Second Life 2
ブクマ評価感謝です。
瞬きをするとそこは今までいた黒い景色が広がる場所ではなく、優花のいっていた通り、ヨーロッパの街並みに似ている街並みが広がる。
辺りを見回すと、そこには凄い人数のプレイヤーがいた。
この大勢の中にはNPCもいるのだろうけど、SLOではプレイヤーとNPCとの区別が全くと言っていいほどつかない。
プレイヤーが、NPCなのかそうでないのかは確認できるが、一々それを確認する人は滅多にいないらいし。
なんで、確認しないかは、NPCと分かると態度が変わるのは避けた方がゲームを楽しめるというのがβ版をプレイしたプレイヤーの感想らしい。
運営もそれを考慮して、一々確認しないとわからないようにしているらしい。
少し辺りを見渡してから。マップを確認する。
始まりの町---エイルハルン。
エイルハルンは、街の中心となる場所に大聖堂がある。
大聖堂のある場所以外にも、中心となる場所が二つあり、そのどちらにも象徴となる石像がある。
マップを確認すると、俺はその二つのうちの一つの場所にいる。大聖堂まではすぐ近くだが、待たせるのもなんだから早速向かい始める。
すれ違う人は皆、それぞれもう武器を装備している。
早速スキルを選び終え、冒険に向かうのだろう。
俺は、優花と唯姉と会ってから、スキルは選ぶつもりだ。
すれ違う人には、なぜか発狂している人や、雄叫びを上げている人もいる。
なにがあったのだろうか?
情報が殆ど無い状態で始めているため、なぜ発狂し、雄叫びをあげているかわからない。
騒いでいるプレイヤーを横目に、大聖堂を目指して歩く。
歩き始めて五分くらいで大聖堂の場所に辿り着く事ができた。
大聖堂の前には凄い人だかりが出来ている。
「やっぱり、ここを待ち合わせにする人は多いんだな」
目の前の滅多に見ない人だかりを見て、つい言葉をふと漏らす。
人ごみの中を掻き分けながら、大聖堂の目の前に出る。
「………」
人ごみを掻き分けて大聖堂の前に出た俺の前には、男性、女性問わず、囲まれている優花と唯姉らしきアバターの人がいる。
「よし。一旦離れるか」
困り果てている優花に気付かれないように、最前列から離れるために、体を反転し、今来たところを戻ろうとする。
しかし、俺の動きは誰かに腕を掴まれ、静止させられる。
俺の腕を掴んできたのは、唯姉らしき人のアバターをした人だ。
「ねえ、ユキ。どこに行こうとしているの?」
やっぱり唯姉か。
「ドチラサマデスカ?」
「惚けてもダメよ。こんな美少女を私が見間違える訳ないでしょ?」
「お姉ちゃん。逃がさないよ!」
いつのまにか優花も俺に気付いたらしく、唯姉と共に俺を引き止めるのに参加してきていた。
くそ。巻き込まれる。
「いやー。ユカ達忙しそうだからさ、俺は先に行って待ってるよ」
「何言ってるの?私達全然忙しくないから安心して。ちゃんとついて行くから」
「お姉ちゃんだけ逃げるのは許さないよ!」
この俺達三人の会話を聞いて、ユカや唯姉を囲んでいた人達が歓声を上げる。
「この子達がYU-Iの姉妹。可愛すぎる!」
「美少女三姉妹キターーー!!!」
「YU-Iさんの妹可愛ぃ」
「やば過ぎる!」などなど……色々な感想が発せられている。
「一旦ここを離れようか。ユキちゃん。ユカちゃん。付いて来て」
「「わかった」」
俺達を囲んでいる集団から抜け出し、全力で駆け出す。
~五分後~
「はぁ……はぁ…」
「やっと撒けたね」
「ごめんね。二人に迷惑掛けちゃって」
「別に構わないよ。唯姉がこれだけ人気って事が改めて分かったからね」
「そう言ってくれると助かるわ。でもユキちゃん。今は唯じゃなくて、ユリアよ」
「あ、ごめん。でも俺も今回はユキじゃないんだ。ユホなんだ」
「お兄ちゃんが違う名前を使うなんて珍しいね」
「珍しいと言うか、初めてなんじゃない?」
「そうだな。SLOでは今までとは違う自分としてやっていきたいんだ」
「そっか。それは良いことだと思うよユホちゃん」
「ちゃん付けは止めてくれると嬉しいな」
「それはダメ」
ユリア姉を見てみると、絶対にちゃん付けは止めそうにないので諦めて話を変える。
「そろそろやっていかないとユリア姉の時間が無くなるんじゃないか?」
「それもそうだね。じゃあまずはスキルを決めようかお兄ちゃん。私はもう決めてるから後はお兄ちゃんとお姉ちゃんだけだね」
「私もβテストの時とプレイスタイルは同じでいくつもりだから、ユホちゃんだけだね。何も決めていないのは」
「二人はどんなスタイルでいくつもりなのか聞いてもいいか?」
「私は最初は純剣士でいって、余裕が出来てきたら魔法剣士を目指そうと思ってるよ」
「私は、純魔法職かな」
二人はそれぞれ全く違うスタイルでやっていくのか。
俺は前衛か後衛どちらがいいかと聞かれれば、ユカと同じ魔法剣士を目指したいと思う。
けど、俺達は兄妹だ。同じようなスキル取得になってしまうかもしれない。
ここは迷うところだな。
「う~ん。どうするかな」
「私は、私と同じ魔法剣士を薦めるよ」
「私もユホちゃんはそっちの方がいいと思うな。魔法剣士が嫌だったら純剣士とか、他の職でもいいと思うよ。後衛は無理だと思うな」
二人ともよく分かっている。
俺も自分で理解している。後衛は俺には全くと言っていいほど向いていない。
【IGO】の時なんて良い例だ。俺が他の人を支援しながら戦闘を行うのは無理だと思う。
でも、折角名前も変えて、今までと違う自分になろうと思っているのだから、後衛になるのもいいかもしれない。
「迷うようなら、まず私とお姉ちゃんの戦闘を見てから決めればいいんじゃない?それにマップが広いと言っても、まだ最初だから人はある程度いるから、他の武器とかも見れると思うよ」
「それもそうだね。じゃあ時間もあまりないから早速行こうか」
俺は二人と共に初めての冒険に出掛けた。




