薬草採取の前に
さて、今回は毒消し草の採取が目的になっているのだが
面白い事に、毒消し草には、よく似た草が多くあるようだ
まず、毒消し草、正式名称「ドクケシソウ」、回復属性の魔力を持っていて、大抵の毒を無効化することが出来る
ただし一本のみではあまり効果が無いため、これ単体で毒を治癒しようとした場合、キロ単位の量が必要なため、ただの草を口いっぱいに頬張る謎の光景が出来上がる
丸く大きな葉が特徴
次に、「ドクケシソウモドキ」
これは薬草ではなく毒草で、死に至る危険性のある毒を持つ
しかし、一本が持つ毒は弱く、キロ単位で摂取しないと効果はほとんど無い
ドクケシソウによく似ているが、葉っぱの縁がギザギザしている
あとは、「ドクナシドクケシソウモドキ」
これは触媒に分類され、「ドクケシソウモドキ」と合わせて魔力を流すと、「ドクケシソウ」の回復魔力を活性化させる効果がある
解毒剤などの調合に使われる
「ドクケシソウモドキ」にとても似ているが、全く別の種類らしい
他には、「ニセドクケシソウ」という、なんの効果も無い雑草があったり、「ドクアリドクナシドクケシソウモドキ」とかいうもうわけのわからない名前の毒草もあった
なんか元の世界でも同じような生き物がいたような気もするが、気のせいだと思いたい
ちなみに、クローラ北の平原には、本命の「ドクケシソウ」とよく似ているだけで全く無害な「ニセドクケシソウ」しか生えていないらしい
じゃあ今までの説明はなんだったんだって?
…ただの暇つぶしだよ
腹ごしらえも終えて、今はギルドから貸し出された道具を持って北の平原まで向かっている
貸し出された道具は2つ、背負うことのできる竹籠と、小さなスコップだ
普通貸し出されるものは竹籠だけなのだが、品質を上げるためには根ごと採ったほうがいいと、「ギルド特製:世界の薬草名鑑」のまえがきにあったので、ギルドに申請して、貸してもらった
もちろん、壊したら弁償しないといけない
今は、一旦南門を出て、街の外周を回る形で北の平原を目指している
何故、そんな遠回りをしているかというと
「竹籠を背負った状態で大通りの人混みを通るのは危険じゃ無いだろうか?」
というタルクの一言が理由となっている
しかし、クローラは南北約7kmの円形の街で、外周を半周すると10km以上、徒歩で2時間以上かかってしまう計算になるが、流石鍛えているだけある、2時間歩くことなんて苦では無いようだ
俺もステータスの補正のおかげか、元の世界の時よりも体力がついている気がする
今なら体育祭で運動部の奴らといい勝負ができるかもしれない、いい勝負って辺り、元の筋力のなさが透けて見えるが
まあいい、残り2時間、本でも読みながら進むとしよう




