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星よりきたりしもの  作者: ヒルナギ


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夜から夜明けまで 第五十五話

連射砲の射手は、後部についたハンドルを回す。

銃身が回転されるに伴い、金属薬莢式20ミリ弾が給弾され装填、発射される。

雷管銃とは比べ物にならないような重い轟音が立て続けに、なり響く。

射手がハンドルを回し、さらに六つの銃身が回転して金属薬莢がきらきらと銀色の輝きを見せながら床へ落ちていった。

20ミリ弾は三発イワンの死体に、命中する。

それはイワンの胴体を、四散させた。

赤い飛沫となったイワンの内蔵や骨肉が広間の床に、撒き散らされる。

銃声が途切れたその瞬間に、ミハイルが叫ぶ。

「死体が喋るようだが、気にするな。口からでる屁みたいなもんで、意味はない」

ミハイルは、獰猛な笑みを浮かべる。

「どいつもこいつも、臓物を撒き散らしてやれ!」

イワンに続いて、死体となったウルクアイの市民が入り込んでくる。

おんな子供が、多い。

皆、血塗れであるが目は何かを訴えるように見開かれている。

十人近くの死体が広間に入り込み、床でのたうつ半分になったイワンの死体の手前まできた。

ミハイルは、再び叫んだ。

「全員捜射」

三人の射手が、同時にハンドルを回す。

物理的な圧力をもった銃声が、広間全体に轟いた。

金属薬莢が煌めく銀の雨となり、床へ降り注ぐ。

巨人が棍棒を横殴りに振ったように、死体達は弾き跳ばされ二つに引き千切られる。

景気よく赤い染料をぶちまけたように、飛沫が広間を染めていく。

破壊された胸が、腕が、足が床や壁に当たって転がった。

粉砕された内蔵は挽き肉となって、床を満たす。

血の海となった床に浮かぶ頭はそれでも訴えるような目をして、こちらを見ている。

虐殺はアルケミアで見慣れていたはずのブラッドローズですら、少し凄惨なものを感じた。

ミハイルは銃を撃ち、こちらを見つめる目を粉砕する。

ミハイルは、部屋を満たしている銃声を貫いて叫んだ。

「やつらがこの部屋に送り込んでいるのは目だ、目を潰せ」

砦の兵たちは、雷管銃を肩付けにして床に転がる頭を撃った。

死体の頭は声にならぬ悲鳴のように、赤い飛沫をあげて潰れてゆく。

連射砲は撃たれ続けるが、死体達も後を絶たずに部屋へと入り込む。

ブラッドローズは、目を送り込むの意味を知り背筋に冷たいものを感じる。

ブラッドローズは、不安な目をアナスタシアへ向けた。

弓を構えたアナスタシアは戦士が持つ冷徹な瞳を、ブラッドローズに返す。

「まさかアルケミアの魔道師が、たかが家畜の死体を恐れるなど」

アナスタシアは、冷たく嘲笑う。

「ありえないわよね」

ブラッドローズは怒った猫のように、鼻の上に皺をよせる。

「あたりまえよ」

「よろしい」

アナスタシアが、掲げるように弓を構えたその瞬間に、それは起こった。


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