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Second Life 39

 吹き飛ばされながらも俺が見たのは情報にあった最小サイズ3mよりも一回り小さいファクターヴァッドベアーの姿だ。


「ユホッ!」


「ユホちゃん!」


「マロンさん下がって!」


 俺が吹き飛ばされた事でアリア以外の3人の注意が逸れ、ファクターヴァッドベアーはマロンへと標的を定めたが、アリアはそれに気付きマロンの前へと盾を移動させる。


「カバーメイク!」


 アリアが《盾》スキルを発動すると、マロン、エレナさん、ハルアさんが立っていた位置がアリアの後ろへと移動した。


「皆さんまずはこっちに集中して下さい!」


「ごめん、助かったよ!」


 アリアがファクターヴァッドベアーの攻撃を防ぐと同時にマロンが攻撃をし、すぐさま後退。

 マロンが後退するとファクターヴァッドベアーの左足付近で爆発が起こる。


「ハルア今よ!」


「はぁ~い」


 爆発を起こしたのはエレナさんだ。

 エレナさんの合図でハルアさんは手に持っている槍を振るう。


「グガァッ!」


 標的がハルアさんに移りそうになると、


「「ヘルエスト」」


 マロンとアリアが同時にヘイトスキルを発動させた。

 ファクターヴァッドベアーはどちらに向くことなく硬直をする。


 これは、ヘイトスキルを二人以上が同時に発動すると稀に起こる硬直だ。

 正確な確率は算出されてはいないが硬直すればラッキー程度の確率だ。


「アリア今のうちにユホの方に!」


「はい!」


 硬直に間にマロンはアーツを発動し少しながらもダメージを加えそれをエレナさんとハルアさんが援護する。


「ユホさん大丈夫ですか!?」


「あぁ、何とかな……」


 俺のHPは確認してみると赤までいっている。


「ガードが遅れてたら一撃だったな」


「ユホさん武器が……」


「あぁ、これはやばいな」


 HPもやばいが、ガードに使った剣がダメージエフェクトを真ん中辺りから散らしながら折れてしまっている。

 こっちの方がやばい。

 俺の持っている剣は二本。

 今折れた剣と、スターカンナの二本だ。

 剣以外の武器はクエストなどでドロップして持ってはいたが俺が持っている武器スキルは《剣》のみ。

 だから使うことが出来ない。


「他に武器はありますか?」


「ありはするけど少し時間が欲しい」


「わかりました。準備が整うまで私が守ります」


「助かる」


 もう折れた剣は使えない。

 選択肢はない。

 スターカンナをストレージから出し手に取り、ポーションをすぐに飲みHPの回復をする。

 運良くこっちにタゲが向く事は無く安全に回復をする事ができた。


「準備完了だ」


「反撃開始ですね!」


「あぁ!」


 アリアは俺の少し後ろを付いて来る。


「皆待たせた!」


「何とか大丈夫みたいだね」


「待ってたよユホちゃ、何その武器!?」


「エレナそれは後よ、まずはこっち」


「わ、分かってるけどー」


 エレナさんは目の前にボスモンスターが居るというのに俺の持つスターカンナに目がいってしまったようだ。


「はぁぁぁ!」


 マロンがヘイトスキルを発動しマロンにタゲが移ったと同時に俺は距離を詰め攻撃を加え、すぐに後退しアリアが入れ替わるようにファクターヴァッドベアーの目の前に出る。


「ハイヘルエスト!」


 アリアが発動したのはヘルエストと同じヘイトスキルだが、ハイヘルエストは強攻撃を誘発させるスキルだ。


「強固!」


 アリアは強攻撃を怯むことなく正面から受ける。

 今アリアが使ったスキルはたしか、攻撃による反動などを全て無効にするスキルだ。


「皆さん今です!」


 アリアの合図で全員がアーツを打ち込む。


「アリアあいつを少しでも吹き飛ばせたりするか!?」


「出来ます!」


「なら俺達の反動が解けると同時に頼む!三人は後退を!」


「「「了解」」」


「いきます!」


 ファクタヴァッドベアーは盾によって少しだが後ろに飛ばされる。


「シャインブロッサム!」


 放たれる光輝く魔力砲は小さなファクターヴァッドベアーを飲み込んだ。


「天星の領域!エイルス!」


 実体を持った《聖槍──エイルス》が光に飲み込まれたファクターヴァッドベアーに向かって走る。


 数秒後光は消え、瞳に怒りを灯し体中からダメージエフェクトを散らすファクターヴァッドベアーが姿を見せる。


「ユホちゃん何それ!すごい!」


「それも後よエレナ」


 エレナさんも口ではこんな感じだがファクターヴァッドベアーからは視線を外していない。

 それもそのはずだ。

 右半身には風を纏い、左半身には炎を纏っている。

 風はまるで暴風のように音を立て、炎は業火の如く燃え盛っている。

 ファクターヴァッドベアーの残りHPはHPバー1本の半分程度。


「グゥ……ガァ!」


 咆哮が響き渡り暴風が吹き荒れると風は俺達五人それぞれを囲む。


「くそっ、バインドか」


 ファクターヴァッドベアーが使ったのはバインドと言われる魔法だ。

 効果は単純に相手をその場に止めると言うもの。

 効果は同じでもボスモンスターなどが使うバインドの効果はレベルが違う。


「攻撃くるぞ!」


「スキル使えません!」


 ファクターヴァッドベアーのバインドにはスキルを使用不能にするという付属効果がありこれはランダムだが効果が適用されれば殆どのスキルを使用不能にするという極悪極まりない効果だ。

 俺達の中でこれを受けたのはアリアだけだがこの状況でアリアのスキルが使えないのは致命的だ。


「俺がタゲを取る!」


「えっ?ユホ無茶だよ!」


「考えてる時間はない!《流星の波紋》・《天星の領域》!」


 ファクターヴァッドベアーが纏う風と炎は勢いを増し足に力が入っているのがわかる。


「ギャアッ!」


 一直線にこちらに向かってくるファクターヴァッドベアーは最初に攻撃をしてきたよりも早く感じられる。


 矢生成、一斉放射!


 俺の今あるMPで生成できるだけの矢を生成しファクタヴァッドベアーに目掛けて全て放射する。


「よし!」


 全て命中しても突進の勢いは止まらない。

 だが、俺にタゲは向いた。


 そしてファクターヴァッドベアーが俺に激突する。


「ぐっ」

 

 剣を使ってガードはしたがそれでもダメージは絶大。

 《流星の波紋》により物理ダメージが無効になっているとはいえ、属性によるダメージは受ける。

 折角回復したHPも先程と同じくらいまで減っている。

 ファクターヴァッドベアーは俺を吹き飛ばすと身体に纏う風を吹き荒しマロン達を吹き飛ばす。


「グガァッ!!!」


 ファクターヴァッドベアーは俺達に威嚇するように叫びこちらに少しずつ近寄ってくる。


 このままだとまずい。

 タゲは俺に向いていてHPも殆ど残っておらずMPにいたっては0だ。

 回復をしている暇もなく、このHPではすぐにでも尽きてしまう。


「くそ……」


 それでもこのままやられる訳にもいかない。

 

 今にも飛び掛ってきそうなファクターヴァッドベアーに対し剣を構える。


「いくぞっ!」

 

 先に飛び掛られる前に俺から先に動き出す。

 ファクターヴァッドベアーは右足を上げ振り下ろす。

 俺はそれを大きく避け、横に回りこみ一撃を浅くだが入れ距離を取った。

 安易に攻めるのは命取りになる。

 ファクターヴァッドベアーが纏う炎と風に掠るだけでもダメージが入るためギリギリで避けるのは今のHPでは自殺をするようなものだ。

 だから大きく避けなければならないのだが、それだと今みたいに深い攻撃をする事が出来ない。


「ハイヘルエスト!」

 

 睨み合う俺とファクターヴァッドベアーの間に入るようにアリアが入りヘイトを集中させる。


「ガァァッ!」


 ヘイトスキルによって誘発される強攻撃がアリアへと向けられる。


「アリアッ!」


「大丈夫です!リセ・ザ・シール!」」


 アリアがスキルを叫ぶとアリアの横に浮遊していた盾はアリアの右腕へと密着し、アリアはそのまま腕を動かし盾でファクターヴァッドベアーの強攻撃を受け止める。


「ノックバッド!」


 強攻撃を受け止めたアリアは怯むことなくそのまま前へと走りファクターヴァッドベアーとの距離が一メートルとなると同時にスキルを発動させ、盾をファクターヴァッドベアーの上から叩き落す。

 するとファクターヴァッドベアーは怯みを見せる。


「リベンジ・バースト!」


 盾を叩き落とし、そのままアリア続けてスキルを発動させるとアリアの盾は光り輝きファクターヴァッドベアーを赤いエフェクトを散らしながら吹き飛ばした。


 


 

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