表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/86

12杯目 彼女とヴォルフの関係

「彼女が?犯罪者?テロ?」


「信じられない、といった顔だな。」


当然だ。あのいたぶるような戦い方、口調、図体。何よりも女の子が襲われているイコール相手は悪、だ。


「いや、信じられないではなく何を言ってるんでしょう、という目だよ。」


「ふむ・・・少しばかり夢見すぎじゃないかね。彼女は物語のキャラクターではないぞ?間違えることだってある。」



説得力がないにもほどがある。



「あんたが言ってるのは何の証拠もないただ単の言いがかりだろ?あんたの言う黒、とかいうのもあるのかどうかもわからない。」



「まあ、シュンヤの言うこともわかる。・・・・・だが、なんだ。何はともあれ、怖がるのはずいぶん落ち着いてきたな。」


そういえば普通に話せるようになった。

コーヒーの効果だろうか。




「では証拠を、と言いたいところだが俺たちはそもそも世界から認識されにくいし、黒も証拠を消しに動くからな。まず証明できるものは存在しないといっていい。」



「やっぱり、怪しすぎる。」



「だが、やってない、という証拠もないだろう?」



「悪魔の証明だ。やっていないのだから証拠などない。そういう卑怯な手で彼女を陥れたのか。」



「いや違う。頭ごなしに否定せず話を聞けと言っているんだ。」



「聞く必要を感じない。」



「シュウヤ。熱さは若さの特権ではあるがそれだけではだめだ。話しを聞くだけ聞くがいい。なに、納得いかないならば好きにすればいい。」


「・・・賛成しなかった場合は?」


殺すのか?と目で聞く。肩をすくめヴォルフは言う


「どうもせんよ。この日本、人を消すのには大変な労力がかかるからな。」


・・・聞いて判断材料を増やすのは悪くないか



実際には殺す気かも知れないが結局のところ僕にはどうしようもないのだ。



ヴォルフがその気になれば僕は数秒でひき肉だ。



「いいよ。きくよ」


「それが賢明だ。少年。」


もう一杯コーヒーを淹れよう。


そういってキッチンからコーヒーサーバーとドリッパーを持ってくるヴォルフ。

ペーパーフィルターを慣れた仕草で折るとドリッパーに入れレギュラーコーヒーを淹れる。いつの間に用意していたのかケトルを手に取るとお湯を注ぎ始める。


まずは全体を湿らせる程度に。

大体30秒ほどたつとのの字を書くように細く細く注いでいく。少し注ぎ休み。再び注いで先ほどよりも少しだけ高いところまでお湯を注ぐ


数度繰り返すとコーヒーサーバーがいっぱいになった。


僕のマグカップとヴォルフのマグカップにコーヒーを注ぐとヴォルフは話を始めた。




「まずはそうだななぜ彼女はあんなに弱っていたと思う?」


「あんたに追われたからだろ?」


「いやそれも一つの理由ではあるが、今回は様々な理由で追っているのは俺一人。何度も見失っているし時には数日間の猶予もあった。何なのになぜ衰弱していた?いくらでも回復する時間はあっただろう」


いくらでも?


「いやそう簡単なことじゃないだろ?外国だとあいさつ代わりってか?」


怪訝な顔をするヴォルフ



「あいさつ代わりではないが・・・なにか誤解があるようだな・・・」



まさかヴォルフはルディーナの回復方法を知らないのか?それなら納得できる。

これは俺が漏らすのを狙っているのか?


「いいよ。早く話を進めてくれないかな。彼女が待っているんだ。」



「・・・まぁいいだろう。」


ため息をつくヴォルフ。


「彼女はな、お前を待っていたんだよ」


「は?」


「正確に言えば彼女を助ける誰かを。俺たちを認識できる存在を。

毎日のように非現実なんてないと(・・・・・・・・・)言い続けるやつを!」


ヴォルフは真剣な目で話を続ける。



「いいか?彼女はあの時シュンヤの家に行ったことで安全な休憩場所とエネルギー源を手に入れたことになる。」



古からの決まりより俺たちは招待なく家の中には入れないからな、というヴォルフ。


「さらに言えばそもそもあんなわずかな量であの一撃分の力が出せるのならばもっと早く殴れたはずだろう?なぜやらない?」


・・・それは確かに疑問だった。どう考えても一撃でしばらく身動きが取れないほどのダメージを与えられる人間はあそこまでボロボロに追い詰められないはずなのだ。


「さらに言えば彼女は何がしたいのか、どうしたいのか理由を言ったか?言っていないだろうな。俺たち黒の話をしていないのならば。」




「いや、それでもあんたの話は信じられない。まず彼女をあんなにいたぶっていた理由がわからないからだ。」



「あれはいたぶっていたのではない。諦めさせようとしていたのだよ。行ったろう裁定者の仕事は改心させるか、封印するか、吸収するか、消滅させるか。」


「改心させようとしていた?あれで?」



「もともとはもっと穏やかにやっていたよ。でも彼女は強情でね。とうとう本部から改心は不可として帰還せよ、反省の意思なく、意志強固な様子から封印措置を飛ばし吸収処分とする、などという書状が届いてな。」


「吸収されてしまうよりはよりは痛い思いして改心した方がいい。吸収処理を行う執行人が来るまでにどうにかしようとしていた焦りの結果だよ。」




「・・・あんたは彼女を裁くために来たんだろ?なんでそこまで彼女の側に立った意見なんだ?怪しすぎる。俺を引き込もうとわざと言ってるんじゃないのか?」




「これも聞いていないのか?彼女を助けようともするさ。私はヴォルフ。」


マグカップを手のひらで包み込みながらことらをまっすぐにみる。




「わけあって貴族名は捨てたが・・・・・彼女の叔父にあたる。」




「かわいい姪を助けたいと思う、そのことに何の不思議があるのかね?」







読んでいただきありがとうございます。


どうにか間に合いました。

明日は夜遅く22時ごろからの投稿になります。日曜日は大目に更新する予定です。読んでいただけたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ