Intent 10
日付変わってしまいました。申し訳ございません。
ブクマ評価感謝です。
明日は投稿できるようでしたら投稿します。最低でも明後日には投稿させていただきます。
瓦礫や建物の景色が凄いスピードで変わっていく。どのくらいのスピードが出てるかは分からないが今までのスピードの三倍程は出ていると思う。俺の走った後には風が吹き抜けるのが分かる。
走り始めて三分で後半分の距離まで来ることが出来た。このペースなら後三~四分ほどで駆けつけることが出来ると思う。問題は、残りの三~四分で二人を倒せるかどうかが問題だ。
一人を倒すことは出来ると思うが、二人目は時間が足りない可能性の方が高い。颯爽と助けに来て、一人倒したけど、やられるなんて恥ずかしすぎる……それだけは絶対に避けたい。
どうやったら時間内に倒しきるかをとにかく考えながら走り続ける。普通なら無我夢中で助けることだけを考えるのだろうけど、俺はどれだけ目立たず、そんでもって恥ずかしくない方法を考える。
目立つと、多分昔の事を思い出してしまうし、俺にとって恥ずかしいことが起こると明日にでも竜にバカにされる。だからこそ絶対に避けたい。
『後どのくらいでこれそう?』
ミカンからの通信が繋がれる。レーダーを見たらすぐに分かるのに、後どのくらいかを聞いてくると言うことはそれだけピンチで余裕が無いのだろう。一か八か背を向けて全速力で逃げた方が生きれる可能性は高いと思う。このフィールドなら生き残れる確率は更に高くなる。多分、ミカン達も分かっているのだろうけど、あのおっさん達から二度も逃げるのは屈辱なんだと思う。だから逃げずに撃ち合っているんだろう。
「後二分くらいで行けそうだから死ぬなよ」
『分かったわ』
『了解です』
今のは嘘だ。後一分もあれば着くだろうけど、「後一分で来てくれる」と言う気持ちが油断を生んでやられる可能性があるからわざと嘘の時間を言った。ミニガンなら一分もあれば二人くらい余裕で倒せる可能性がある。
今居る場所からでも銃声の音は聞こえる。音だけでも状況は一方的だと分かる。今までよりも足の回転を速くする。
「リュークようやく視界に確認できた」
『分かった。俺も向かってるけどまだまだ掛かりそうだ。頼んだぞ』
「わかってるよ」
リュークに到着間近だと言うことを伝えて、ミカンに通信を繋ぐ。
「ミカン、もう視界に確認できるとこまで来れたから、そのまま一旦引いて俺のとこまで来てくれ」
『わかった。行くよユーリン』
おっさん達二人からは少し距離のある建物に身を隠し、すぐ近くにいるミカン達が来るのを待つ。
待つこと三十秒ほどでミカン達はやってきた。
「助けに来てくれてありがと。リュークはどこ?」
「リュークは到着までもう少し掛かる。ミカン達はリュークを待ってから来てくれ。それまで俺があいつらの注意を引く」
「一人なんて無茶です」
「俺は単独をさせて貰うって言ったはずだが?お前達を助けに来たのだってリュークのためだしな。大人しくリュークを待ってろ」
「わかりました……」
隠れている建物から出ると、うっすらとだが影が二つ見える。男達も俺に気づいたらしく銃を構えるのが分かった。そして数十本の予測線が見えた。俺の体に当たるのは今のとこ八発、避けると逆に当たる銃弾が増える。
横に避ける手も無いわけじゃないけど、リミッターの残り時間は二分ほどしか残ってないし、悠長に避けながら近づくわけにもいかない。
真正面から突っ込むしか選択肢はない。
「行きますか!」
《反射神経》のリミッターも解除し、飛んでくる銃弾へと走り出す。
身体強化系のスキルは全てリミッターを《移動速度上昇》みたいに解除することができる。《反射神経》のリミッターは一定の距離内での反射速度が大幅に上がる。
走り出してすぐに、銃弾は俺の五メートルの距離に飛んでくる。その瞬間に急激に銃弾が遅くなる。正確に言うと、遅くなっているのではなく、遅く見えるだ。遅く飛んでくるように見える銃弾を改良のしていないフォトンソードで初弾を弾き飛ばし、二弾目は改良をしているフォトンソードで真っ二つに両断する。交互に弾き、両断をしていき、自分に当たる予定だった銃弾を全て無くす。弾き、両断しても次の予測線が先程よりも多く表示される。
「多すぎ……だ!」
飛んでくる銃弾に文句を言いながら、確実に弾き、切断を繰り返す。
しかし、一向に距離が縮まらない。銃弾が多すぎて対処するのにいっぱいいっぱいだ。少しずつ距離は縮められているがこのままじゃ時間切れになる。そうなれば、少女の蜂の巣が完成する。そして恥を晒す事になる……
「晒されるわけにはいかねーんだよ!!!」
今まで弾いていた、腕、足に当たっていた銃弾を全て無視して、頭、胸に当たる弾だけを弾いて、男達との距離を詰めていく。HPが中々の勢いで減っていく。やっと緑まで回復したHPが黄色に突入する。
それでも、構わず男達との距離を詰める。お互いに姿がハッキリと見える距離まで来て、ようやく男達は俺が何をしているのかが分かったらしい。
「な、なにしてやがる!」
「あ、ありえねー」
「お前らにとってはありえなくても、俺にはできんだよ!バカクソ野郎が!」
後三十秒。ギリギリ間に合う!
ミニガンの男の目の前到達し、ミニガンの先端部分を切り落としに行く。ミニガンは重いため、標準を合わすのに時間が掛かる。ミニガンは俺に標準が合う前に先端を落とす。
追撃で男の胴体を斬りおとしに行くが、改良をしていないフォトンソードじゃ斬り込みを入れる程度しか出来なかった。でもそんなの分かっていた。改良のしてあるフォトンソードで腕ごと斬りおとす。
ミニガンを持っていた男は綺麗に切断され上半身と腕は地面に落ち消えていく。
残り十秒。
アサルトを持っている男からは俺へ向かって予測線が表示されている。
しかし撃たれる前に男へ走る。しかし、後少しのところで銃弾が飛んでくる。腕、腹、足と全身に弾が着弾する。なんとか顔だけは守ったがあと少し喰らえばHPが尽きる。
「くっそ!」
後少し、後一秒あれば勝てた。男を目の前にしてフォトンソードを振ろうとした瞬間に体が急激に重くなり動かなくなる。フォトンソードは男の首元で止まっている。腕を動かそうとしても動く気がしない。
男は冷や汗を掻いている。額には汗がにじみ出ている。ぎょっとした顔をしている男は状況を理解できているようには見えないが引き金を引こうとしている。
………このままだと……恥ずかしさの塊になる……
「諦めんな!ユキー!」
背中からリュークの声が聞こえる。振り返る暇がなく振り返れないがリュークだとすぐ分かった。
今まで動く気がしなかった腕が先ほどと同じようにすんなり動いた。