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しかし、何も起こらなかった

異世界、異なる世界

主にファンタジー小説の舞台となり、召喚、転生、転移など、様々な要因でその世界へ誘われる

大抵主人公は転移の際には使命を帯び、高い能力や特殊な能力を持つ


そんな世界に、俺は来てしまったようだ

大抵の異世界モノでできる行動といえば…

「ステータス」

と少し格好付けて、唱える


しかし、何も起こらなかった


他にも、小説で読んだことのある色々な身振りや、視界にアイコンのようなものが無いかも見てみたが、結局何もなかった

気恥ずかしさで顔が火照るが、そんな彼を見るものは誰もいない


気恥ずかしさを誤魔化すように上着のポケットに手を突っ込むと、中に何かある


黒い板、いつも読書に使っていた電子書籍だ

武器でもなければ、異世界で使えるような者でも無い

充電できない環境ではいつど充電が切れて仕舞えば使い物にならない一品


ため息をつき、ポケットにしまおうとしたが、思い出した

自分が過去に読んだ小説の中には、多くのファンタジー作品があり、その中には知識チートと呼ばれるものがある


そのジャンルの主人公は、強大な力を持たない代わりに、現代知識を使い、異世界を生き抜く


それに習って行動すれば、この世界でも生きていけるのでは無いか、そんな打算のもと、電子書籍を起動した


起動してすぐ、時刻を確認する

示す時間は午前9時ちょっと

完全に信用するわけにもいかないが、電子書籍の時刻との照合は人のいる町に着いてからでいいと判断した


そのまま、パスワード…は入力しなくても起動した

元の世界では設定していたはずなのだが…

嫌な予感がして、すぐさま電子書籍内の本棚を確認する


元の世界で購入した書籍は、すべて消えていた

ファンタジー、SF、純文学、漫画に至るまで、全て


代わりに一冊だけ、ぽつんと本が入っていた

表紙が真っ白な簡素な本だったが、その題名は

「異世界基礎知識」

そのタイトルは、頼るものの無い今の状況に希望を与えてくれた


すぐにその本を開く


目次はなく、最初にこの世界の概要、次に現在地(というか転移先)の詳しい地理、次に自分のような転移者の扱いなど、色々なこの世界について、重要なものから説明かいてある


ここでじっくりと読みたい気分にもなったが、夜になると危険と考え、まず、この世界の概要と現在地についてを確認する


その結果わかった情報は、この世界はグラナイトという名前らしく、魔法が存在していると魔物も出るファンタジー世界


現在地点は、サニディスという王国のクローラという町の北にある平原で、この世界で最も大きな、魔物が湧かない領域らしい


ここから見える森とは逆の方向にしばらく歩けば街道があるようなので、最初はそこを目指そうと思う


街道についたら転移者の扱いなどに目を通しておこう


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


あれから1時間くらい経っただろうか、ようやく街道のような石畳の道が見えた


地図を確認し、クローラに向いて街道を歩き出す


本によれば、クローラから街道の先の街、クロシドまで馬車で1日、大体100kmほどらしいが、転移した場所から考えると、ここはクローラ寄りで、街までだいたい10kmほどのようだ


クローラまで、まだしばらく歩くので、「異世界基礎知識」を読み進めようと思う


街が見えるまでに読み進められた分でわかったことは


・この世界で異世界人はごく稀にだが出現していること

・その大半が大きな戦績を残していること

・過去の異世界人の功績で、審査さえ受ければ多少の援助をしてもらえること

などの異世界人の扱いについて


・手早くお金を稼ぐには、冒険者としてギルドに入ると良いということ

・序盤から討伐クエストを受けることはできないことと、その危険性について

などの生活や、冒険者としての多少の知識


援助金について


言語や文字について


などの、割と重要な事柄がわかった


他には

魔道書籍の説明書はこちら

という、謎のリンクがあった


それを選択すると、すぐにダウンロードが始まり、本棚に「魔道書籍の説明書」が追加された


目次を見る限り、魔道書籍の説明書というものは、この電子書籍、もとい正式名称「魔道書籍」の取扱説明書のようだ


多分、転移した時点で電子制御でなくなり、異世界仕様に変更されたのだろう


大まかな機能は変わっていないだろうが、確認のため一度目を通そうかと思ったが、街が近づいてきたので、一旦電源を切り、ポケットにしまう


ファンタジー小説の定番、冒険者ギルド


その言葉の響きに胸を躍らせながら、クローラの街の門へと近づいていった

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