Intent 7
ブクマ評価感謝です。
「はぁ、どこ行ったんだよ……」
消えた男達を捜し始めて十分が経過したが見つかる気配がしない。このフィールドの良い所は隠れやすいだが捜す時はそれが邪魔となる。
さっきの苛立ちもあって、今とてつもなくイラついている。ムカムカが止まらなくなってきている。
「もうここら一帯吹き飛ばそうかな……」
クレイモアが残り二つ、C4が四つ、グレネードが六つか……一帯はは無理でも破壊はできるな。よし、やるか。
そうと決まれば設置行きますか!!
自分が隠れる場所を中心に周りに爆弾を《偽装》を使って設置していく。本来グレネードは投げるものだけど爆発物と置いとけば『連鎖爆発ボーナス』が発生するから投げるより有効だと俺は思っている。
今までのFPSだったら投げることしか出来なかったグレネードが置けるのはVRMMOならではだと思っている。それにある程度は無理な動きも出来る。
「よし、終ったな……」
設置も終わり後は隠れる場所に居れば安全に男達が吹き飛ぶとこを見ることが出来る。
スターズⅢのサイレントを外し、上空に発砲する。急いで逃げなきゃ俺も爆発したら今居る場所だと巻き込まれる。
……やばいなこれ
近くのクレイモアが作動した通知が鳴る。
後ろからは大きな爆発音と爆風が聞こえる。『連鎖爆発ボーナス』による威力増加がされた爆発が俺に迫ってくる。
「おい、どんだけ近くに居たんだよ!マジやばい!」
最後に設置した場所をもうダッシュで離れる。爆弾を全て使い切って軽くなったと言っても爆風よりは速くは無い。もうダッシュで逃げるがもう数十メートルまで爆煙が迫ってきている。
「うわっ!」
すぐ真後ろで最後の設置しといた爆弾が爆発する。
あれだけ仕掛けた爆弾の最後となると『連鎖爆発ボーナス』は約二倍くらいになる。
後ろからの爆発と爆煙が俺の小さな体に襲い掛かる。吹き飛ばされた俺は十メートル程吹き飛ばされてから瓦礫に顔面から突っ込む。
「あ、危なかった……」
HPを確認すると赤く表示されている。後ちょっとでも逃げるのが遅れていたらHPは全損していたと思う。
痛みがある体を無理に動かす。どんなHPが少なかろうと状態異常が無い限り体は正常に動くが、痛みがあると感覚的には動かすのがつらい。
銃弾による痛みは発生しないが、落下の痛みや、物理衝撃は数倍に弱くはなるが発生する。痛みが弱くなっているとは言え、痛いものは痛い。
それに痛みがあったほうが無茶なことはしないのだろう。それでもだよ?あんな爆発くらったら痛いんだよ。
「まぁ結果オーライかな……」
敵は予想通り全滅したみたいだ。それでも被害が大きすぎた。体からはダメージエフェクトのデータ片が傷口から空へ消えていっている。
「おい、リューク聞こえるか?」
『どうしたんだ?今スゴイ音聞こえたけど大丈夫か?』
「大丈夫ではないな。でも四人は倒したからそのまま逃げてきてくれ」
『やっぱさっきのはフラグだったんだ』
あー言われてみたらフラグかもしれない。
さっきの言ったことを思いだしながら苦笑する。でも死んではいないから回避できたのかな?
「うっせ、早く逃げて来い。場所は俺のとこまで来てくれ」
『了解した』
リューク達が来るまでに回復をしとかないとな。イベントリから回復薬を取り出し飲む。しかし全然HPゲージが回復しない。
「うぷっ、これ以上飲めない」
中々回復力が高い物を飲んでいるが全然回復をしない。もう四本も飲んだのにようやくゲージが赤から黄色になったとこだ。
リアリティを追求しているのか分からないが、全体的に回復力が低い物が多い。回復力が低い割りには腹に溜まってたぽんたぽんになる。昔一人の馬鹿が、ゲームだから吐くことは無いなどと根拠の無い理由で、回復薬を飲みまくったら、リバースしたらしい。リバースしたプレイヤーのHPは全損したとの噂が流れている。本来三本も飲めばたぷんたぷんになる。でも四本は飲まないとHPがとてつもなく危険域だったから無理して飲んだ結果、吐きそうになっている少女が誕生した。
吐きそうになりながらもリューク達の居場所を確認する後五分もしない場所まで来ていた。腹を撫でながら気長に待っていると走ってくる三つの人影が見えた。
「またせたなユキ」
「いやだいじょうぶふっ!」
リュークの体を見て笑ってしまった。
俺の前にいるのは少し傷を負っている、ミカンとユーリン、そして……右腕が無くなっているリューク。
笑うのを堪えながらリュークを見ると睨まれている。そんな片腕ない状態で睨むなよ……笑いが込み上げてくるだろ。
「ど、どうしたんだよその腕……ぷっ」
リュークは俺に対してイラついてるみたいだ。
「ユキ、そんな笑ってていいのか?」
「何がだ?」
「ミカン、ユーリン実はお前達二人に話さなきゃいけないことがあるんだ……」
あれ?俺と話してなかった?なんでミカンとユーリンに話始めるんだ?
……あ、これは俺の黒歴史公開の危機かもしれない……
「止めろ!」
自分の黒歴史を公開されるかもしれないことをリュークの不自然な話相手の変更で察さした俺は、ここ数ヶ月、数年の中で最も素早い動きで止めにかかる。
さっきのはフラグだった……!
リュークは俺の制止を気に留めずミカン、ユーリアに話をし始める。
これは……無理だな!俺の体はリアルでもそこまで大きくなく、VR世界のアバターは女性アバターで更に小さい。そんな俺がリュークの男の体を止めることは叶わなかった。
俺の黒歴史……ベスト3に余裕で入る素晴らしい黒歴史が暴露された。
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