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24杯目 僕と訓練

まず僕らは作戦場所を決めた。

作戦場所は自宅から少し離れた森の中。私有地だと聞いていたがどうやら青の所有地らしい。

作戦参加人数は二人。僕と矢撃。迎撃の準備を二日かけて行った。


正直僕はもっと用意を続けてなんならヴォルフたちが来た瞬間倒せるようにしたかったのだが矢撃に止められた。いわく、無駄なのだという。


「俊也、いいか?あいつらはこの世の(ことわり)から外れてるんだ。正式にはなんていうのか知らないがとにかく直接的に攻撃しないとダメージが生じない。今回のあいつらでいえば正面から名乗らないと攻撃できない、見たいにな。」



「俺はまだその通じない瞬間を見てないんだけど」


「そうするとイメージしにくいか。だが試すこともできんしなぁ。」


「矢撃が能力を使って見せるってのは無理なの?それか仲間呼ぶとか。」


「まずそんな近くに戦闘員はいないな。戦闘員以外の協力者はいるがここに呼ぶ気はない。そもそも俺たちは純粋な人間だからな。」


「そうなのか?」


「そうだよ。だが、人間もばかにしたもんじゃない今日からそれを教えてやるよ。」



そう、僕は矢撃から訓練を受けることになっていた。時間の関係上戦闘、ではなく一発芸に近いが。

人間の手が直接的にかかわる罠というのはあまり多くは作れないし蹴りだす、引っ張る、など操作をしなければならない以上同時に発動させる数はせいぜい三つ。

結果的に罠以外でできることの特訓を行うことになったのだ。



「まず何をすればいいんだ?」



「お前は走り込みをしているんだろ?それは続けるといい。それに加えて簡単な訓練をつけてやる。あぁ、悪いけど学校は休め。」


「・・・風邪ひいたとでも言っておくよ。」

なんだろう。何か違和感を覚える。



「では今日の訓練はまず、恐怖に慣れよう。君は怖がりでなかなか動けないようだからね。」


ガチガチガチン!!とどこかで聞いた音。


この後は・・・振りかぶる音がして、って!



「うぉおおおおお!!!!な、何するんだ!!」


柔らかい土の地面に飛び込むようにして回避。

矢撃の三段ロッドから必死で逃げる。


「いや、いっただろう?恐怖と戦いつつ全力で逃げる訓練さ。」


言いながらも殴りかかってくる矢撃。慌てて回避。


「だからって!!怪我したらどうするんだよ!!」


「治療するよ。札みたろ?あれあれば治癒能力を高めるからすぐ直る。」


「札・・・?あれか!!」



矢撃が体に張っていた札を思い出す。確かいあの札を使用することで明らかに数週間で治るはずない切り傷などが一日で回復していた。



「って、痛いんだろ!?」


「痛みは変わらないな。」


「打ちどころ悪くて即死したら!?」


「死ぬ。」


「・・・・」

やっぱりどっかおかしい!!




「さて、頑張れよ?」



相変わらず顔は見えないが、きらりと光るゴーグルは不気味で仕方がなかった。

理性と本能が同時に警鐘を鳴らす。言われるまでもない。満場一致で。




「わぁあああああ!!!!」

逃げてやる!!




「馬鹿だなぁ。逃す訳がないじゃないか。」


走っていった前方の木の陰から現れる矢撃。


「なんで前に・・・うをぉ!!」


「何話してんのさ。立ち向かうか。逃げるか。はやくしないと・・・・ぶっ叩く。」


ズドン!とたたきつけられるロッドの音。僕は全力で走った。躱した走った走った走った走った。



その結果は腕と足の骨、を叩き折られただけで済んだ。


矢撃いわく思ったより良く動けたからそんなもんですんだ、とのことだった。






正直に言おうあまりの痛みに僕は涙など割とありとあらゆる液体を流して転げまわって泣いた。





矢撃は絶対におかしいよ!!





僕は早くも心が折れそうになった。しかし結局あきらめることなくこの回避訓練をえ、切り札の用意もして当日、作戦回避までにある程度身に着けることができた。

以外にも教え上手な矢撃と、僕の必死さ、引かないという覚悟。


そのすべてがうまく合わさっていたのがよかったのだろう。おそらくもう二度とあそこまで努力することはできないだろうが、僕は努力を続けた。



そうして当日。


ヴォルフはやってきた。

遅くなりました。読んでいただきありがとうございました。

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