Second Life 7
ブクマ評価感謝です。
戦闘シーンが上手く書けているか心配です。
矛盾点などありましたらご指摘お願いします。
「お兄ちゃん今の何……?」
呆然としていたユカが未だに状況整理が出来ていないようだが、何が起こったのかを聞いてくる。
ミーサや、イルミも同じ事を思っているだろう。
「詳しい事は教えられないけど、今のが《星月の姫》のスキルの一つだ」
「何が起こったのか全然分からなかったよ」
「何も見えなかったです」
「……私も」
見せるのはこのくらいでいいだろうか。
これで証拠になったのかは分からないけど、三人が納得してくれたならいいとしよう。
「俺のスキルは教えたぞ?三人も条件通り教えてくれるよな?」
「そうでしたね。じゃあ先に私から言わせて貰いますね。私の獲得したスペシャルスキルは《風神の恩恵》ってやつです」
「次は私ね。私のSSは《拳王》です」
「私は《雷紅の巫女》ってやつだよ」
「詳しい事は言えませんが、どのようなスキルかは言わせて貰いますね。私の《風神の恩恵》は名前の通り、風魔法に対しての能力上昇がメインです」
「私の《雷紅の巫女》はミーサちゃんの雷属性版って感じだよ」
「私のが一番シンプルね。《拳王》はただ近接格闘時にステータスアップと、物理攻撃力上昇と、物理防御力上昇です。私のは隠す事ないですからね。これが全部ですよ詳細は」
完璧に脳筋スキルじゃないか。
イルミはこんなスキルで嬉しいのかな?
「イルミはそのスキルを考慮してやっていくのか?」
「そのつもりですよ」
「イルミちゃんはβ版の時格闘型剣士だったんだよ」
「だから私にとってこのスキルは望んでたと言えるスキルなんですよ。でも二人とは違って、特殊武器とかは何一つないんですけどね」
「二人にはどのくらいの武器や防具が配られたか聞いていいか?俺もそこらへんの情報は教える」
「私は武器が二つ、防具が一式だよ」
「私も数は同じですね」
多分だが、筋力アップ系のスキルである《拳王》は武器など必要ないからだろう。
それに対して、ユカとミーサのスキルは俺と同じように属性の攻撃力など上げたり、特別なスキルがあるためそれに因んだ武器が配られたのだろう。
このユカとミーサの情報に対して俺も同じくらいの情報提供でいいだろうか。
「俺に配られたのは、剣が1本、槍が1本だけだ。お前らと違って防具がない」
ユカとミーサが教えてくれたのは武器の数と防具があるかないかだけだ。
けど俺が教えたのは武器の種類だ。
なら、これだけでも対等と言えるだろう。
「いきなり呼び出してすまなかったな」
「いえいえ大丈夫ですよ。貴重な情報を手に入れられましたから。私達のスキルは内緒でお願いしますね」
「俺のほうも極秘で頼むよ。俺はこのスキルはよっぽどの事が無い限りこのスキルを使っていく気は無いからな」
「私は勿体無いと思うけどな。折角最上級のスキルが手に入ったのに」
ユカ。お前には分からないだろうな。注目される面倒さと怖さを。
すぐにでも知るがいいぞ。
「まぁ、最初の方は生産スキルを上げていこうと思っているからな。落ち着いてから戦闘向けスキルを取得していくよ」
「応援してますお兄さん」
「頑張ってくださいね」
「私達はそろそろいくね。頑張ってお兄ちゃん」
「三人とも本当に助かったよ」
三人を見送り、どうするかを考える。
一度町に戻って生産道具を買うか、それともスキル取得のためLv上げをしてついでに生産道具を一気に揃えるために金を稼ぐか、二択だ。
「よし、金を貯めるか」
俺が選んだのはスキル取得をするためのLv上げと生産をするための道具を買うための金稼ぎだ。
折角こんな初期じゃ死ぬ可能性がある場所まで来たんだし、稼げるだけ稼いで戻ろう。
セーフティエリアから出た俺は森の出口を遠回りしながら目指し始める。
武器はもちろん最初に受け取った剣だ。
万が一他のプレイヤーがここまで来ていて、スターカンナを見られたら面倒な事になる気がするからだ。
今の俺のLvで数体のゴブリン同時に相手するのはさすがに無理がある。
だから、多くて2体のゴブリンを探す。
セーフティエリアから出て歩き始めてから、3分ほどで1体のゴブリンを見つけた。
ゴブリンの背後にゆっくりと近付く。
ゴブリンが気付いていない事を確認して、ゴブリンが俺に背を向けた瞬間に茂みから飛び出す。
背中を思いっきり切りつける。
「グワッ!」
ゴブリンがこちらに振り向く前に追撃を背中にする。
背中に2連撃を加えてから、ゴブリンは怒りながら棍棒で俺を振り払う。
HPを確認すると3分の1程度しか減っていない。
流石に最初と言っても自分より強いと簡単には死なないな。
ゴブリンとの間合いを少しずつ縮めるとゴブリンが叫びながら飛び掛ってくる。
その攻撃を半身でかわし、剣を胸に突き刺し、切り払う。
断末魔とともにゴブリンはデータ片となって消えていく。
1体程度ならこんな感じで簡単に対処できるのだが、これが3体となってくると捌ききれず殺されてしまうだろう。
なんでスライムを狙わないかだって?初期スライムほど経験値効率が悪いモンスターはいないとユカが言っていたからだ。
それに、この森で出会ったスライムは全て10匹程の群れで行動をしていた。
だからスライムは避けているのだ。
「よし、こんなに貯めればいいだろう。戻るか」
現在の位置を確認すると、出口に向かっていたはずなのにセーフティエリア付近にいつのまにか戻ってきてしまったらしい。
夕飯の準備の事を考えると最短ルートで出口に向かってログアウトするしかないな。道具の確認は夕飯後になりそうだ。
出口に向かって歩き始めようとすると、ユカからの通信が掛かってくる。
「どうかしたのか?」
『私先にログアウトするね』
「俺も町に戻ったらすぐにログアウトするから少し待っててくれ」
『分かったよ。お兄ちゃんまだ森にいるの?』
「そうだけど、どうかしたか?」
『その森奥地に行き過ぎるとここら辺じゃ高めのモンスター出るらしいから気をつけてね』
ユカよ。もっと早く連絡をしてくれれば嬉しかったぞ。
「あ、あぁ気をつけるよ」
『じゃあね』
ユカとの通信が切れる。
そして俺は目の前にいる先程よりも数倍大きなゴブリンがいる。
これがユカの言っていたモンスターだよな。
「ギャアアアアアァァァァァッッッッッーーーーー!!!」
数倍大きなゴブリンは叫びながら突進をしてきた。




