Second Life 11
ブクマ評価感謝です。
一度ログアウトをして、今俺は自分の分と優花の分の昼食を作成している。
どんなにもゲームが楽しくても、昼を食べる事は大切だ。昼をしっかりと取ることで集中してゲームもすることが出来る。
しっかりと取ると言っても、優花も早く昼食を済ませてSLOにログインしたいと思うから簡単に作れて済ませられるうどんにした。
優花は既にSLOからログアウトしてうどんが出来るのを待っている。
うどんも茹で上がり、皿に盛り付ける。
「優花出来たぞ」
「遅いよお兄ちゃん」
作ってやったと言うのに、なんという言い草だ。
でも優花は文句は言うがお礼は言ってくるし、美味しそうに食べてくれるから作ってやりたいと思う。
「午後はすぐにSLOにログインするのか?」
「そのつもりだよ。レベル上げしなきゃボスに挑めないからね」
「夕食は8時くらいには作ろうと思っているから8時頃には一回ログアウトしてくるんだぞ」
「分かってるよ。でもお兄ちゃんもログインするんだよね?」
「そのつもりだぞ。まだやりたいことが山ほど残っているからな」
「やりたいことってのは?」
「回復薬の生産だ」
「お兄ちゃん……言い忘れてた事があるんだけどいいかな?」
優花は申し訳なさそうにしている。
多分だが、生産職で作れる物は殆どがショップで入手出来るって事だろうな。
「何だ?」
「生産職で作れるアイテムは殆どがNPCショップで手に入れることが出来るんだよ。手に入らないのは武器や防具、それと高レベル生産者が作るアイテムくらいだよ」
予想通り、生産職は必要ないと言うことか。
でも、もう遅い。生産スキルを取ってしまったし、もう生産を捨てる気もない。理由としては生産職の可能性が見えてきたし、もし高い能力のポーションを自分で作れるようになればポーションに使う金が浮き、浮いた分だけ他の物に金を掛ける事が出来る。
「それはミーサちゃんから聞いたよ。忠告は嬉しいけど俺は生産を続けていく。自分のペースで進んで行こうと思っているからな」
「そっか。それなら良いんだ。もし生産スキルを取って、絶望を感じてたらどうしようかと思ってたんだよ」
「まぁその時は他の事を考えてただろうな」
「お兄ちゃんは攻略をする気は今は全然ないの?」
「まぁな。今は生産を中心に楽しんでいこうと思っているよ」
「あんな凄いスキル持ってるんだからたまには協力してね」
俺はあのスキルをあまり攻略に使う気はないんだけどな。
「あのスキルはまだ当分使う気はない。あのスキルと同等のものが出ないと目立つからな」
「お兄ちゃんそれは相当先だよ。運営も言ってたし、お兄ちゃんも使ったなら分かると思うけどお兄ちゃんの手に入れたスキルは強力過ぎるよ。ゲームバランスを揺るがすかもしれない。そんなスキルがいくつも出ちゃったらクソゲーになっちゃうよ」
優花の言っている事は正しい。どんなゲームでも強力な武器や防具、スキルがいくつも出てしまうとそれに依存してしまう。すると、プレイヤーの実力よりも武器や防具の性能が上のプレイヤーが強い事になる。すると、クソゲーが出来上がってしまうと言う事だ。
「それもそうだな。でも当分使う気がないのは変わらないよ」
「お兄ちゃん本当に変わったよね」
「変わった?」
「昔と比べたらとっても変わったよお兄ちゃんは。IGOにぬめりこんでいた時は使える武器やスキルはとにかく使って、何が何でも勝ちにいってたのに今のお兄ちゃんはゲームバランスを少しは考えてるし、勝つよりも他の楽しみを見つけ出そうとしてるんだもん。これだけ見たら相当変わったよ」
「言われてみればそうかもしれないな。今は勝つとか攻略よりもSLOの世界を知りたいからな」
「それならいいんだ。もう無理には言わないよ。ごちそうさまお兄ちゃん」
「お粗末様。夕食は8時頃だからな。時間忘れるなよ」
「分かってるよ。じゃ、先にログインしてやってるからね」
「あぁ」
優花は俺の返事を聞き終わる前に部屋を出て自分の部屋に向かっていった。
俺は、自分のと優花の食べ終わった食器を洗ってから自分の部屋に戻った。
部屋に戻りすぐにSLOにログインする。
目を開けると宿の天井が視界に入る。
態々宿でログアウトする必要は無かったが、気分で宿でログアウトをしたと思った。
宿からは出ず合成キットと《初心者ポーション》を出す。
《初心者ポーション》と《初心者ポーション》を合成してみる。
「お、成功だな」
《ポーション》
HPの11%を回復する
「MPポーションに比べるとやっぱ低いな。手作りの方が効果が上がるのか」
アイテムとアイテムで新しいアイテムを作る合成より調薬で研究して作っていった方が効率は悪いけど高い能力が望めるらしい。それに合成はアイテム消費が激しく、スキルLvが低いと失敗する可能性が高い。合成に失敗すると、ステータスがマイナスしたり、状態異常を引き起こす物が完成する。
「薬草採りにいくか」
宿から出て、草原が広がるフィールドの隅の薬草採取スポットへやってきた。
やって来た薬草採取スポットでは、薬草以外にもさまざまな素材が採取出来るらしい。
βテスターの生産者はサービス開始した時に、死なない程度のLvまで上げここで採取をしていたため、生産職の大変さを知らない初心者生産者と採取場が被らず、初心者生産者に素材の数で差をつけたらしい。
この情報もミーサちゃんからの提供だ。
◇◆◇◆◇◆
「こんなもんか」
ミーサちゃんに教えてもらった場所で採取出来たのは、薬草以外に、《石》・《胆石》に《鉄鉱石》を少しだけ採取する事が出来た。
後は、町に戻って納得がいく物が出来るまで生産を続けよう。
「ん?」
生産をするために町に戻ろうとしたときに、リュークと通信が繋がる。
「どうしたんだ?」
『今時間空いてるか?フレンド登録もしたいし時間があるなら会わないか?』
「あぁ大丈夫だ。リュークは今どこにいるんだ?」
『俺は丁度フィールドの入り口だ。ユキはどこにいるんだ?』
「俺はフィールドの端っこ側にいるぞ。それと俺の名前はSLOではユホだ」
『なら俺がそっちに向かう。待っててくれ』
「わかった」
俺はリュークを待っている間生産をして、リュークを待った。




