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魔物たちがメタで生きるのがつらい

 勇者たちの目の前に魔物が現れた!


魔物「ぐがおおおおおお!!」


勇者「出たな! 魔物め!」


戦士「見るからに硬そうなやつだな……僧侶、援護を頼む」


僧侶「わかったわ~」


魔法使い「じゃあ私はその間に……」


勇者「先手必勝!」


 勇者は一瞬で魔物との距離を詰め、剣を振り下ろす。

 だが、


 ガキンッ


勇者「何っ? はじかれた!?」


魔物「隙あり!」


 体勢を崩した勇者に魔物の鋭い爪が迫る。


魔法使い「そうはさせない! 火よ、当たりなさい!」


 魔法使いが放った火球が魔物の爪をはじく。


勇者「さ、サンキュー魔法使い」


魔法使い「礼はいいわ。それより、見かけどおり硬いようね。火も効かないし」


魔物「フハハハ、俺の肌はダイヤモンドより硬い。

   その上、魔法にも耐性があるのだ」


戦士「……じゃあ、斬るんじゃなくて、叩く攻撃ならどうかな?」


 戦士が魔物の後ろに周り、斧を高く上げていた。


戦士「うおおおおお!」


 技で斬るよりも、力で叩くことを重視した一撃。


 バキベキボキバギ


 僧侶の威力強化のおかげもあって、魔物の体から鈍い音がした。


魔物「ぐぎゃおおおお!!」


僧侶「あらあら、これならいけそうですね~」


戦士「後2、3発といったところか。勇者、援護を頼む」


勇者「お、おう……」


 数分後


勇者たちは魔物を倒した!


魔物「ぐ、が……」


 魔物は倒れ、その姿は一部分以外は消え、お金が残った。


魔法使い「ひゅー、やるじゃん、戦士」


戦士「僧侶のおかげだな」


僧侶「褒めても何も出ないわよ~?」


勇者「……」


戦士「……勇者も、サポートありがとうな」


勇者「あ、ああ……」


…………おかしい


…………


 勇者たちの目の前に魔物が現れた!


魔物「ごおおおおおお!!」


勇者「お前も倒してやる!」


戦士「いくぞ、勇者!」


 勇者と戦士が同時に魔物へ肉薄し、阿吽の呼吸で攻撃を繰り出す。

 だが、


魔物「そんな攻撃などのろい!」


 魔物は焦ることなく見切り、一歩もない距離の攻撃を避け続ける。


僧侶「あら~、あの魔物、反射もそうだけどすごく目がみたいね~」


魔法使い「……それなら」


魔物「こちらも攻撃させてもらうぜー!」


 攻撃の合間をぬうように反撃をする魔物。


勇者「くっ!」


戦士「ぐっ!」


 攻守は逆転し、勇者たちが不利になった。


僧侶「勇者ちゃ~ん、戦士さ~ん」


 僧侶の呼びかけにその意図を察した二人は、すばやく魔物から距離をとる。

 そして、魔物の正面には、魔法の詠唱を終えた魔法使い。


魔法使い「風よ……」


魔物「無駄だ! どんな魔法だろうと、俺に見切れないものはねえ!」


魔法使い「逆巻け!」


魔物「がっ……な、なにー!?」


 背中からおそってきた木枯らしを見切ることなどできるはずもなく、魔物は腹ばいに倒され風に背中を削られる。


勇者「魔法が効くのか、なら……雷よ、おちろ!」


 風が消えた直後、魔物に雷を落とす。

 しかし、


魔物「いたたたた、よくもやってくれたな」


 雷に対しては何の反応も示さず、魔物は立ち上がる。


勇者「……」


戦士「勇者、魔法使いが次を撃つまで時間を稼ぐぞ」


勇者「あ、ああ……」


 数分後


 勇者たちは魔物を倒した!


魔物「げ、が……」


 魔物は倒れ、その姿は一部分以外は消え、お金が残る。


僧侶「倒せたけど……魔物に雷の魔法は効かないのかしら?」


……やっぱりおかしい


…………


 勇者たちの目の前に魔物が現れた!


魔物「ぐへへへ、どんな攻撃であろうと俺様に傷を負わせることは、ぐべっ……」


 勇者たちは魔物を倒した!


魔法使い「……僧侶、もしかしてじゃなくても、あんたよね?」


僧侶「何をしても傷を負わないっていうから、眠らせてあげただけよ~? 即死魔法でだけど」


……どうして


…………


 勇者たちの目の前に魔物が現れた!


戦士「うおおおお!」


魔法使い「はあああああ!」


僧侶「あらあら~?」


勇者「…………」


 勇者たちは魔物を倒した!


戦士「ふう、日が暮れてきたな」


魔法使い「今日はここまでね。日があるうちにご飯を食べましょう」


僧侶「そうね~……勇者ちゃん?」


勇者「……どうして」


戦士・魔法使い・戦士「?」


勇者「どうして俺だけ活躍できないんだーーー!!!!!」


 勇者らしからぬその叫びは夕焼けに虚しく響いた。

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