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異世界読書ライフ  作者: 白野威 藍玉
初心者訓練編
19/28

新たな力

 異世界に来て5日目、訓練開始から4日目、今日も良い朝だ


「ところで、ここ一体何処なんだ?」

 二度寝という現実逃避を終えて目が覚めても、まだ景色は変わっていなかった


 ま、いっか


 そう結論して、とりあえずカーテンを開ける

 そこには、アルムさんを含んだ初心者講習メンバーが全員揃っていた


「起きたか」

 そう声をかけてくるのは隣のベッドに座るジェムだ


 ちなみにベッドの配置は

 男子が窓側から

 俺、ジェム、タルク、グレン、キノアイトで

 女子は通路を挟んだ先にベッドがあり、窓側から

 アルムさん、ガーネット、ステレラ、シルヴィの順だ


 男女別になっている理由は、単純に不純な行為が無いようにだとか、確かに、カーテン1枚だけで隔てるだけだと色々危険だもんな

 多分そんな感じの配慮で通路を挟んだのだろう



 今日の訓練は、午前は変わらず魔法訓練

 そして午後は武術訓練が無理そうだからという理由でちょっとした座学らしい


 そして、ちょうど折り返しのこの時期に、ギルドから初級の魔法書の販売が行われる

 魔法書とは、触れた者の魔力に応じて内容が変わる不思議な本のことで、その大半には魔法の使い方が書いてあるらしい



 大半と表現される理由は、その人物の素質によって、物品に魔法を付与する技術や、特定の事象のためにのみ使える限定的な魔力的技術など、魔法以外の魔力が関わる技術が描かれることもあるからだ


 魔法書は世界中広く普及しているが、製造方法は一部の魔法使い以外には秘匿されていて、製造量が少なく、そこそこ高価になっている

 絶対量が少ない故に販売できる業者も限られており、国を跨いだ組織であるギルドでも初級魔法の販売しか許可されていない


 魔法書、つまり本だ

 この世界に来てから本と呼べるものは「異世界基礎知識」くらいだった

 しかし、そんなものはとっくに読み終えているし、冊子やテキスト程度では俺の読書欲求は満たされない


 何度も、何度も読み返すことで、ギリギリ欲望を誤魔化してはいたものの、こうして本を手にできるというのであれば買わざるを得ない

 その後の話を聞き流し、アルムさんの説明が終わった直後に魔法書の購入を申し出る


 結果、あっさりと購入の手続きが終わり、俺は魔法書を手にすることが出来た、ただ、1つだけ問題がある


 貯金がヤバい

 そう、貯金がヤバいのだ


 購入前の所持金は金貨1枚、銀貨35枚だった

 そして魔法書の代金で金貨が一枚飛んで行く

 つまり、残り銀貨35枚、今泊まっている宿で換算すると7日分、ギルドの定食だと70食分か


 まあ、一応先払いで宿代は払っているから、すぐに追い出されるわけでもない

 武器を買う分の金銭は確実に消え失せたが、これは本を得るためには致し方ない犠牲だ


 こうして俺は魔法書を手に入れた、使い方は簡単で、魔力操作を使って自分の魔力を流し込むだけ、この時精製した魔力を流し込むと、魔法書が燃え落ちるそうなので、気をつけて、慎重に魔法書に魔力を充填した


 充填完了、最初は普通の革張りの本だったのだが、魔力を入れるほどに変色していき、やがて読書魔法の暴走で見た自分の魔力と同じ、真っ黒な本になっていった


 まず中身の確認、細かく魔法の概要が描かれているようだ

 俺のメインの魔力は、魔力痕と同じ属性、つまり時空属性だ

 時空魔法には便利な魔法が多数あるが、それらはすべて中級以上らしいので、収録されている時空魔法は少ない

 その代わりと言ってはなんだが、火魔法と水魔法についての情報が少しだけ書かれていた


 新しい本を買った直後の興奮はまだ覚めないが、脳を働かせるためには朝飯を食べなければ


 そんな言い訳をして欲求を抑え、魔法書を魔道書庫にしまう


 ピロリーン


 気が抜けるような軽い音が鳴る

 そこそこ高い音だったので、周りに聞こえていてもおかしくないはずだが


 周りは聞こえているような動作を見せない

 ゲーム的に考えるとレベルが上がったか、そうでなくても何かステータスやら何やらが変化した合図か何かだろう


 音に意識を向けると、目の前にステータスと同じような半透明のパネルが出現した


 ーーーーーーーーーーーーーーー


 魔導書庫がランクアップ

 派生スキル「知識変換」を取得しました


 知識変換

 本の内容を記憶として脳に刻み込むことができる

 また、自らの持つ正しい知識を書籍に変換することができる


 ーーーーーーーーーーーーーーー


 また、チートのようなそうでないようなスキルが出現したようだ

 今は使いどきではない、と言うよりは、まともな本はまともに読みたいがため、俺は新たなスキルの使用を先送りにした


 時空魔法、どんなものがあるのだろうか


 そんな期待をしながら、4日目の魔術訓練が始まった

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