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食料調達で生きるのがつらい

勇者「これ、食べられるか?」


魔法使い「どれ? ……うーん、たぶんそれは無理」


勇者(旅において食料の問題は常に問題だった。都市や街を経由すれば、ある程度は補充できるが、やはり基本的な食材は自分たちで捕ったもので賄うのが、継続して旅を続けるには必須になる)


勇者「これはどうだ?」


勇者(とは言ったものの、パーティー内でまともな料理ができるのは戦士と僧侶であり、そうでない俺と魔法使いはもっぱら食材集めが担当だった)


魔法使い「それなら大丈……!」


勇者(魔法使いが何かに気づき息をひそめる。こうなった場合の可能性は二通りであるが、魔法使いは武器である杖をかまえていなかったので、どうやら今夜の食事のメインが決まったようだ)


魔法使い「……どうやらイノシシのようね。いつもの手順で」


勇者「……わかった」


勇者(いつものことではあるが、こういうときも指示を出すのは俺ではないのだ)





勇者「……さて、やるか」


勇者(気付かれないようにイノシシの後ろに回って魔力を練る。標的は1頭、魔力を放った)


勇者「雷よ、おちろ」


勇者(あえて、音を立ててイノシシに気付かせる。狙い通りにイノシシは振り返り、直後に俺とイノシシの間に落ちた雷に驚き、逃走をはかった)


魔法使い「土よ、隆起せよ」


勇者(逃げ道近くで待っていた魔法使いにより、地面が変化すると、猛スピードで走っていたイノシシは足をすくわれ大木に衝突する。頭からつっこむように仕向けたので、生きてはいるが体は動かせないようだった)


勇者「雷よ、纏え」


勇者(その間に近づき、剣を刺す。剣から流れた電流でイノシシの動きを封じこめた)


魔法使い「この大きさなら明日の食事までは大丈夫そうね」


勇者(魔法使いは料理はともかく、食材の取り方に関しては詳しく、この狩り方を提案したのも魔法使いだった)


魔法使い「じゃ、後はそれよろしくね。あたしはもう少し、食べれそうなもの探してから帰るから」


勇者(これらの知識に関しては、魔法使いは迷いの森に薬草を採取するうちに身に着けたと言っていた。迷いの森は名の通り、行方不明者が何人も出るところらしいので、さすがの魔法使いも迷いはしたのかもしれない)


魔法使い「あっ! それと、魔物が出たらすぐに逃げなさいよ。あんたじゃ、どうせ倒せないんだから」


勇者「……ああ」


勇者(そして、魔法使いはパーティーメンバーで唯一俺に厳しい……いや、もしかしたらこれが当然なのかもしれない)

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