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Intent 8

ブクマ評価感謝です。

次回の投稿は2日後を予定しています。

俺はリュークに黒歴史を暴露され、膝から崩れ落ちて泣きそうになっていた。泣いている訳じゃない、泣きそうになっているだけだ。

リュークは俺を見ながら笑いを堪えている。さっきの俺のようだな……見て無くとも笑いを堪えてるのが分かる。

恥ずかしい……最悪だ…


「回復薬をリバースね……」

「先輩失敗は付き物です……」


ミカンは呆れている。ユーリアは苦笑いをしてるのが分かる。

恥ずかしすぎるよ……クラスの女子と、後輩にリバースした事を知られるなんて……これ程の恥ずかしい事を知られるのがどれだけ恥ずかしいか……この世界にこんな辱めを味わった人間は俺以外はいないだろうな……


「でもな、それ最初の方だったから知ってるプレイヤー少なくてな、美少女が吐くのは中々萌ると言われてたな」

笑いそうになりながら言うなよ!それに吐いたって言ってもモザイクは掛かってたしその証拠は無い。だから本当の事かは俺とリュークしか知らない。他にも見てた奴はいるが一部始終だけだから大丈夫だろう。

でも全てを知っている奴が悪すぎた……それに吐いている少女を見て萌えるって変態でしょ。

過去の事を穿り出され悲しんでいる俺を横目にリュークは真剣な声で話し始める。


「悲しむのは一旦止めだユキ」

誰のせいだと思ってんだこいつ。

でもリュークの言っていることは正しいかったりする。今は丁度勝負の最中な訳で、悲しんでる場合ではない。恥ずかしさを押し殺して俺は崩れていた膝を立て直す。


「後で覚えとけよ……」

リュークの事を睨んでみたがリュークは軽く流して話の続きを再開する。


「相手は二人でもミニガンがいるから雑に攻めたら返り討ちにあって、負けると思う」

「そうだけど数ではこっちが勝ってるんだし二人くらい犠牲になっても大丈夫なんじゃない?」


ミカンの作戦もありだとは思うが、提案の仕方が軽すぎると思う。普通誰かが犠牲になる作戦を提案する時は気まずそうに提案するものだ。なのにミカンの言い方は軽すぎる。「メロンパン買って帰ろうよ!」のようなノリだ。それに状況によってはありだと思うが、今回の場合は却下だなこの作戦。リュークに視線を送るとリュークも俺と同じ意見のようだ。


まだ恥ずかしさで顔が俺がこの作戦の失敗するかも知れない理由を説明する。


「それは避けた方がいい。理由としては犠牲だけあって一人も削れない可能性がある。それに一人削れても残ったのが俺とルルだったら勝てる可能性が一気に低くなる」

「じゃ、じゃあどうするんですか?」

「ミニガンは俺とリュークが担当するから、アサルトの方はユーリン達に任せる」


なんだ二人とも「「無理」」みたいな顔してるぞ?


「不安か?」

「当たり前でしょ!なんであんた達二人なの?」

「これが一番勝てる確率があるからかな」

「理由を聞いていいですか?」


まぁ当然だろうな。何も知らない奴が聞いたら誰でも勝てるか心配になる。

説明に迷うな。だって勝てる自信しかないんだもん。こんな根拠の無い自信を言っても説明になっていない。困った俺はリュークに助けを求める。するとリュークは「はぁ…」と溜息をついてから俺の代わりに説明を始めた。


「理由はユキがスナイパーだからだ。まず二人を引き剥がしてから、俺がミニガンを引き寄せてユキの射撃ポイントまで誘導して仕留める。ユーリン達の方もだいたいこんな感じだ」

ミカンを見てみるとまだ疑問があるらしく考え込んでいる。


「どうしたんだ?」

「その引き剥がすのどうするつもり?」

「「あっ……!」」


俺とリュークはじっと見つめてくるミカンとユーリアの目線から逸らすようにお互いの顔を見合わせる。


「はぁ…呆れたわ。なんでそんな自信があるわけ?」

「えーと、元ゲーマーの勘かな?」

「私はここまで来たら先輩信じたいです。それに先輩のお陰で勝てそうなんですから」


ユーリンの意見に呆れながらもミカンは諦めたのか「わかったわ」と作戦に賛同した。


「なぁ、この中でグレネード持っているやついたら俺にくれないか?」

「俺は持ってきてないな」

「私も持ってきてないわ」

『私もスナイパーなので必要ないので持ってきてないですね』

「お前らなんで爆弾の一つも持ってきてないわけ?」


ミカンの次は俺が呆れる。爆弾が弱いと言っても使えないわけではない。ガス管などがある場所に投げれば大爆発になるし、プレイヤーの真横に投げれればダメージは与えられる。ただ敬遠されている訳はコントロールの難しさが原因となっている。グレネードのコントロールはプレイヤーの腕が物を言う。野球をやっている人がやっても上手く投げれるとは限らない。これだけ難しいと使うプレイヤーは殆どいない。

それでもだ、今俺らがやっているのはFPSで戦争ゲーだ、戦争なのに爆弾持たないとかありえないだろ。


「はぁ……グレネード無しでよく【IGO】なんてやってるな。はぁ……」

あからさまに落ち込む俺にミカンとリュークは頬を引きつらせている。

その横で何か言いたげなユーリンがいる。


「どうしたんだ?」

「私持ってますよ……二つだけですけど…」


すぐ近くにいた作戦の要。その嬉しさにユーリンの両手を包み込みながら握る。


ユーリンはすぐ近くにあるユキの顔に、顔を赤らめる。見た目では女でもリアルでは男と言うことを理解しているからこそ逆に意識をしてしまう。ユキとユーリンの顔の距離は十センチ程しかない。ユキは意識はしていないがユーリンは意識をしてしまう。


「あ、あのちか…いです」

「あっ、ごめんな」

「いえ…」


このやりとりを見ているリュークは今後の事を想像してにやけてしまっている。ミカンは溜息をついている。


「それよりもなんでグレネードなんか使うの?」

「それはな、まず横に並んでいる思われる男達の真ん中にグレネード投げる。爆発すると二人とも横に飛ぶと思う、横に飛んだのが確認できたらミニガンよりにもう一度投げて爆発させた後に、引き剥がすように射撃をして分散させようと思う。どうだ?」


三人は少し考え込んでから作戦の行方を想像する。その中で疑問点が幾つか浮かんだらしい。


「その作戦大きな問題あると思うんだけど」

「グレネードのことか?」

「そう」

「それは狙ったとこに投げれるから安心してくれ。昔練習してたから」

「じゃあ、もしそれが失敗したらどうするの?」

「それは絶対に無いから」

自信に溢れた目でミカンを見詰める。ミカンはその視線に負けて「…わかった」と答えた。

「じゃあこの作戦で行くか。ルルはなんかあるか?」

『私は作戦に従うので何もないですよ』

「よし行くぞ!」


リュークの掛け声で二手に分かれて移動を開始する。


俺とリュークはリューク達が逃げてきたルートを歩いている。男達がリューク達を追いかけてきているならすぐにでも見つけることができる。



「なぁ、お前さまだ隠してることあるだろ」


突然の問いかけに俺は驚きを隠せない。たしかに隠していることはあるが、何かを隠している素振りなどした記憶がない。リュークは軽い感じで聞いてきたけど俺からしたら絶対にばれたくない秘密で、リュークの何事もない顔とと違って俺の顔を少しばかり険しくなる。

何事もないような顔をしているけど、俺からしたら隠し事はしないでくれと強く言われている気がする。ずっと昔からいる俺にしか分からないこと。リュークは昔からどうしても話して欲しい時や隠し事がある時は声のトーンが少しだけ違ったりする。今のリュークの声のトーンはそれだ。俺がリュークのことを分かってるのであれば、リュークも俺のことを分かってくれているのだろう。



「まぁな……知りたいか?」

「超知りたいな」

「光学迷彩使おうと思ってる」


リュークを見てみると驚いているようで歩くスピードが急激に遅くなる。


「なんでそんなの持ってるんだよ…」


【IGO】の公式プレイが始まってから二時間しか出てないミッションが存在する。そのミッションの達成条件は重量装備兵五十人を倒す。重量装備兵はプレイヤーから通称--プレゼンターと呼ばれる。名前の由来は、ミニガン三人がかりで一体を倒せるかどうかの強さをしていて、通常装備だけで挑んだら確実に死ぬことから、『死を運ぶ者』(プレゼンター)と呼ばれるようになった。

名前はともかくそんな重量装備兵(プレゼンター)をソロで倒しきれと言うのが光学迷彩を手に入れるための条件となっている。プレイヤーからの批判が凄かったためたった二回、二時間の限定ミッションとして伝説に名を残しているミッション。光学迷彩を持っているのは全プレイヤー中たったの三人しかいない。どうやってクリアしたかは誰も公開せず、チートを使っているのではないかと疑われたため、クリアしたプレイヤーは光学迷彩を使うことを止めた。本来VRMMOでチートなど不可能だが、情報の公開が無かったため疑うことしか出来なかった。運営側からも不正はないと公言されたが、プレイヤーから嫌われるのは今後のゲームをしていく上で避けなければいけないことなので使うのは避けるようになった。


俺の場合こうなることが大体予想出来たから時間が経ってから使うか、使わないかを決めようと思ってたから、プレイヤーに何か言われることは無かった。そのため三人クリアしたのは本当は二人ではないのか、など噂が立った。


「聞きたいことあるか?なんで俺が光学迷彩なんか持っているかとか」

「いや、なんもないよ。お前が言ってくれただけで嬉しいよ。それにお前なら色々してクリアしそうだしな」

「そうか、助かる」


何か追求してくると予想していたが、聞いてこないのは予想外だった。興味が無いのか、それともいつか説明するかもしれないと思ったのか、今聞いてこなかったのは嬉しい。今は説明する気にはなれない。これからモニターを見ているプレイヤーに見せることになるのだから。ログアウトするまで色々なプレイヤーに詰めよられるだろう。


歩き始めてから五分程経つだろうか。未だに敵の残り二名の姿が一向に見える気配が無い。

今俺とリュークがいるのはあまり入り組んでおらず、建物も全体的にシンプルな作りをしているため隠れるのに適しているとは言えない物ばかりなので隠れるのも可能性としては低い。

俺と同じことを考えてるのか横にいるリュークも顔が険しくなっている。ミニガンがいると言ってもリュークの話によると距離自体はあまり無かったらしく、五分も歩けば見えてもおかしくはない。


「なぁ、ちょっとおかしくないか?」

「そうだな……遠回りしながら来てるとかかもな」


自分で言いながらも遠回りはないと思っている。残り二人で遠回りしながら追うのは下手したら、引き返してきた俺らに逆に裏を取られる可能性がある。


「その可能性は低いけど、あいつらならやるかもしれないな」

「あのおっさん達はバカなのか?」

「バカなんじゃないか?だってあんなナンパ断られただけで仕返しってバカ以外の何者でもないだろ」

「それもそうか」


警戒しながらも軽い雑談を挟んで歩き続ける。

十分程経ってもまだおっさん二人の姿が見える気配はない。


「遠回りで追われたな……」

「そうだな……ダッシュで引き返せばギリギリあいつ等が撃ち合うのに間に合うと思うか?」

「ギリギリ間に合うんじゃないか?それに見つからなければ大丈夫だろ」

「ならミカン達に伝えてくれ」

「わかった」


リュークが通信をしている間俺は装備スキルを変えていく。《偽装》、《スコープアイ》、《爆力》を外す。《爆力》は爆発物の威力が上がると言うスキル。これも殆どのプレイヤーが装備などしない。爆発物の威力が上がるのは魅力的だが。全然威力が上がらないと思われているからだ。しかし、このスキルもLvを上げれば威力の上がり方も大幅に変わってくる。


外したスキルの代わりに、《移動速度上昇》、《近接格闘》、《反射神経》を装備する。

《近接格闘》は一定距離内での近接攻撃の威力や、防御力が上昇するスキル。これもあまり使われない不人気スキルだ。理由は簡単、近接格闘まで待ち込めないからだ。接近するまでに撃たれてHPが無くなるため不人気スキル入りだ。でもこのスキルはLvが50を超えると、《反射神経》と同じ様な効果が追加される。

《反射神経》は予測線が通常よりも速く表示されたり、Lv50を超えると近接格闘時に防御後の攻撃力がアップするなどこちらにも追加効果がある。この二つのスキルは掛け合わせて本来の力が発揮するようになっている。


スキル装備が完了してリュークを見てみると何故か焦っている。


「どうしたんだ?」

「ミカン達のとこに男達二人が現れたらしい……」




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