プロローグ
僕は自分が強いとか、すごいとか、かっこいいだとか思わない。
そりゃ人並みに思春期にはいつか自分は隠された才能が発揮されてだとか、教室に突然悪人がやってきてそれを自分が叩きのめしてだとか。考えたりもしたさ。
でも高校二年生にもなれば僕だって気が付く。いつか発揮される力のいつかは決してやっては来ないし、僕には成人男性を叩きのめすような腕力も技術もない。
彼女もいないし、顔だって友人たちのほうが優れている。
だから僕はこのまま平々凡々に三年生にでもなって、当たり前の努力をしてそこそこの大学にでも入って、勤めて。
身の丈に合った生活をしながら結婚でもして死んでいくんだろう。かっこよさだとかにあこがれつつも真の努力を行わずに。
だから世の中の大半の人間と同じようにこうだったらいいのに、と考えながらも努力もせずただ漫然と生きていた。
こうだったらいいのに、は決して来ないと思っていた、のに。
「なんで今更・・・こういう場面に会うんだよ・・・」
僕が諦めた非日常その3。明らかに異常な奴に襲われる女の子を助ける。
ブロック塀をぶち抜いて血まみれの彼女と大男はやってきた。
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