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Second Life 1

ブクマ評価感謝です。


いつもと変わらない平凡な土曜日。

いつものように起きて、今は優花と共に朝食を摂っている。


目の前で優花はいつものようにニコニコとしながら朝食を食べ進めている。


いや、優花はいつも以上にニコニコと嬉しそうにしている。

こんな事を言っている俺も、今にも笑みがこぼれそうだ。

なぜなら、今日は、《Second Life Online》の正式プレイ開始日だからだ。

サービスが始まるのは三時からで、今はまだ九時だが、《SLO》でのアバターの設定をしなければならないため、いつもよりも急いで朝食を食べている。


アバター設定は、パソコンで行う。

家で《SLO》をプレイするのは俺と優花だけだが、アバターに拘ると、一つのアバターを完成させるのに一時間は余裕で越えてしまう。

それに、家にあるパソコンは父親の部屋のを除くとリビングにある一つだけのため、必然的に速めに朝食を摂り、アバター設定を行わないといけない。



「優花先にアバター作りやっていいぞ」


「ん?私からでいいの?私β版のを元にするけど一時間は越えちゃうよ」


「別にどっちから先に作ってもそんな変わらないからな。それに、教えてもらいたい事もあるしな」


「お兄ちゃんが私に質問なんて珍しいね」


「《SLO》についての知識は俺は皆無だからな」


昔の俺は、《IGO》と《SLO》のβテスト抽選に申し込み、当選したのは《IGO》だった。

この時は、あまりRPGに興味が無く、どちらかと言うとFPSばかりやっていた。

《SLO》のβテストに申し込んだ理由は、βテストの当選確率はとてつもないくらい低い。

当選確率が低いなら、まず、VR世界を体験する方を俺は優先し、興味が無くてもVR世界を体験できる確率を上げるために、《SLO》のβテストにも申し込んだのだ。



「じゃあ、アバターを作って終わってから、説明をするね」


「頼むよ」



◇◆◇◆◇◆



優花のアバター作りも、一時間半くらいで終わり、俺もアバター作りを始めるために、優花と交代でパソコンの前に座る。


「じゃあ、お兄ちゃん終わったら、呼んでね。《SLO》の事について説明するから」


「わかったよ。少し待っててくれ」



優花との会話を終わらせ、体をパソコンへと向ける。



《SLO》でのアバターは優花と同じく《IGO》の頃とあまり変える気はない。

それに、俺がどう頑張っても、機械の補正が掛かってしまって、性別が女になり、顔立ちが女性方向へと補正が掛かり、声のトーンも少しばかり高めになってしまう。

だから、変えるとしたら、目の色、髪の長さ、髪の色あたりだろう。

この三つだけでも、拘る人がやると一時間は経ってしまう。



今回、変えようと思っているのは、髪の長さと名前だ。

今までの名前は、ユキだったが、折角二つ目の人生というタイトルなのだから、今までの自分とは違う自分でという気持ちでやろうと思っている。




パソコンに向き合い始めてから、一時間経たないくらいで俺の《SLO》でのアバター作りを終えた。



「呼びに行くか」


一度リビングから出て、優花の部屋へと向かう。


「優花。終わったらから説明頼んでいいか?」


「うん。今行くから降りてて」


「わかった」



リビングに戻り、優花が降りてくる少しの間に優花の好きなココアと、紅茶をカップに注ぐ。


「落ち着く……」


「良い香りだね」


ココアと、紅茶を淹れて終わると優花は降りてきた。



「じゃあ、《SLO》の事を簡単に説明するね。質問があったら聞いてね」


「分かった」


「まず、《SLO》は昔のヨーロッパを元にした感じの家が多いんだよ。それで、舞台になるのは一つの大きな大陸で、大陸の名前は、エレメンタルフルー。エレメンタルフルーには炎が地面から噴出している場所や、一面氷の山々が広がる場所、稲妻が降り注いでいる場所とか色々な場所があるの。今後のアップデートでエレメンタルフルーの外に出るかもしれないけど、それは当分先だと思う。それでここからが本題なんだけど、プレイヤーは合計で十個のスキルを装備できて、冒険をするの。でも、最初装備できるスキルは五つで、30レベまでに、スキル装備枠が開放されていくの。だから最初のスキル選びは相当重要になってくるよ。スキル取得ポイントは、プレイヤーのLv、スキルLvどっちかが、10上がる度に1ポイント貰えるの。ここまでで、質問はある?」


「エレメンタルフルーでの拠点になるのは最初の街だけか?」


「違うよ。最初に言ったフィールドはある程度エレメンタルフルーで他の街が開放されてから行ける様になるの。だから最初は街を開放していくのを優先に進めていくプレイヤーが多いと思うよ」


「優花は攻略をメインにやっていくのか?」


「私は、絵実ちゃんと、ミサちゃん、それとβ版の時の子達とパーティーを組んでやっていこうと思うんだ。お兄ちゃんはどうするの?」


「俺は、最初は慣れることから始めようと思っている。それから方向性を決めていくよ。ちなみに、ギルドとかはあっても入る気はないな」


「そっか。じゃあ続きいっても大丈夫?」


「大丈夫だぞ」


「《SLO》で、注目されているのは、今さっき言った広大なフィールドと、ランダムステータスアイテムによる、唯一の武器とかが作れる所なんだよ。ある程度制限がある場合もあるけど、作れる武器の数は、億を越えるよ。それに、素材による強化だけじゃなくて、プレイヤーによる武器や防具、アイテムの作り方でも種類は増えていくの」


「プレイヤーによるオリジナル強化は、失敗すればステータスが低いのが出来るが、成功すれば高いステータスの物が出来やすいってことか」


「そうだね。でも、殆どのプレイヤーは元々ある物を元に、あまり手を加えないで、データに沿って強化していく人が多いと思うよ。プレイヤーが自作するのは失敗する確率が高いからね。それと、強化や、オーダーメードする時は自分が絶対信じれる人にした方がいいからね」


「了解だ」


「大まかな説明はこんな感じかな。他に聞きたい事はある?」


「優花はギルドとか出来たら入る気でいるのか?」


「私はさっきも言ったけど、ミサちゃんとかとパーティーでやっていこうと思ってるよ。でもお姉ちゃんは入るんじゃないかな」


「唯姉も《SLO》のβ版やってたんだっけな」


「ちょくちょく会ってたよ」


唯姉こと、織咲唯。

俺と優花の姉で、今は東京の方に行って声優として働いている。

唯姉は元々声優ではなかったが、知人の誘いで歌唱大会に出た所優勝し、その時にの審査員の中に有名な声優が多く所属する事務所の社長がいて、社長の目に留まり、そのまま声優へとなったのだ。

今では、よくエンドロールに唯姉の名前も見る。

今期のアニメには、三作品に出ており、その内二つは、メインヒロインを演じている。



「ギルドに入るっていっても、唯姉は忙しいんじゃないか?」


「唯お姉ちゃんはの入るギルドは、声優の人達で組まれている芸能ギルドとかじゃないかな」



芸能ギルドは、《IGO》にも存在していた。

芸能活動をしている人達で構成された集団のことを芸能ギルドと呼ぶ人が多い。


「でも、お姉ちゃんは忙しくてもゲームの時間は絶対に取ると思うから、芸能ギルドと、一般ギルド両方に所属すると思うよ」


唯姉は小さい頃からゲームをやっていた。

その頃から、ゲーマーと呼ばれる領域に足を踏み入れており、それは、中学になり、高校生になっても変わる事は無かった。

俺は、こんな姉を見ていたためか、ゲームに興味を持ち始めて、ゲームを始めて、ハマり、優花に進めたのだ。だから、このゲーマー三兄妹を築いたのは唯姉と言っていいだろう。


「それと、今日は唯お姉ちゃんも来るから一緒にチュートリアルやろうね」


「了解だ。ミサちゃんとかはやらなくていいのか?」


「ミサちゃんと絵実ちゃんとは、お姉ちゃんとのチュートリアルが終わったら一緒に冒険することになってるんだ。お兄ちゃんも一緒にどう?」


「俺も遠慮しとくよ。折角の冒険も俺がいたらなんか気を使わせるかもしれないからな。俺は試したい事とかを見つけてやっていくよ」


「そっか。分かった。じゃあ、後は仮想世界(あっち)行ったてから説明するね。ログインしたら、大聖堂の前で待ってるから」


「わかった」


「じゃあまた後でね」


「ありがとうな」


「このくらいお礼いらないよ」




◇◆◇◆◇◆



優花の説明を終え、現時刻を確認すると、サービス開始まで一時間をきっていた。


優花には、あらかじめ夜七時半までには一度ログアウトするように伝えておいた。

しっかり夕食をとらせる為だ。


今夜の夕食の準備を始める。

今日は俺も《SLO》をプレイしたい。だから、あまり時間を掛けないで作れて、片付けも簡単に出来るものにしようと思っている。簡単といっても、準備はしとかなければならない。



サービス開始十五分前になるように、合わせて準備をして、部屋に行く。

ナーヴギアを付け、ベットに体を寝かせる。


側面についている起動ボタンを押し、目を瞑る。


意識がスゥっと薄れていく。


目を開けると、一面が真っ黒な世界。

見た目は、先程設定したのとほぼ同じ。やはり性別は男じゃなく、女となってしまっている。


髪は、《IGO》の時より短くなっている。

名前は、ユキじゃなく、ユホ。

これまた安易な名前にしたなと自分でも思ってしまう。


でも、新しい人生としてやっていくのだ、今までとは違うのでやっていきたい。それが今までと殆ど名前が変わらなくてもだ。


目の前には、サービス開始までの残り時間が出ている。


時間がドンドン減っていき、一分をきろうとしている。



時間が一分をきると同時に、女性の声が響き渡る。


『この度は、《Second Life Online》をご購入していただき誠にありがとうございます。プレイヤーの皆様には、βテストから大変お待たせしました。βテストをプレイ出来なかった皆様も大変お待たせしました。我々、開発者一同は心からお礼申し上げます。

購入してくださった全プレイヤーの皆様にご満足いただけるようにこれから努力をしていきます。

皆様、良い人生が過ごせるよう心から願っております。

では、第二の人生をお楽しみください』



女性の挨拶が終わり、カウントダウンがもう一度映される。


『5・・・4・・・3・・・2・・・1』


カウントダウンが終わり、黒い景色から一瞬でヨーロッパの街並みが広がる場所に俺は降り立った。








次回から、雪穂を中心として冒険が始まります。

出来るだけ速い頻度で更新を出来るように頑張ります。

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