薬草採取の反省会
短めかもしれないです
「さーて、終わったことですし帰りますかー」
俺は大きく伸びをして、宿へ帰ろうとする
「まあまあ、せっかく依頼も終わったことだし、飯でも食べようぜ」
ガッ、と過多を掴まれて、半強制的にギルドの食事スペースまで連れて行かれる
笑顔が怖い、一体僕が何をしたっていうんだ
「今回の依頼お疲れ様でした、本格的な活動ができるようになるまであと2日ほどありますが、今回のクエストはどうでしたか?」
タルクが皆をまとめ、話し始める
「そうだな、皆それぞれ得意不得意があったが、それでも皆コツコツと全力を尽くし頑張れたと思う」
と、キノアイト
「そうね、正直ちまちま探して掘ってを繰り返すのは苦手だったけど、コツをつかんだらかなり楽になったわ」
シルヴィが言う
他のメンバーも、同じようにクエストに関して感想を述べている
そして俺を除いた全員が良い終わったあと、皆が声を揃えて言った
「「「「「「まあ、全員合わせてもヨウレンより少なかったけど」」」」」」
そう、今回俺は調子に乗りすぎていた
今回のクエストでこのパーティが採取した毒消し草は90本
その内、3/5ほどは俺が採取したものだ
その数52本、他の同期全員で38本と考えると、その差はよくわかるだろう
鑑定の魔眼を使い始めた途端、俺の作業効率は大きく向上した
それはそうだ、薬草採取の作業の内最も大変な目当ての薬草を探す工程を飛ばすことができるようになるから、あとは掘るだけの簡単な作業になるのだから
移動して採るだけ、そんな作業なら探して採るよりも余裕で多く採れるだろう
「今回この話をしたのは、ある提案がしたいからなんだ」
かしこまって、タルクが俺に言う
「多分、君は僕らよりずっと強い、肉体的なものではなく、総合的に、君は便利すぎるんだ」
「便利すぎる?便利なのは良いことじゃないのか?」
話の方向が読めた、どう考えても良い方向ではない
「そうだね、でも、何事も過ぎれば毒になるんだよ」
「毒、ねぇ…便利が過ぎて毒となる、それで?君は俺にどうして欲しいんだい?」
「僕たちで正式なパーティを作る時、君には抜けてもらいたい
理由はさっき言った通り、君が便利すぎて、その便利さに溺れてしまいそうだからだ」
「そうか…」
多分、こいつらに害意や敵意はない
単純に、純粋に、自らでは釣り合わないと思ったのだろう
「わかったよ、俺は俺で適当なパーティに入って、お前らの活躍をどこかから眺めておく」
拒否はしない、出来ない
便利さは堕落を生む
インターネットの普及で辞書でいちいち調べることが無くなるように
テレビゲームの普及で体を動かす遊びが廃れるように
便利で手軽なものこそ、手放すことが恐怖につながる
そして何より、共に訓練した友達たちの決めた事だ
駄々をこねるのも格好悪い
こうして、後にグレンが率いる「伝説の勇者の再臨」と呼ばれるパーティから、ヨウレンが抜ける事になるのであった




