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星よりきたりしもの  作者: ヒルナギ


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夜明けから夜まで 第九十三話

わたしは身に纏ったマントの中に、手を突っ込む。

隠しポケットの中を探ると、手に当たったものを取り出すとキャプテン・ドラゴンと名乗るおとこへ放った。

それは流星の輝きを放ちながら放物線を描き、キャプテン・ドラゴンの手の中に収まる。

キャプテン・ドラゴンは、それを光の中に翳して見せた。

ヤンが、目を見張り口笛をふく。

虹の輝きを内に閉じ込めた透明のその石は、直径一インチはあるだろうか。

キャプテン・ドラゴンは物憂げにその輝く石を見ながら、呟く。

「ダイヤのように、見えるが」

わたしは、舌打ちした。

「なぜ夜の眷属たるこのわたしが、紛い物を持ち出したりすると思うの」

凶悪な輝きを宿す金色の瞳でわたしは、キャプテン・ドラゴンを睨む。

青い目の若者はその眼差しを無視して、気だるそうに立ち上がるとベッドの枕に手を突っ込んだ。

そこから、巨大な拳銃を引き出す。

いや、そのサイズであれば拳銃というよりは、小銃と呼ぶべきなのかもしれない。

10インチはある銃身の下に頑丈そうなガスシリンダーが付けられており、銃把の後ろには大きな輪胴型弾倉が装着されている。

弾倉のサイズから、ライフル弾クラスの弾丸が装填されているであろうことが想像された。

黒十字の帝国軍が八式拳銃に採用したのと同じトグルアクションで動作する遊底を操作して、初弾をチェンバーへ送り込む。

キャプテン・ドラゴンは、無造作に指でダイヤを弾くと宙へ放り出す。

キャプテン・ドラゴンの動きは夜の眷属たるわたしの目から見ても、稲妻の速さであった。

落雷のような銃声が轟き、古びたホテルを揺さぶる。

耳に突き刺さる鋭く甲高い音が響き、銃弾に弾かれたダイヤが放物線を描いて宙を飛ぶ。

銃弾は、あっさり壁を貫いたようでダイヤの飛ぶ先の壁に穴が空く。

その壁の手前でヤンは器用に片手でダイヤをキャッチし、それを再び光へと翳した。

七色の輝きが、透明のダイヤを駆け巡る。

「傷は、ありませんね」

キャプテン・ドラゴンは、無造作に拳銃を腰のベルトに指し腰を下ろすと物憂げな口調で言った。

「もしかすると、本物かもしれないな」

わたしは怒りで髪が逆立つのではないかと、思った。

「本物に決まってるじゃない。この国丸ごと買える値がつくわよ。足りないっていう気?」

「いや、十分だな」

キャプテン・ドラゴンは、少し眠たげな調子で言葉を重ねる。

「ただ、もうひとつ問題があって、そいつもクリアしないといけない」

「一体、なんだっていうのよ」

わたしは呪い殺すような目つきでキャプテン・ドラゴンを睨んだが、返ってくるのは恋人に愛を囁く時のような笑みであった。

「おれはロスチャイルドから、国境を越える許可をとりつけてはいる。しかし」

青い目の若者は、夢見心地の表情で言った。

「ニューヨーク近辺への侵入は、禁止されている。あそこでレーダーにひっかかれば、戦闘機がすっとんできて撃墜されることになるな」


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