったよ。



「二人とも仲良しだね」



水無ちゃんから見ても、私達は仲良しに見えるんだ。自他ともに認める深い友情で結ばれてる!



「えへへ、私とひよりは仲一番の良しだよ!」



「ただの腐れ縁って奴よ!」



....こうして此の日、私と水無ちゃんは運命の出会いを果たしたのでした....。





C.


久々のまともな食事と言う事も有るけど、このプリンは美味しい....まさか自宅に不法侵入した私に対して食べ物をくれるなんて。


赤く長い髪の女の子・春野 緋美華は、彼女の幼馴染である風見の言う通り相当なお人好しみたいだ。


それに(とても)優しい瞳をしている、ダイヤモンドのように綺麗で穢れの無い瞳。疑い深い私ですら、見詰めていると心が溶かされて、彼女は信用して良い人間だと判断してしまった。



「美味しい」



「良かったー!足りなかったら、まだご飯いる?」



正直に言ってまだ食べたい、久々のまともなご飯、だけど、そんなの図々しい....悩んだ結果わたしは....



「・・・いる!」



と自分でも驚くほど力強く答えてしまった、人間の三大欲求である食欲に勝つ事は出来なかった。



「良い返事だね!ちょっと待っててね。すぐ作るから」



そう言って緋美華は、再び一階へと降りて行った。何だか私よりも嬉し



「あいつのお人好しにも呆れるわね、あ、不法侵入したことは警察には言わないであげるから安心しなさい」



「うん、ありがとう」



風見 ひより、彼女は髪を茶髪に染めていて目付きも鋭く、厳しめの口調で柄の第一印象で悪い人間だと思ったけど、以外と優しいのかもしれない。



「でも学校は?」



「あー....聞いてたのね、アンタが気になって遅刻どころじゃないわよ。ご飯食べたら話聞かせなさいよね」



「....良いよ」



普通の生活をしているだろう二人に信じて貰えるかは分からないけれど、話すだけ話してみよう。



「できたよー!目玉焼き、卵焼き、ゆで卵、焼き鮭!」



「卵率高いわね!!」



卵料理は美味しいし飽きないから、嫌いじゃない。



「いただきます」



卵焼きから口に放り込む、その美味しさと、何年ぶりかに触れた人の温もりに私は泣きそうになる。






これが私と緋美華が記念すべき運命の出会い....。




つづく

1話に1バトルを心がけます

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