表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星よりきたりしもの  作者: ヒルナギ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/136

夜から夜明けまで 第六十一話

「つまり、シックスフィンガーは未来と過去を行き来できるのか」

デリダの問いに、アナスタシアは薄く笑みを浮かべ問い返す。

「信じられませんか?」

デリダは、ため息をつく。

「どうもおれは、そこまでいかれていないようだ」

ミハイルが吹き出したのを、デリダは横目で睨む。

アナスタシアは、穏やに言葉を重ねる。

「ひとつ、これから証拠をお見せしましょう」

デリダは、疑わしそうにアナスタシアを見る。

「どうするというんだ」

「わたしはシックスフィンガーが別の時間線で経験したことを聞いています。時間線によって変動する出来事もありますが、必ずどの時間線においても起こる出来事があります。わたしはその出来事が起こる時刻に合わせて話をはじめました」

デリダは、笑みを浮かべる。

「これから何が、おこるんだ?」

「地震です。このあたりでは、珍しいことだと思います。総督閣下は、魔道で地震を起こすのが不可能に等しいことだと理解していただけると思います」

デリダは、肩をすくめた。

「まあ、そうだが」

突然地面の揺れに襲われ、デリダは言葉を途切れさせる。

巨人の手に揺さぶられるように、激しく建物がゆれた。

その後暫く船が波に揺さぶられるようなゆれが続き、次第に静かになってゆく。

一同は、沈黙に包まれた。

そこにいるひとびとは、幽鬼に口を塞がれたというかのように口を閉ざしていた。

ミハイルが蒼ざめた顔で、その沈黙を破った。

「あの星船が、落ちてきた影響ではないのか?」

静かな驚愕に満たされたひとびとの中でアナスタシアはただひとり、落ち着いている。

ゆっくりと首を振ると、語りはじめた。

「地面の中でおきることは、何十年もかけておこなわれます。あれのせいにしては、早すぎますね。そうでしょう、デリダ総督閣下」

デリダが、嘲るような笑みを浮かべる。

「いわゆる予知だろう。ここまで正確な予知は聞いたことはないが、予知を行う魔道師はそう珍しくない」

「そのとおりです」

アナスタシアが平然と答えるのを見て、デリダは目を剥く。

「シックスフィンガーは、極めて正確な未来の予知ができる。そのことを理解していただければ、十分です」

デリダは、長いため息をつく。

「いいだろう、それを否定するのはあまり賢いことではなさそうだ。話を続けてくれ」

アナスタシアは、満足げに頷くと話を続ける。

「シックスフィンガーはある日、気がつきます。自分も含め、突然地上の全てのひとが死に絶える日がくることに」

デリダは、少し唖然とした顔になったがアナスタシアは表情を変えず話を続けた。

「もし、わたしたちがここにいなければ、SSEはもっと穏やかにことを進めたでしょう。SSEに操られる死者は、時間をかければ生ある者と同じように振る舞うことができるようになります。ウルクアイの街に住むひとびとは、少しずつ死者に入れ替わってゆきやがて死者は中原全体に行き渡ります」

「それで、どうなる」

ミハイルの不機嫌そうな言葉に、アナスタシアは穏やかに答える。

「多分数万の死者がいれば、全てのひとを死滅させることが可能です」

デリダは、首を振った。

「魔法で、そんなことができるとは思わないな。それほど大きな魔法を駆動するには時間がかかるだろう。そんなことをすれば、それこそアルケミアやもしくはヌース教団が黙ってはいまい」

「もちろん、そのとおりです。魔法でひとを直接的に殺すのは、大変なことです」

アナスタシアは、デリダの言葉に頷いてみせる。

「ひとびとが死に絶えたのは、結果です。行われたのは、ごく少ない魔力の行使だったと思われます。けれど、駆動されたのはかなり大量の魔法式だったはずです」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ