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5杯目 僕とトライアンドエラー。

次の日の朝僕がおいてまず行ったことは自分の頬をつねることだった。


力いっぱい。


当然、痛い。


では昨晩破壊されたリビングはどうなっているでしょうか。


一杯の力で。


当然、ボロボロだろう。


じゃあこの状況は意外、というべきか?


いつも通りのリビングがそこにはあった。窓枠すら直っている。業者を呼んでもこんな時間じゃ終わらない。


普通じゃない結果は普通じゃない方法が使われたはずで。


今うちの敷地で一番普通じゃないのはソファーにいる彼女。

原因も彼女と考えるのが自然だろう。



「おはよう、エーデルガルト。突然で悪いけど・・・・あれ。寝てる。」


またソファーで寝ている彼女。仕方ない、と肩をゆすり声をかけるが相変わらず起きない。

どうしたものかと周りを見渡すと不思議と埃もないテーブルの上に白い紙が一枚。コピー用紙に青いボールペンで書かれた手紙だった。


流れるような筆跡にもかかわらず十分にうまい、と言える字で少し角ばった印象を受ける字は彼女の目などとよく合っていると感じた。


内容は・・・


「空腹で休眠に入る・・・食事が用意できなかったから助けてほしい?ほんの少しくれればあとはどうとでもできる?この状態で二週間は死なないが、かなりつらいので申し訳ないが早くしてほしい?ヴォルフはひと月は動けないはずって生きてんのかあれで。とんでもないな。」


つまり


「飯をくれ、と。」


うん


それはいい。

命助けてもらったし。


助けられる側(ヒロイン)力が上がってる気もするけどそれもまあいいよ。


ご飯なら作ってあげましょう。

たらふく食べさせてあげるよ。


たださ



「エーデルガルト。君のごはんって何なのさ?」



僕は途方に暮れた。





あっという間に三日がたった。金曜日にあんなことがあって、土曜の朝から日曜、月曜の三日間。

今は月曜日の18時。だから正確に言えば三日と半日か。とりあえず母親の部屋に彼女を運んだ僕は様々な手を尽くした。まずご飯もの、パスタ、うどん、おかゆ、ケーキや果物を試した。ダメだった。

まぁ、ここまではいい。

ヴォルフから聞いていた。


普通の食品じゃダメなんだろう。


じゃあ普通じゃないものってなんだよ。

ここからは時間がかかった。思いつかないのだ


とりあえず窓を開けてみた。

空気中から何かそれこそ魔力とか吸ってんじゃないかと。



二時間後にこれ待つ必要ないなと気が付いてほかのものと並行して行うことに。



そばにいてみる。気とかなんとか吸ってんじゃないかと。

ついでに妖怪とかだと恐怖を吸うっていうから無駄に怖がってみた。


美少女(ヒロイン)をウヒィィィとか怖がる高校生。

二時間頑張った僕をほめてほしい。



いつまでやればいいかわからんからいったん保留。



発想の転換、立ち上がったとき彼女は何と言っていた。

少しだけ回復できた、的なことを言っていたじゃないか。

あの時の状況を思い出すんだ・・・


まずは


猫!!

失敗(見つからなかったしあれは猫じゃなくておっさんだったことに気が付く)


月明かり!!

既にやってた無効!!


男子高校生の飛び込み(ヒーローダイブ)

うめき声以外変化なし!僕の心に大ダメージ!!ごめんなさい


次!


怒鳴り声!

無効!のどが嗄れた!近所迷惑!!


笑い話!

熱い思いして乗せた食用カツラ(カルボナーラ)!!ただただ熱い!意味なし!後でスタッフ、僕がおいしくいただきました!さめてからやればよかったのに!!


遠心力!!

リビングまで引きずって行ってジャイアントスイング!!

うすうすわかってた!!無意味!危ない!


まだまだ!


暗いとこでこそこそ話!

無効!!意識しないようにするのが大変!!


自慢話!!

そんなに自慢話ないよ!!効果!?ないよ!!


笑顔!!

どうしたらいいかわからん!口角掴んであげてみた!効果なし!柔らかかった!!




そうして現在。寝ても数時間の仮眠のみ。そんな三日間を過ごした僕は寝け覚ましに好きでもないコーヒーをカパカパ飲んでいた。

最初の食事を作るときにインスタントコーヒーを買ってきたのだ。


正直買いたくはなかった。しかしあれは自分のものではなく家族誰かの買い置きなので仕方なく買った。


結局開けて飲んでるが。ティーパックがない家では最も簡単にカフェインを摂取できるものである。


一息つくと、上がりきったテンションは下がりクールダウン。

僕は目をそらしていた事実と向き合うことにした。


正直今までやった方法より可能性がある方法が3つある。

だが正直あまり気が進まない。2つは高校生にもなってやったらつかまりかねないから。1つは人道的に。


しかしそうも言ってられない。もう3日だ。


寝不足を言い訳にジャイアントスイングして遊んでる場合ではないのだ。


覚悟を決める!!



とりあえず、中では一番問題なさそうなとこから。


抱きしめる。

ベッドの中にお邪魔して正面からギュウっと。

1・・・2・・・3・・・


「はいっ100!!無効!!離れます!!」


よく耐えたぞ僕!ソファーの下のあの瞬間を再現。

自分に大声で宣言して脱出。

暫く落ち着くまで時間がかかった。


「あとふたつかぁ・・・・」


気は進まないが、可能性は高い。


ヴォルフの話の後彼女は私たち、といった。


そして家に入るときに招き入れてもらわなければならない、とも。


催眠術を使える。異常な膂力、回復力。


ご褒美(口づけ)の時に瓶で口を切っていたこと。つまり血を飲んで回復した。


僕はこんな描写をされるモンスターに覚えがある。



吸血鬼。



自分の部屋からカッターナイフを取り出す。


「きっと変な病気はないと思うけど・・・なんかあったらごめん。」


吸ってはいて、人差し指に刃を当てて勢い良く引く!二度目が嫌だからなるべく強く!


「いっっっつぅ・・・・うわ。」


思った通りに傷ができ、思ったよりも出血していた。


ぽたぽたと血が垂れ始める。


とりあえず彼女の口元にもっていく。


白い肌に赤い唇。

そこのに僕の血が垂れていく。口の傍から血が流れていく


「・・・これじゃダメか」


唇をこじ開けて口内へ。


指を突っ込む。


熱い。


湿った音。


だんだん音が粘っこくなっていき。


舌の熱さは増していく。




「はっ!!」




慌てて指を引き抜くティッシュで指をぬぐって部屋にあるばんそうこうで止血。

どれだけそうしていたかわからないがとりあえず血は飲ませた!結果は・・・



「・・・すぅ・・・」


「・・・あれ・・・ほぼ間違いないと思ってたんだけど・・・」


安眠。つまり僕は無駄なことでかなり変態な真似を・・・

・・・起きたら土下座して謝ろう。




しばしの間自己嫌悪との戦いだった。

安っぽいコーヒーを飲み、一服した僕は気合を入れて立ち上がる。


既に心臓は早鐘を打つ。非常事態。しかしこれ以外はもう思いつかない。


ベッドサイドに立って彼女の寝顔を見つめる僕。


「じゃあ最後か・・・これ以上は思いつかないよ」


ゆっくりとベッドに腰掛けて、右手をつく。


「寝たふりなら今すぐ起きなよ・・・・?」


沈み込むほど右手に体重をかけていく。


「今から君がしたことをする。」


顔をゆっくりと寄せていく


「君からのご褒美、を。」




「いいのかな?」




「んっ。」






うっすらと目が開き紫色の瞳が見える



「ん・・・シュンヤ?」


「エーデルガル・・・」





ガダン!と戸が開く音。

「俊也!!!学校やすんでどうした!!倒れて・・・・・」


泰樹(やすき)声が大きい。病気と決まったわけでは・・・」




少女の上にのしかかりキスをする男。

しかも学校を休んで。


亜矢(あや)。」

泰樹(やすき)。」


高校で仲の良い二人は頷きあうと


「お邪魔しましたー。」



「待ってお願い!!!」




そうして眠りの森の美女(エーデルガルト)は起きた。



つまり、そう。僕の土下座祭りの始まりだ。


今日はここまで。明日は20時予定です。

お読みいただきありがとうございました。

感想、評価ポイント入れてくださった方ありがとうございます。感謝いたします。

まとめて毎日投稿できるわけではないですが、頑張っていきますのでどうぞよろしくお願いいたします。


追伸:ブックマークしてくださった方にも感謝を。損させないよう努力いたします。

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