Second Life 3
ブクマ評価感謝です。
「ヤァッ!」
「アクアショット!」
二人の声の後に崩れ落ちていく二匹のゴブリン。
《SLO》で最初に出てくるモンスターは二種類。
今無残にも倒れていったゴブリン。それとブルースライムだ。
この二匹は、後々でグレードアップして出てくるらしい。
ゴブリンキングや、ゴブリンジェネラル。プルースライム、ゴーストスライムなどなど。
ユカとユリア姉が言うには、ゴーストスライムは倒すのに相当苦労するらしい。
でも、こいつが出てくるのはβテストの時は後半だったらしく、公式プレイでの出現は早くとも第二の町か第三の町辺りらしい。
ゴブリンを倒しこちらに戻ってくるユカとユリア姉。
フィールドに出始めてから、約三十分。
俺はスライムとゴブリンを倒す二人を見ていただけだ。
二人の戦闘や、度々会う他のプレイヤーの戦闘を見て、ユカやユリア姉が言うように俺が一番扱えそうなのは剣だった。
剣は普通にカッコいいと思うから嫌なわけではないのだが、二人の話によると、剣は他の武器に比べて派生する数が相当多いらしく、複数の剣を使うとなると、面倒らしい。
それを考えると、派生数が少ない槍や弓が妥当だろう。
「どうお兄ちゃん。武器は決まった?」
「う~ん。やっぱ剣は捨てがたいけど、派生の数を考えると他の方がいいのか迷うな」
「私達は第一陣プレイヤーだから、まだ時間はあるし、時間を掛けて育てる《剣》で良いと思うよ。それに、剣の場合、派生したやつが自分に合ってたら当分は変えなくていいからね」
俺らが第一陣プレイヤーなら、第二陣は三ヵ月後にはやってくる。
なら、それまでゆっくりとプレイするのもいいかもしれないな。
「わかったよ。《剣》にしてみる。ゆっくりと魔法剣士でも目指してみるよ」
「頑張ってねユホお姉ちゃん」
「ユホちゃん頑張ってね」
「あぁ。でもそのお姉ちゃんは三人のときはやめてくれないか?」
「え~。可愛いのにな~」
「可愛いかろうが身内だけの時は止めてくれ」
「う~ん。分かったよ」
「じゃあ、そろそろ一旦戻ろうか。運営からの挨拶があるみたいだし。運営からの挨拶が終わったらお姉ちゃんは事務所の皆の所行くからね」
「うん。じゃあいっこか」
「あぁ」
サービス開始から一時間後に運営から挨拶があると事前に告知されていたため、転移ポータルのある場所へ向かう。
他のプレイヤーも挨拶を聞くために戻っている。
一部のプレイヤーは興味が無いのか、それとも後からどんな内容だったかを聞いたりするのか、モンスター狩りを続けている。
転移ポータルのある場所に着くと、視界に移動先の出来る場所の一覧が映し出される。
もちろん、まだ始まったばかりなので、移動が出来る場所など始まりの町であるエイルハルンのみ。
エレメンタルフルーを開拓していく、つまり進めていけば移動できる場所は増えていく。
エイルハルンからなら、全ての町、フィールドの入り口に転移できる。
フィールドから転移の出来る場所は、エイルハルンと、前後のフィールドのみ。
一部転移の出来ないフィールドは存在するらしい。
「結構少ないんだな」
「そうだね。どうせ運営からの挨拶なんてネットに出るからね」
「でもこういうのは生で聞くからいいのよね」
ユカとユリア姉はワクワクしているのが一目で分かる。
俺も外には出してないが、とても楽しみにしている。
「お兄ちゃんワクワクしてるね」
バレてました。
全然隠しきれてなかった。
三人でワクワクしながら運営からの挨拶がある場所に向かう。
「ギリギリ着いたみたいね」
時計を見てみると、運営からの予告していた時間まで後五分もない。
ゆっくりしすぎたみたいだ。
予告の時間が迫るにつれ、集まった大勢のプレイヤーはまだか、まだかと期待を表すかのようにざわつき始める。
そして、運営からの予告の時間になった瞬間。
今までざわついていたのが嘘かのように一気に静まり返る。
『大変お待たせしました』
男性の声がしてからすぐに、ローブを着た仮面の大きな人物が映し出される。
(((((趣味悪!!!!!)))))
今この場にいるプレイヤーの殆どが同じ印象を受ける。
引いているプレイヤーを無視して、仮面の人物は話を始める。
『公式サービスが始まって一時間が経過しました。どうですか?素晴らしい第二の人生は歩めそうでしょうか?開発者である私達は、皆様が最高の冒険が出来るように努力をしていくつもりです。冒険以外にも、生産する側に回り、冒険者を手助けするのもこのゲームの楽しみの一つです。この世界での人生を決めるのは皆様次第です。最高の人生を歩めるように頑張ってください。
挨拶もこのくらいで終わらせるとしましょう。
最後に一つだけ。気付いたプレイヤーもいるとは思いますが、プレイヤーネームを一度タップしてみてください。』
運営の言うとおりに、メニューを開きプレイヤーネームをタップする。
タップすると、メニューが一度消え、所持スキルが表示される。
『どうでしょうか?今回告知無しで用意させていただいたものの一つに、スペシャルスキルがあります。スペシャルスキルは、今後イベントやクエストで入手できるようにする予定です。しかし、今行っていただいた行為は、スタート時限定で入手できるスペシャルスキルを抽選するものです。この挨拶の終わりまでしか入手できません。なので、今ここに来てくださっている皆様だけへのプレゼントです。
殆どのプレイヤーはスペシャルスキルを入手できていないと思います。入手の出来ているプレイヤーは幸運です。どのスキルも固定スキルとしてスキル装備覧に表示されます。スペシャルスキルは一人のプレイヤーに一つですが、このスタート時のスペシャルスキルは例外とさせていただきます。なので、運の良いプレイヤーは合計十二のスキルを装備できる事になります。
スペシャルスキルには、C~SSまでのランク付けをしております。Cランクのものでも入手を出来ていれば優位に冒険を進めていけると思います。
今回の抽選での、最上位のスキルは、《星月の王》です。このスキルは、女性プレイヤーの場合《星月の姫》と表示されます。
このスキルでの一番の注目するのは、《星属性》の属性攻撃、《星属性魔法》が使用できる事です。《星属性》はこのスキル以外では武器に付与されていない限り使用は不可能です。このスキルの当選確率は、一割以下です。どんなに批難されようとこの確率は変える気はございません。このスキルはそれだけ強力な物です。このスキルを引き当てられるのは一名か、一人もいないかのどちらかです。
以上で、我々からのサービス開始挨拶を終わらせていただきます』
仮面の巨影は消える。
仮面の巨影が消えるとともに、先程までと同じようにざわつき始める。
ユカとユリア姉の顔を見ると、どこか二人とも嬉しそうにしている。
「私あったよスペシャルスキル」
「私もあったよ」
「お姉ちゃんも?運がいいんだね私達。多分だけど、このスペシャルスキル自体入手できるプレイヤーは全体の一割程だと思うよ。その確率の中で、入手確率が1%以下ってことは、手に入れられないと思ってもいいね」
「そうね。スペシャルスキルはどれも強力って言ってたし、ユカの言っている事は合っていると思うな」
「お兄ちゃんはどうだったの?」
「お、俺はなんもなかったな……」
「そっか。残念だったね」
「まぁ殆どのプレイヤーは手に入れられないんだからしょうがないよ」
言えるわけが無い。
この確率の中で引き当ててしまったのだから。
《星月の姫》を。
ユホ Lv4
スキル
☆《星月の姫》




