Second Life 33
大変お待たせしました。
誤字・脱字ありましたら感想で言ってくれると嬉しいです。
七恵さんとユーリンが来た事に驚きはしたが、同じゲームをやっていて、今現在この街は出現している中では一番大きく中心となるんだから会うことは不思議ではない。
けど、七恵さんがSLOをやっていることには驚きはした。七恵さんのプレイヤーネームは「セリエ」だった。髪色は薄めのグリーンで雰囲気などは現実と殆ど変わらない。
今、ハルアさんと二人は取引の真っ最中だ。
「ユホにあんな綺麗な人と可愛い子が友達にいたなんて驚いたよ」
マロンは観察するように二人を見ながら呟いた。
「あの二人はリアルでも知り合いだったりするの?」
「おい、リアルの情報をそんなにグイグイ聞いてくるなよ」
マロンはこのくらいの常識知っているはずなのに、なぜか今日はよくリアルに触れる質問が多い。
でも、聞いてくることは喋っても大丈夫な事だけだから、なんだかんだで俺は質問に答えている。それに、マロンは信用しているから誰かに喋る事もないだろう。
「ユーリンの方はリアルでも親しいほうだな。けど、セリエさんは一度会った事があるだけだ」
「へぇ~。一度しか会った事のない人の顔を良く覚えてられたね」
「最近はすぐに顔を覚えられるようになったな」
「いいなぁ~。僕は人の顔を覚えるのが苦手でね。よく困ってるよ」
あはは、と笑いながらも二人を見ることをやめないマロンを視界に置きながら俺は紅茶を啜る。三人の商談はまだ長くなりそうだ。
「なぁ、マロン」
「なに?」
俺の呼びにマロンは観察するのをやめ、こちらを見る。
マロンがこちらを見たのを確認してから俺は話を始めた。
「ドロップ率アップみたいなスキルが付与されてる装備ってこのSLOに存在してるのか?」
「まぁ、あるはあるけど、超レアスキルだから流通は滅多にしないだろうし、まだ手に入れられるクエストとかは出てないと思うよ。それに、ドロップ率アップって言っても、1.5%くらいだよ。」
「そんなもんか。なら手に入れる必要もなさそうだな」
「まぁね。プレイヤー同士での取引もあるから大抵の素材は得られるしね」
テーブルに置かれたクッキーを食べながら、またマロンは二人を見始めた。
「なぁ、なんで二人をそんな見てるんだよ」
いい加減気にもなったので、尋ねるとマロンは少し考えてから、「内緒かな」と言って二人を見るのをやめた。
「隠す事か?」
「あるんだよ。と~っても大事な理由だよ」
やはりマロンの思考を読もうとしても全ては無理だし、どちらかと言うと読めない事の方が多い。
大事な秘密でも抱えているのかは分からないがそれがどんな秘密なのかは分からない。
「まぁ、リアルを深く詮索する事はマナー違反だからな」
「ありがと、ユホ。愛してるよ?」
こいつは男同士で何を言い出すんだか。
ちっとも、嬉しくないな。
「ふざけてないでくれ」
「え~、僕は結構真面目だけどな~」
「俺らは男同士だぞ」
「そう言うことじゃないんだよ。僕たちはもうパートナーみたいなものでしょ?」
まぁ、このSLOを始めてから多くの時間はマロンと共にクエストを受けたりしている。ソロでの時間も多くは取っているが、ソロでの時間を抜いたらマロンといる事が最も長い。
これを踏まえると、俺とマロンはこの世界では相棒だ。普通ならしないであろうくだらない話も生産をしながらよくする。身内を抜いたら、SLO内では最も親しい。
「まぁ、そうだな」
「だから、相棒として信用してるってことだよ」
「そうか。そういう事ならありがたくその愛を貰うよ」
「どういたしまして」
にひひ、と無邪気に見せる笑顔はやはり子供っぽさのあるマロンだ。
「でさっ!そんなパートナーに相談があるんだけど」
俺はこの言葉を聞いて、これが目的か、と悟った。
「このクエストを受けに行こうよ!」
マロンが見せてきたクエストは簡単な討伐クエストだった。
こんなクエストをわざわざ受ける必要があるのだろうか。
報酬を見てみても変わって珍しいものがあるわけでもない。
「別に普通のクエストだろ。それにマロンならソロでもクリアできるレベルじゃないか」
「ふっふっふっ、僕が目的としているのは討伐するモンスターでもなく、報酬でもないとユホ!」
突然に立ち上がりマロンはクッキーをこちらに向けた。
「この日はレアモンスターが出現する可能性があるんだよ!」
「レアモンスター?」
「そう!このクエストのみでしか出現しないとされ、レアモンスターからのドロップ素材はどれも激レア!」
こんな情報どっから聞いてきたのか。
まず、それが本当なのかも怪しいぞ。
「疑ってるでしょその顔」
「まぁな。そんな話今まで聞いたことないしな」
「情報は信じて良いと思うよ。βテスト時代からの知り合いの情報屋からの話だよ」
「じゃあ、その話が本当だとしても出現率がめちゃめちゃ低かったら出ない可能性もあるだろ?」
「そうだけどさ、やってみないと分からないよ。受けようよ」
う~ん、確率がどれくらいかも分からないからな。1%程だったら狙ってもほぼ無理だろ。
それなら、他のクエストを受けるなり、素材回収をしたり他の事をした方が時間を有意義に使える。
「他のクエストにしないか?それか素材回収」
「もー、そんなこと言って、ドロップする素材を聞いてもそんな事言えるかな?」
ニヤニヤしながらマロンは席に座りなおし、顔を寄せてと手招きをした。
顔を寄せると、マロンはボソッと囁いた。
「キャソール……ドロップするよ」と。
次の更新は、5日までにする予定です。




