Intent 20
ブクマ評価感謝です。
風を引いてしまって更新が予定より大分遅れてしまいました。申し訳ございません。
次回は出来るだけ早く更新させていただきます。
予選、第一回戦は皆突破し、そこから順調に勝ち進んで行く。
三回戦で、ユーリンが敗退し、四回戦で、ユカ、ミーサ、イルミの仲良しトリオが敗退した。
リュークとミーサは順調に勝ち進んでいれば決勝で当たる予定だったが、ミーサが先に負けてしまいお互いに悔しがっていた。
しかし、リュークの本選は決まったようなものだろう。
リュークを含めた、勝ち残った俺たちは次が大体が準々決勝だ。ルルは次で六回戦で、その次が準々決勝となっている。ルルのいるグループが今大会の激戦区となっている。人数も多いが、何よりも大会上位プレイヤーが犇めいている。そんな猛者の集団の中でルルは未だに勝ち残っているのだ。
けど、俺にはルルが負けるとは思えない。これは勘だが、なぜか本選まで上がってくる気がする。
ルルのこともあるが、今は俺自身のことも考えなければならない。
俺は次の準々決勝を勝てば、間違いなく決勝まで駒を進め、本選出場が出来るだろう。
しかしそれは、次を勝てればの話だ。
「次はよろしくね。ユキ」
「あぁ。よろしく頼む」
「絶対にあんたに勝って、本選に出場するわ」
「俺もここまできたら負ける気はないぞ」
次の俺の相手。
ミカンだ。
近接型プレイヤーのミカンと、スナイパーでの俺とでは相性が最悪だ。
今回の予選で、ミカンのようなプレイヤーとは戦ってきたが、それはステージが木々で生い茂っていて、視界が狭まっているフィールドだったからこそその立地を利用して勝てた。
しかし、今回のミカンとの戦いの場とフィールドは、草原が広がり、視界がとてもクリアなフィールドだ。このフィールドは、俺からしたら最悪なフィールドだ。先に見つけて、射撃をすればいいとは思うが、全てが草原になっているわけではなく、所々に遺跡のようなものが存在し、そこに隠れながら近寄られたら無防備な状態を晒すことになり、負ける。
フォトンソードを使えばとはなるが、ミカンの使うのは、先程も言ったがミカンは近接型だ。近接型の武器といえばサブマシンガンだ。サブマシンガンの連射全てを切り伏せるなんていくらんでも無理がある。
つまり……超絶的に不利。
負けが見えている勝負。
それもミカンも分かっているようで、ミカンは余裕が見える。それに比べて俺は余裕など全く無い。余裕なんて皆無だ。どうやったら勝てるかを考えるので頭をフルに使っている。
さっきは、負ける気はないといったが、負ける気しかしない。
さっきのはブラフだ。虚勢に過ぎない。
悩む事、数十分。結局作戦と言えるような対策も浮かばずにミカンとの勝負の時間が来てしまった。
俺が考えたミカン戦の作戦は、殺られる前に殺るだ。
つまり先にミカンを捉えて、倒す。けど、逆に俺のほうが先に見つかって接近されたら五分も持たないでダメージエフェクトと共に消え去っていくだろう。
今バトル開始のカウントダウンが始まった。
カウントダウンの数字が減るにつれて、体が緊張に包まれていく。
緊張しているからといって体が強張る感覚は無い。気が引き締まるような感覚。これはどんなにゲームを始めてから経っても変わらない感覚だ。
この感覚に陥ったからかもしれないが、先程まで詰んでいると思って気持ちが駄々下がりだったのにも関わらず、今はテンションが少しずつ上がってきている。
楽しみでしょうがない。ミカンは初めて一緒に戦った時から思っていたが、接近戦だったらトッププレイヤーに匹敵する実力を持っている。だからこそ、ミカンと今すぐ戦いたいと思えているのかもしれない。
つくづくゲーマーはゲーマーだと思ってしまう。ゲーマーだからこそ、この勝負に勝って、ルル達とも戦いたいと思う。
「5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・」
カウントダウンが0になった瞬間今までと同じように真っ暗な場所から急に勝負の舞台となるフィールドが広がる。
枯れ始めた草草が風に靡かれ、ザザァ……ザザァ……と音を立てる。
しかし、運のいい事に俺のスタート地点は数少ない木々が密集した森の中だ。この森の中でミカンが接近するのを待つのもいいが、多分この作戦は無理だろうな。
ミカンの事だ。絶対にこの森は警戒するだろうな。だとしたら待ち伏せは逆に止めた方がいい。
なので、やはり先手必勝が一番だ。
覚悟を決め、森を抜ける。
そして枯れた始めた草草が広がる草原を全速力で駆け抜ける。
「おいおい、嘘だろ。どんだけ飛ばして来てんだよ」
俺が草原に出て、走り始めて十秒もしないで、猛スピードでこちらに突っ込んでくるミカンの姿が視界に入る。
こちらに全速力で向かってくるミカンは、予想とは違い、サブマシンガンとハンドガンを持ち走ってきている。いくらサブマシンガンが軽量武器だといっても出るスピードには限度がある。けど、それを外し、ハンドガンに変えれば速度は少しだが上がり、サブマシンガン二丁持ちよりも早く目的地に辿り着ける。
森があるこちらに向かってきているって事は俺が待ち伏せしていると思っていたのだろう。
「あら、森か遺跡で待ち伏せしてると思ったのに逃げなかったのね」
「おいおい心外だな。俺が近距離での射撃で勝てないとでも思ってるのか?」
「そりゃあ前の戦い見てたら接近するのもってなるけど、あんたサブマシンガンの連射に全部反応できないでしょ?それに時間かけて攻めたら逆に私の負けが出てくるわ」
「あぁ……その通りだよ。でも俺が前みたいに爆弾を仕掛けてるかもしれないぞ」
「その可能性も皆無ね。だってまだ始まって五分も経ってないのよ。仮に仕掛けていても偽装はは完全じゃないでしょ?あれは凄く驚いたけど時間が掛かるのに変わりはないのよね?」
「その通りだよ。あれは上手く隠せるが、隠す時間がそんなに変わるわけじゃないんだよ。はやく作業するとしても、隠しが雑になるんだよ。誰からか聞いたのか?それとも元々知ってたのか?」
「これはルルから聞いたわ。一緒に考えもしたけどね」
「そうか。やっぱあいつも手強いな……」
「まぁ、もう先のことを考えても意味ないんじゃない?ここで勝つのは私なんだし」
「最後までわからねーだろ」
「あっそ」
ミカンの攻撃を察知した瞬間、俺はミカンに背を向けて今来た道を全力で走り始める。
ミカンは俺を追いながら射撃を開始し始める。
俺の背中には何発か被弾予測が現れる。
ミカンの撃った弾が背中に被弾する瞬間にしゃがみ、かわし、また逃走を開始する。
しかし、今の一瞬でミカンは一気に俺との距離を縮めている。
「逃げてないで戦いなさいよ!」
「この状況じゃ一方的にやられるだけだろうが!わざわざやられに行くほどお人好しじゃないんでな俺は」
「すぐにでも塵にしてあげるわよ」
死刑宣告をしながら徐々に距離を近づけて来るミカン。そのミカンからの射撃を悉くかわして森へと逃げる。
「待ちなさいよ!」
ミカンの怒号を背に森までなんとか無傷で逃げ延びる事ができた。
逃げ延びれた事はいいのだが、このフィールドの森はあまり広くないため、見つかるのも時間の問題だろう。それまでにこの状況を打破する方法を考えなければならない。
とゆうかまず、ミカンが開始早々こっちに突っ込んでこなければこんな逃げ回る羽目にはならなかったんだよな。
ミカンに対して密かに文句を垂れながら、今いる状況を整理して、気持ちを落ち着かせる。
今ミカンは俺を追って森の中に来ている筈だ。それを利用して隙を狙うのが一番今この現状で勝てる可能性がある。
今日何度目かの覚悟を決め、しゃがみ込んでいた木の陰から動き出す。
動き出して、すぐにミカンの姿を捉える事ができた。そして先に回りこみ、木の上に身を隠し、ミカンが来るのを待ち伏せる。
後少し。もう数秒で俺の真下をミカンが通ろうとしている。
「俺の勝ちだ!」
ミカンが通った瞬間、切断に特化したように改良したフォトンソードを片手に、ミカンに切りかかる。
「それはこっちの台詞よ!」
「嘘だろ!」
ミカンは俺の不意打ちによる攻撃に完全に反応して、こちらに銃を向けてきている。
完全に待ち伏せがばれていた。
俺は咄嗟にフォトンソードをミカンに投げる。先端が尖っているフォトンソードはミカンに向かって一直線に向かっていく。ミカンはそれを避けながらも数発をこちらに撃ってきていた。俺はそれを避けることは出来ずまともにくらってしまう。
しかしミカンも咄嗟の反撃にはビックリし、避けて反撃をした後よろめく。
その間に落下し、体制を立て直し、腰に付けてあるハンドガンに手を掛け、反撃に出る。
「甘いわよ」
「今度こそ俺の勝ちだ」
ミカンもすぐに体制を立て直し、ハンドガンを撃ってくる。
ミカンの撃った、弾丸は俺に綺麗に着弾するが、俺の撃った弾はミカンのサブマシンガンの持っている手に被弾し、サブマシンガンを落とす。
「しまっ」
「おら!」
落としたサブマシンガンを蹴り飛ばし、一旦ミカンから距離をとる。
距離をとり、ハンドガンを足元に落とし、背負っているスナイパーを取り出し、狙いを定める。
狙いを定め、引き金を引く。
スターズⅢの弾丸は綺麗な直線を描きながらミカンへ飛んでいくがミカンはそれをギリギリかわす。
「おい、嘘だろ」
「油断したわね」
「普通はこの距離をかわす奴なんていないぞ。何キロ出てると思ってんだよ」
「ユキ。あんたもこの前の戦いで使ったじゃない」
「《反射神経》スキルか……」
「そっ!まぁ、私のLvじゃ後一分が限界だけどね」
「なら逃げ切れば俺の勝ちだな」
「そうね。それが出来るならね!」
ミカンは既にサブマシンガンを拾っており、弾数の少なくなっているハンドガンを地面に捨て、サブマシンガンのみを持っている。
丁度よく心地のよい風が吹き、木々がざわめく。そして、風がなりやんだ瞬間ミカンはこちらに突進してくる。
距離にして五メートル程まで一瞬で近づいている。五メートルの距離からの射撃をこちらも《反射神経》のリミッターを解除し何発かはかわすが、さすがに弾数が多すぎるため距離も近い事からうける。
「これでどうだ!」
「当たらないわよ!」
この距離でもミカンはスターズⅢの射撃をかわす。
ここまできたら《反射神経》のリミッター解除があっても不可能だ。これはミカンの元々の反射神経の良さも関係している。
「弾切れだろ!」
弾切れを確認し、三度目の射撃に入る。
「私の勝ちよ」
ミカンは、リロードせず、ミカンの持つサブマシンガンの銃口はまだこちらに向けられている。ミカンの持つサブマシンガンには、拡張マガジンがアタッチメントとして付けられている。
「勝ちなのは俺だよ」
「え?」
ミカンの疑問系と共に目の前でミカンのいる場所が爆発し、ミカンを吹き飛ばす。
「俺の勝ちだな」
「やられたわ……」
ミカンの足元で爆発したのは、さりげなく設置をしといた敵感知式地雷。
それに気付かず俺のいた場所を通過した瞬間ミカンを巻き込んで爆発したのだ。
そして、今ミカンは座り込み、俺に銃口を向けられている。
「私に勝ったんだから、本選行きなさいよね」
「分かってるよ」
こうして、俺とミカンの戦いは俺の勝ちで終わった。
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