薬草採取
前回のあらすじ
草原広っ→草多っ→鑑定眼使えねぇ…
鑑定眼…いったい何だったんだろう…
ため息をついて、先ほど見つけた「なんか葉の形が違う気がする草」から目を離す
「はぁ…空振りか…ってうおっ!?」
ため息をついて視線を上げると、「なんか葉の形が違う気がする草」がどこにあるか見えるようになっていた
見える、というより、視界内にある「なんか(中略)草」全てにマーキングをかけたような、そんな印象
…コレは俺が「知っているもの」の感知と説明を出すのか…
なら、もしかして
魔道書籍を取り出し、毒消し草のページを開く
「『知識変換』」
魔道書籍に表示される毒消し草の特徴欄から文章が解け、連なり文字列として頭に流れ込む
徐々にMPが減る感覚がある、が、そこまで大量に減る感じもしない
最後に毒消し草の名前が解け、知識への変換は終了した
何とも不思議な感覚だ…、何かが変わったような気はしない
しかし、文字の消えた図鑑の一角を見るた感じだと、確かに俺の中に毒消し草の情報が入っている
図鑑の文面そのままに、完璧に
そのまま、草原を見渡す
「なんか(中略)草」のマークに混ざって、何か別の草の感覚がする
マーキングより弱々しい、勘にも等しい感覚だが
反応の場所でしゃがみこむ、そこには確かに、毒消し草があった
正真正銘、もどきでもニセでもない毒消し草が
「よっしゃぁ!毒消し草ゲットォ!」
たった一本、されど一本、幸い反応はまだまだある
目につく毒消し草を採取していった
そしてその日
俺たちが集めた毒消し草は、目標の60本を超えていた
もちろん、全て鑑定の魔眼で確認済みだ
日が暮れる前にみんなで街へ帰る
夕暮れ時には、大通りも多少は空いていた
文字どおり、まっすぐギルドへ向かい、報告用カウンターへ向かう
何の偶然か、適当に選んだはずの受け付けにはアルムさんが座っていた
「アルムさん、確認よろしくお願いします」
「かしこまりました」
アルムさんは、薬草が入って重いはずの竹籠を軽々と受け付け後方の箱状のものに入れ、すっと魔力を這わせる
それを人数分、系7回繰り返した後に
「はい、確認が終わりました、毒消し草60本の納品ですね
依頼の毒消し草60本の納品を確認しましたので、クエストは完了とさせていただきます
余剰分で、毒消し草30本があるようですが、依頼とは関係なくギルドへ売却することができます、どうなされますか?」
「あ、売却…で、いいよな?」
仲間に視線を向ける
みんなは静かに頷いた
「かしこまりました
それでは、報酬ですが、今回はギルドから特別に一人あたり銀貨7枚、売却された毒消し草は、一人あたり、銅貨20枚
合計で銀貨7枚と銅貨20枚が報酬になります」
そう言って、小分けにされた報酬が一人一人に渡される
「そして、この依頼の完了をもって、初心者講習を修了とします
ただ、このスピードでのクエストクリアは稀なことで、初心者講習のための時間が余ってしったため、実際にクエストを受けられるのは3日後からとなります」
流石に1日でクリアする人はなかなかいないようで、ギルド側も都合が悪いらしい
「代わりに、余ってしまった残りの二日間には、自由出席の訓練が行われますので、ぜひ足を運んでください」
余りの日程を訓練で補填…と…
確かによくできたシステムだが…
アルムさん、他の冒険者さんがビクッてなっているんで、その『絶対こいよ?』的な威圧はやめてください




