Intent 23
ブクマ評価感謝です。
更新が遅れてしまってすいません。
SLOの設定がまだまだ完全じゃなく、手間取っています。
もう少し、更新が遅い期間が続いてしまうと思います。申し訳ございません。
ヤシの実が落ちた瞬間、俺とルルはほぼ同時に引き金を引いた。
同時に飛び出した銃弾はお互いに向かって一直線に飛んでいく。
飛んでいく銃弾はお互いに当たり、はじけ飛ぶ。
俺とルルは場所を一歩も動かず、次の射撃を開始する。
今回撃たれた銃弾もさっきと同じように相殺し合う。
しかし、そんなことは分かっていた。
射撃した瞬間に俺はルルよりも早く前へ駆け出した。
距離にして七メートル。
この距離でのスナイパーの射撃は本来目で確認するのは殆どのプレイヤーが無理だろう。
けど、俺には《反射神経》スキルがある。
この距離でも十分に銃弾を視認し、かわす事ができる。
本来視認できない距離での射撃を近付いた瞬間に開始する。
俺の撃ったスターズⅢの弾丸はルルの顔を目掛けて一直線に飛んでいく。
しかし、ルルはこの距離でのスターズⅢの弾丸をあっさりとかわす。
かわした瞬間にルルからの放たれた弾が俺を目掛けて一直線に飛んでくる。
それを俺もかわし、撃ち返す。それをまた、ルルはかわし、撃ち返してくる。
互いの残弾が無くなり、マガジンを代えるときにようやく距離を取り、近距離でのスナイパーの撃ち合いが一旦終わった。
「あの距離は普通スナイパーの戦闘距離じゃないんだがな。それにあれをかわすとは思わなかったな」
「その言葉、そのままお返ししますよ。この前は本気じゃなかったんですね」
「あれはあれで本気でやったつもりだったんだけどな」
「あれが本気なんて冗談を言わないでくださいよ。だって光学迷彩を使って無かったですよね?」
「最初は使おうと思ったんだけどな、やっぱ目立つのは控えたかった……」
「昔はあんな目立っていたのに大人しくなりましたね」
「俺はもうあんなに目立つ事はしたくないんだよ」
「もうこの時点で目立っていると思いますけどね……」
「……言うな」
「それに、ユキがこの島に仕掛けた罠は昔のユキと同じに思えますけどね」
「……それも言うな」
「そうですね。昔の事を出すのは止めます。
さ、リロードも終わりましたし、続きしましょうか」
「そんな時間も掛けたくないしな」
「「………」」
バンッ!!
今回の撃ち合いの始まりは最初の撃ち合いと同じように互いのほぼ同時の射撃から開始された。
俺とルルのスナイパーの弾数はお互いに七発。
俺は現時点ではスナイパー以外を使う気はない。
それはルルも同じようで腰に下げているハンドガンに触れる様子は見られない。
「これじゃ埒があかないな」
俺とルルは互いにマガジンを三つ消費している。
このまま撃ち合っていけば、すぐにでも残弾が無くなってしまう。
「そうですね。普通この距離でかわすなんてありえないんですけどね。《反射神経》スキルはLv上げにくいのに、ここまで上げてるのは私達くらいですね」
「だろうな。でもお互いにこのままって訳にもいかないだろ。このまま俺達狙撃手の命の狙撃銃の弾が無くなってもこの後勝ち残れないだろ」
「ですね。じゃあ、このマガジンの弾が無くなったらお互いにここ離れますか」
「いやいや、敵を前にして背を向けて逃げるとかありえないだろ」
「じゃあ、手を組むってのはどうでしょうか?」
「それも却下だな」
「ですよね。やっぱここで決着つけるしかないですか」
「俺は元からそのつもりだ。さっさと決着つけるぞ」
「……行きますよ」
「これで終わらせる」
また心地良い風が静かな空間に吹き始める。
風が吹き終わると同時に俺は引き金を引く。
それと同時に弾丸に追いついてしまうのではないかというくらいの速さで前へ出る。
ルルは弾丸をあっさりとかわし、スナイパーを振り攻撃をしてくる。
その攻撃をスナイパーを使い、受け止める。
「おいおい、そんな使い方ありかよ」
「私は…ユキに勝つことだけが【IGO】を続けてきた理由ですから」
「何言ってんだよ。成績は同じようなもんだろ」
「それはあくまで正式な戦いでの話です。私達まだ一対一をやったこと無かったですよね?私は無影の少年と、ちゃんと戦った事がないんですよ」
「俺が無影の少年って事分かっていたんだな」
「それはずっと昔から知ってましたよ。βテストの時点であんな精密な射撃が出来る人なんて私が知っている限りユキ一人だけですから」
「そりぁ……どーも!」
受け止める体勢から、ルルの事を払い退ける。
「それと、癖って言いましたけど、あの時のユキは癖ありましたよ」
「そっか。知らなかったな。でも今はそんなの関係ないな。ただ目の前の敵を倒せばいいだけなんだからな」
「そうですね」
ルルから放たれる銃弾は俺の顔へ目掛けて飛んでくる。
そのすぐ後ろにはもう一つの弾丸。
最初に飛んでくる弾丸はかわす事は出来たが、二つ目の弾丸が被弾する。
ルルから放たれた銃弾が被弾する瞬間に後ろにジャンプし、被弾する場所を胸から腹にするして、腕を盾に使う事が出来た。
これにより、HPの全損だけは辛うじて防ぐ事ができた。
けど、次掠りでもしたらHPが無くなってしまう。
「今ので死なないなんてビックリですよ」
「はぁ……はぁ……俺の方がビックリだよ。なんだよ今の……」
「高速射撃です。早く撃てる様になるのに苦労したんですよ。でもこれ、狙いが定まりにくいんですよ」
「胸に来れば十分だろ……焦ったぞ……」
「たまたまですよ」
「絶体絶命と言いたいけど……もう弾はないよ…な!」
片手ではスナイパーを扱うのは難しいため、スナイパーを地面に捨て、腰にあるフォトンソードを取り出し一直線に走り出す。
ルルはその場でハンドガンに手を掛ける。
「させるか!」
ある程度あった距離を詰め、ハンドガンに触れる手を切り落としに行く。
「いや、する必要ないですよ」
「え?」
ルルはハンドガンを取ろうとした手を止め、フォトンソードを受け止める。
これによって、一瞬だけフォトンソードの動きが止まる。
その一瞬のうちにルルは弾が無いと思っていたスナイパーを構える。
「この距離なら腕が一本無くても当たりますよね」
バンッ!
俺の腹に風穴があいた。




