表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/64

Intent 13

ブクマ評価感謝です。

優花を中等部まで送り、俺も高等部がある場所に向かう。向かうといっても、中等部と高等部はフェンスを挟んだすぐ隣に隣接してるため大した距離ではない。

教室に入ると、すでに竜、漆原、御坂は来ており、三人で話していた。

教室に入ってきた俺に気づいた竜が挨拶をしてくる。それに続いて、御坂と漆原も挨拶をしてきた。


「よ、雪穂」

「おはよう」

「おはようございます」

「皆今日は早いんだな。どうかしたのか?」


漆原はともかく、竜と御坂が俺より早いのは珍しい。俺より早く登校をする時は何かしらのイベントなどがある日くらいだ。

竜、御坂はもちろん、漆原もニコニコとしている。何か良い事があったのだろう。


「昨日は本当にありがとな!あの後毟り取るだけ取ってやったぜ」

「いい様よ」

「あの人達の顔……忘れられませんね……」


竜は誇らしげに胸を張り、御坂は「ふんっ」と言わんばかりにそっぽを向き、漆原は、優しく微笑んでいる。優しく微笑んでいても、見た目だけで近くにいる俺からしたらとてつもないくらい怖い微笑をしている。


「そ、それは良かったな」

「あいつら皆泣いてたぞ。それと、雪穂のことをめちゃめちゃ聞かれたな」

やっぱりと言うか、なんと言うか。予想はしていたことだ。PTの殆どを倒したプレイヤーを気にならないわけが無い。竜の話から察するに、終わってすぐにログアウトしたのは正解だったな。


「俺のことは話してないんだろ?」

「まぁなんて話していいかも分からなかったからな」

「それならいいんだ。俺もお前らに言いたいことがあるんだけど」

「なんでしょうか?」

「なに?」

「雪穂からなんて珍しいな。女装でもしたくなったのか?」


また竜はこんな冗談を挟むのか。竜は俺がそんなことやりたがらないと分かっているのに。それに俺からしたら真剣な話をすることなんて分かっているだろう。真剣なことを話すとは分かっているからからかいながらも目は真剣だ。そんな目をするならからかう必要はないんじゃないか?


「これからゲームをやろうと思ってるんだ」

竜は真剣な眼差しで少しの間見てきてから、「そうか。良かったよ戻ってきてくれて」とだけ声を掛けてくる。


「それは良かったです。これから宜しくお願いしますね」

「よろしくな。それともう一ついいか?」

「どうしたんだ?」

「まだあるの?」

「なんでしょうか?」

「…………昨日は俺が勝ったんだから言うことは聞いてもらうからな」

「「「あっ……」」」


俺は真剣な口調で始めた会話を軽く締めくくった。



何事も無く一日の授業を終えた俺は今竜達を家に招いている。


メンバーはこの前の竜の家に連行された時にいたメンバーと一緒だ。

島原は渋々来たって感じだ。


「皆に集まってもらったのは、俺が竜達に協力をする時に約束した条件についてだ。覚えてるよな、俺が竜達より成績が上だったら言うことを聞くっていう約束を」

「何を命令する気だ?さっさと言えよ」


嫌味を言いたいのは分かるけど、あからさまに嫌がるのは止めて欲しいもんだな。


「一ヶ月に一度の限定発売される、『プレルーノ工房』の三十個限定メロンパンを皆一つずつ買ってきてくれ。これだけだ」


竜以外はもっと他のことを言われると思ったらしく、口をぽかーんと開けている。


一番最初に硬直から戻った夕崎が「そんなことでいいんですか?」と聞いてくる。

夕崎は知らないらしいが、『プレルーノ工房』の限定メロンパンを購入するには、遅くても深夜の一時頃には並び始めなければ買えないほど人気がある。プレルーノのメロンパンは食べてみないと表現が出来ないくらい美味い。説明しろといわれても絶対に言葉では表せない程の美味しさをしている。そんなメロンパンを一人で五つも食べれると考えただけで涎が垂れそうになる。


「林檎ちゃん、甘く見ちゃダメだぞ……昔に一度だけ雪穂との賭けに負けて、プレルーノのメロンパンを買いに行かされた事あるけど夜中から並ばなきゃ買えないぞ……」


プレルーノ工房は何度かテレビの特集を組まれるほど人気のあるパン屋だ。そのなプレルーノ工房の一ヶ月に一度しか販売されないメロンパンは知る人ぞ知る伝説のメロンパンだ。このメロンパンはテレビや、インターネットには情報は流れていないのに、沢山の人が買いに来るため、深夜から並ばないと買えない。毎月深夜並ぶのは予定が合わなかったりして並べないため、二ヶ月に一回だけ並んで買っている。今月はその買いに行く月だが、竜達に買ったことにより並ぶ手間が無くなり、尚且ついつもの五倍の数を食べることが出来る。これが俺が考えた条件だ。勝っても負けた気分が味わえる事だ。深夜に並んで、開店時間の十時まで並ぶのはとてつもないくらいの苦となる。携帯をいじっていようが、本を読もうが苦に変わりはないのだ。それを味合わずして極上のメロンパンを食べられるなんてとてつもない幸せだ。



やってもらうことだけを伝え、少し雑談を数時間してから島原が帰った。島原が帰ってから、俺は他の全員に話すことがあるといって帰ろうとしていた御坂達を座らせた。


「これから話すことは出来れば、いや絶対に広めないでくれ。頼む」

今から俺が話そうとしているのは、俺がゲームを止める前の話で、いくつかばれたくないことがある。他言だけはしないことを約束して、俺は話を始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
href="http://narou.dip.jp/rank/index_rank_in.php">小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ