Second Life 24
ブクマ評価感謝です。
更新遅れてしまって申し訳ございません。
次回の更新は遅くなりそうです。
「流星の波紋」
魔法の名前が言い終わると同時に、足元に金色の星型の魔法陣が三つ現れる。
「何……その魔法」
「話は後だ!時間が無い!」
「ユホ援護は任せたよ!」
「任せろ!」
戸惑っているミカンを置いて、マロンは強化後すぐにトリスティグロウへと駆け出した。
マロンの速度は今までよりも倍くらい速い。
突っ込んでくるマロンに大きな足を振り下ろそうとするが、マロンは振り下ろされる前にトリスティグロウの浮いた懐へと潜り込んでいる。
「チャンス!」
がら空きになった腹へとアーツを撃ち込むと、元々浮いていた事もあり体を反らし倒れていく。
「ミカン早く!」
「助かったわ!」
引っくり返ったトリスティグロウに追撃を加えるミカンとマロン。
「下がれ!起き上がるぞ!」
ミカンとマロンは反撃が来る前に下がろうとするが、ピタッ、と動きを止めた。
「何してるんだ!」
「う、動かない」
「反動はまだこないはずなのに……」
「くそっ」
考える間に、トリスティグロウは起き上がり、高々と前足を振り上げている。
「スターバレット!」
キラキラと光る弾丸は高々と上げられている前足へと一直線に飛んでいき、着弾する。
「グガガッ」
振り上げていた足は煙を出しながら、地面へとついた。
マロンとミカンからは視線が外れ、俺へと殺気を込めた視線を送ってくる。
「そのままこっちに来い!」
俺はミカンとマロンに視線がいかない様に、トリスティグロウを誘導する。
魔法の攻撃範囲からマロンとミカンが外れてから、もう一度トリスティグロウへとスターバレットを撃ち込んでいく。
トリスティグロウは、俺の撃ち込むスターバレットを一つ残さず前足で相殺していく。
「これならどうだ!シャインブロッサム!」
俺の真上で金色に輝く魔法陣が三つ現れる。
約五秒後、キラキラと光る粒子を纏いながら光線型の魔法が放たれた。
トリスティグロウは逃げる間もなく、魔法砲に飲み込まれた。
「大丈夫!?」
「助かったよユホ」
「まだ油断するなよ」
「あれならやったんじゃない?」
「「ミカン!!」」
「なっ、なによ!」
ミカンはまだ理解していないようだけど、今のは確実にフラグだ。
こういう時は大体やりきれてない……はずだ。
未だに砂煙でトリスティグロウがどうなったか視認できない。
「グ……ググ……」
「ほらな……フラグだった……」
「ミカンもうちょい空気よもうよ」
「……あんた達ね、後で覚悟しときなさいよ。それに、ユホがもっとレベルを上げとけば倒せいていたはずよ」
「それは言うな。こっちにも色々事情があるんだよ」
「でも、後少しで倒せるよ」
「それもそうね」
「でも、もう魔法は撃てないぞ。MP切れだ」
「回復する時間もないわね」
「なら、やることは一つしかないよね」
「「「突っ込む!!!」」」
作戦とは言いがたいが、意見が分かれずに一致したのは良いことだ。
思っている事が同じなら、多くの事を言わなくても大体予測しながら動く事が出来る。
俺達は、互いに距離を取って、一度で壊滅を避けるようにする。
トリスティグロウは誰にしようかと言っているように見える。
「ひきつけ役は僕がやるからとどめは二人に任せるからね」
「しっかりと頼むぞマロン」
「マロン信じてるわ」
「ミカンは相変わらずフラグっぽいことを言うのやめようか」
「何がよ!って、ちょっと待ちなさいよ」
ミカンが文句を言い終わる前にマロンはトリスティグロウに突っ込んでいってしまった。
「後で絶対に殴るわ」
拳を握り、怒りを静めているミカンを見ると、こんな状況なのに笑いがこぼれそうだ。
「何にやけてるの?」
「何でもないよ。気にしないでくれ」
「あっそ。ならいいわ。さっさと終わらせて帰りましょ」
「それもそうだな」
マロンがヘイトスキルを使いながら、トリスティグロウの攻撃を誘っている。
「早く二人とも!」
「「わかってる(わよ)」」
「クルデイト!」
俺は最近取得した《剣》スキルのアーツを放つ。
「雷砕!!」
両拳には光を纏い、光はバチバチと雷を纏っている。
拳がトリスティグロウの腹に当たると同時に、光を発し、雷を撒き散らしながら爆発する。
殴るたびに黒煙が出るが、ミカンはお構い無しにトリスティグロウの腹を殴り続けている。
「おらおらおらおらおら!!」
ミカンからは高校生が出しそうも無い物騒な掛け声が聞こえてくる。
気のせいだろう。
現役女子高生がこんな世紀末アニメのような声を出すわけがない。
………聞き間違いだ。
おそらく、トリスティグロウの悲鳴だろう。
そう信じよう。
「何してるのユホ!手を休めないで!」
「す、すまん!」
少し動揺していて、動きが止まっていたが、ミカンに言われて俺も攻撃を加えていく。
「クロスエイド!」
十字の残像が消えていくと同時に衝撃波がトリスティグロウを襲った。
トリスティグロウはゴロゴロと地面を抉りながら転がっていく。
「グ、グ……グゥ」
「これで決めるぞ!」
「ええ!」
「帰りたい!」
マロンは欲望丸出しだな。
「そりゃ!」
「えい!」
二人の攻撃は立ち上がろうとしたトリスティグロウをもう一度転ばさせた。
「「とどめ!!」」
「これで!終わりだ!」
突き出した剣はスンッと吸い込まれるようにトリスティグロウに刺さった。
感覚的に、決まった、と直感できた。
トリスティグロウはデータ片となり消えていく。
俺達は少しばかり、呆然としながらも、目の前に現れたボス討伐報告を見て、叫んだ。
「「「やったーーー!!!」」」




