Second Life 25
ブクマ評価感謝です。
今回は短めです。
トリスティグロウとの戦いを終えた俺達はすぐに山を下り、フィールドを出た。
街に戻ってからマロンの所有している家へとやってきた。
テーブルを3人で囲み、マロンとミカンの視線は俺へと向いていた。
なぜかは、当然俺の使ったスペシャルスキルについてだ。
「それで、あのスキルはなんなの?」
「説明の前に幾つかお願いだ。これから話す事は他言無用で頼む。後、出来れば2人についても少しくらいは教えてくれ」
「僕は別に大丈夫だよ。絶対に隠したい事はないからね」
「私もあのスキルについて教えてくれるなら教えてもいいわ。けど、私の話す事も出来るだけ話さないで」
「了解だ。なら先に俺のスキルについてから話すぞ」
2人にはなんで俺がすぐにスペシャルスキルを使わなかったのか、どう言ったスキルなのかを大体話した。
けど、【天星の領域】のことだけは隠した。
理由は簡単。
全ての情報を言う事は今後のプレイで大きな弱点となる事の方が確率的に高い。
それに、2人も全てを話すとは思っていないと思う。
「へぇ……目立ちたくないね……」
「なんかユホらしい理由だね」
2人は俺がスキルを使うのを渋っていた事に呆れたような表情を見せる。
「俺はこの世界じゃひっそりと暮らす気でいるんだ。それにはこのスキルを乱発して目立ちすぎるのは避けたいんだよ」
「でも、これと同等かそれ以上のスキルが出たら使う気なんでしょ?」
「それはPVPでの話だ。基本的には人前じゃ使う気は無いよ」
「なんかユホって言っている事が矛盾してない?」
「そうかな?」
「言われてみたらそうね」
そうだろうか?
目立ちたくは無いけど、このスキルに張り合うスキルが出てくれば使う可能性があるというだけだ。
絶対に使うわけではない。
「何か勘違いしてるみたいね」
「僕が言っているのはひっそりと暮らしたいとか言ってるのに、他のプレイヤーには勝ちたいって無理があると思うって事だよ」
「ゲームをやってるなら負けたくないのは当然じゃないか?」
「でもユホはひっそりくらしたいんだよね?」
「あぁ」
「ほら矛盾してる。他のプレイヤーに勝とうとするなら絶対に少なからず名は知られるようになるよ?それが戦闘面でも生産面でもね」
少しくらいなら構わない。
でも、有名になりすぎるのは避けたいだけだ。
「そんな細々とプレイしててあんたは満足すると思う?」
「う~ん……分からないな」
「その反応は絶対に満足しないわ」
「そうか?」
「僕もそれは思うな。長い間一緒にいる訳じゃないけど、ユホは満足しない気がするよ」
「IGOの時のユホを見てた人なら皆同じ事を思うはずよ」
「ユホはもっとゲームを楽しむべきだよ」
「俺は今のままでも十分楽しんでるけどな」
「はぁ……言葉だけじゃ理解できないみたいね」
ミカンはすっと、席を立ち「行くわよ」とだけ行って部屋を出て行ってしまった。
「ミカンどこ行くんだよ」
「まぁまぁ行ってみようよ」
マロンもミカンの後を追って部屋を出て行ってしまった。
俺だけ部屋に残るわけにも行かないので2人の後を追った。
ミカンが足を止めた場所は街の中央に位置する待ち合わせ場所によく使われている噴水の前だった。
「ここにしましょ」
「何をだ?」
「ユホ、私と戦いましょ」
「……は?」
ミカンは俺にはお構い無しにPVPの申請を送ってくる。
なぜミカンはこんな人通りの多い所で態々戦おうなんて言い出したんだ。
他のプレイヤーの迷惑にもなる。
「早くOKしなさい」
「ちょ、待てミカン。なんでこんな人通りの多い所でPVPをしなきゃいけないんだ」
「あんたに自覚させるためよ」
「何を「どっちにするの!」」
ミカンのいきなりの怒鳴り声にビックリしてしまって固まってしまう。
それはマロンも同じのようで目をぱちくりさせている。
「そんなに嫌なら賭けをしましょう」
「か、賭け?」
「えぇ。私に勝ったらユホのお願いをなんでも聞いてあげるわ」
「ほぅ……ならメロンパンの行列に並んでもらうぞ」
「それは私が負けたらの話よ」
「負けてから無かった事にするなよ」
俺は目の前のYesを押した。




