45杯目 僕と現状確認
本日三杯目です
よし、こんなもんか。
深夜二時過ぎ、自室に戻った僕は今日話した情報をまとめた。
正直に言ってわからないこと、秘匿されたことも多い。
しかしかなり話は分かりやすくなったと思う。
ここで皆の状況に関してまとめてみよう。
裁定者・ヴォルフ。所属は黒。
パルバム・フォン・エーデルガルドの叔父にあたり、彼女を生きて連れ変えることが目的。
正体は呪術による変異した元人間。
ワインがないと死ぬ、らしい。
能力は単純な腕力、タフネス、変身能力、軽い催眠術。
防衛士・矢撃。所属は青。
正体は・・・不明、としておく。
土地を守ることを目的とする。
そのため住民に攻撃する意思があるものすべてを排除する。
そのためエーデルガルドは攻撃の対象にならない。
しかし彼女に攻撃を仕掛けたこともある。
エーデルガルド曰く最大の敵。
攻撃した詳細は黙して語らず。青の核心に触れる、とのことだ。
能力は血液など肉体を代償とした魔術攻撃。
武器は三段ロッドと銃。
逢魔が討ち・祓。所属は赤、らしい
正体はクラスメイト赤荻 亜矢。
人の生き死にを歪める『穢れ』を討つ。
現在敵対しておらず、街はずれの調査中と思われる。
能力は融和と拒絶、らしい。
土地神の力を借りる。
パルバル・フォン・エーデルガルド。
所属はしていないそうだがルーツは黒。
腕力なども人外級。しかしヴォルフには劣る。
多重人格?疑惑がある。
ヴォルフも確信はないとのことだが言行動が普段から考えられないほど荒くなったのは事実だ。
現在行方不明。あと四日たったら合流予定。
処刑人・ショニエッター。所属は黒。
名前には刈り取る、という意味があるらしく、処刑人になる際に名付けられた。
正確は純粋で精神年齢は低い。
しかし戦闘能力は高く、ヴォルフでも勝負にならないそうだ。
可能性があるとすれば説得だが、幼いころからの刷り込みで黒の言うことを疑う、という考えがないそうだ。
目的はエーデルガルドの殺害。
完全なる敵対。
まぁ、大分状況はすっきりしたのではないかと思う。
少なくともショニエッターを中心に考えれば、全員が味方だ。
僕らは全体の情報の共有をした後、今後の方針を相談した。
その結果全体の目標は共通して、ショニエッターの撃退であること。
祓、エーデルガルドの協力を求めることで同意した。
理由は単純な戦力不足。
昨日もよく分かったが、ヴォルフや矢撃の攻撃力ではせいぜい不意を突いて驚かせる、程度のことしかできない。
そういう僕は計算にも入らないんだけどさ。
具体的な倒す方法に関してはまだ方法が思いつかず、三人だけで話しても無駄だろうということで保留。
あぁ、ちなみにショニエッターは邪魔するもの、超常の力を持つ者以外は、たいていの場合狙われないそうだ。
矢撃とヴォルフも本来の目標ではないため、しつこく追われることはないので問題ないとのこと。
また人質や拷問などを行う性質ではないためそういった意味でも個人行動にも問題はない、とのことだった。
エーデルガルドと祓を僕が見つけるまではいったん終了とし、矢撃やヴォルフがエーデルガルドを発見した場合には僕に連絡が来ることになっている。
一番交渉に向いている、とのことだがとどのつまり攻撃力が低く話がスムーズだと、いうことだろう。
全く、事実でも落ち込むなぁ。
とはいえ、腐っていてもしょうがない。
もう三時に近い。
とりあえず今日は寝て、なんだかんだ続けているランニングにでも向かおう。
ちょっとばかり確かめたいこともあることだし。
本当はちょっと、ではないけど。
ベッドの潜り込んでふと、今日はコーヒーを見なかったと思いつく。
今まではそれが普通だったのにエーデルガルドと出会って以来、見かけるのが普通になっていた。
変化していることは実はたくさんあるのかもしれない、と思いながら僕はを閉じた。
翌朝。
僕は普段通りにランニングで公園につく。
息を整えながら公園をゆっくり歩いて回る。
初期と比較して呼吸の乱れも小さくなり、大分体力がついてきた。
もともと運動が苦手な方ではないんだ。
いや、普通なだけだけどさ。
そんなことを考えながら公園につく。
いやぁ、やっぱり朝の公園はいいよね。
少し涼しくて、夜露に濡れた鉄棒とか。
うん。
うん、やっぱり普通の精神状態じゃいられないなぁ。
普段よりも明らかに多弁な脳内音声。
いるだろうと思っていた人影。
精神状態の乱れの原因。
「やぁ、俊也。久しぶりだね。」
「おはよう泰樹」
そう、いつも朝あっていた泰樹。
一週間、僕と同時に、矢撃と会っていた時に休んでいた泰樹!
お前じゃないといい、そう思いながらも状況がそんな考えを許さない。
「一つ聞いていいか?泰樹。」
少し困ったように、それでいてどこか諦めたような様子で彼は言う。
「いいよ。泰樹。素直に答えよう」
覚悟を決める。
「お前が、矢撃、なんだな?」
つまりはエーデルガルドに全力で攻撃を仕掛けた男!!
黙ったままの泰樹。
「矢撃!!何とか言ったらどうだ!!」
友達だとかそういう気持ちを振り切って叫ぶ!!
そうして返答が聞こえる。
「なんとか。いや、あのさぁ俊也?一般人に情報漏えいはやめてくれよ。」
真後ろから。
振り返ると普段通り顔を隠した矢撃。
慌てて泰樹を見ると気まずそうな顔で申し訳なさそうに言う。
「ごめん俊也。矢撃ッて何?」
え、嘘だろ?泰樹が矢撃じゃないのかよ・・・
読んでいただきありがとうございました。
本日はここまでとしておきます。
今後もよろしくお願いいたします。




