俺はここにいる!
私は、大阪市内に住むとある企業の社員だ。
どこにでもいる、普通の会社に勤め、9時~18時まで働くといった一般的な勤務時間で働いている。
ただ、他の人と違う所と言えば、残業が月に100時間以上有るがそれでも働けて残業手当も付き、きっちり給料をもらえるのだからまだ恵まれたほうだろう。
世の中には残業手当も出ずに働かなければならない人だって大勢いるのだから。
ただ、今日は何時もと違った事が起こった。
いつも通りにセットしていた目覚ましが壊れていて、目が覚めたら8時を過ぎていたと言う、誰でも一度は経験がある話だろう。
遅刻しそうだった為に、慌てて着替え何とか遅刻せずにギリギリの時間に会社に付く時間だったために俺は会社に連絡せずそのまま家を出た。
ここからが何時もと全く違った日常だった。
家を出て、何時も朝会う近所の人に「おはようございます、今日もいい天気ですね」と、急ぎながらも挨拶するが、何故か誰も挨拶を返してくれなかった。
まぁ、誰もとは言っても2人なのだが、いつもなら「あれ?今日はいつもより遅い時間ですね、遅刻しないように」等くらいの声は返してくれる人の良い人達なのにだ。
けれども、俺は遅刻しそうな時間だったて事も有り、それを気にする事無く通り過ぎて行った。
駅に付き、急いで改札を通れば、電車に乗れそうだったために走って改札にICOCAを取り出し通ろうとするが、反対側に俺がいるにも関わらず相手は気にすることなく先に取り出したICOCAで通って行く。
文句の一つでも言ってやろうと思ったが、改札の上にある電光掲示板と時計の時間を確認すると文句を言う時間すら無いほどギリギリだった為に俺は無視して通り抜け、ホームに向かった。
ホームに着くと、電車が発射する直前だったので走って飛び乗った。
普通こう言うのを見れば誰か一人ぐらい、こちらを向いてもおかしくないのだが、誰も急いで電車に乗った俺に視線を向ける人は居なかった。
ほどなくして、目的地に付き俺は電車から降りようとするが、降りる人(俺)がいるにも関わらず、気にせず人が入って来たので俺はそれを慌ててよけ、入って来た奴に文句を言うが、相手は気にすることも無く無視しやがった。
かなりイライラしたが、このままここで揉めても会社に遅れそうだったのでそのまま立ち去り、会社に向かった。
会社に付き、自動ドアの前に立つが何故か自動ドアのセンサーが反応せずに開かず困惑していると、後から来た同じ部署の奴が来て、俺の横に立つと、自動ドアは何事も無かったように開いた。
俺はそいつと一緒にドアを潜り抜け、後から来た奴に話かけた。
「いや~、何故か俺がドアの前に立っても開かなくて困ってたんだよ、助かったわ。でも何で開かなかったんだろう?」
「…………」
何故か俺は、同じ部署の奴にまで無視されたのだ。
(俺は何かしたのだろうか? 今朝も近所の人に無視され、知らない奴にさえ無視され嫌がらせのような事をされたのだ。 何度思い出しても誰かにこんな事をされるような事になんて記憶に無いし、こんな事をされて喜ぶような変態でも俺は無い。)
俺が考え込んでいるうちに一緒になって並んでいたエレベーターが1階に付き、先に同僚が乗り込んだが、まるで通せん坊をするように入口にそのまま立ち、行き先を押して扉を閉めようとした。
俺は慌てて、外にあるエレベーターのボタンを押すが、その行動も虚しくボタンが反応することなく閉まってしまった。
それから何度もボタンを押すが、何故か俺が押すとボタンが反応しないので、仕方なく階段を駆け上がった。
仕事場に付き。さっきの奴に文句を言うが、今朝の近所の住民や、電車を降りたときに文句を言ってやった奴と同じく無視をされた。
俺が大声で叫んでいるにも関わらず、誰一人として俺の方に振り向く奴が居なかった。
これって、今更だが俺に対してのイジメなのだろうか?
こうなったら、仕事をしてこのムシャクシャした気持ちを忘れてやる!と思い自分の机に向かうと、俺の机の上には俺の私物が全て捨てられていて、ポツンと1つの花が挿された花瓶だけが置かれてたのだった。
これは何の冗談なのだろうか?と考えているとふと隣の机の上に有るデジタル時計が目に入り、目を向けるとその日ずけは何故か1週間も先に進んでいた。
俺の目線はその時計に釘付けになった後、周りを見渡すとたった1日しか過ぎていないにも関わらず、会社の中が所々変わっていたのである。
そんな時、隣の席から会話が聞こえた。
「それにしても、残念だよね。」
「そうだねぇ~、彼〇〇君だったか?彼はよく働いてくれていたのに部屋で過労死しているのを5日もたってから発見されたんだよね。」
「可哀想に、5日間も誰にも見つけてもらえなかったかったのだからね。」
「確かに、今まで無断欠勤所か、休むことも無かった彼が、無断欠勤したからおかしいとは思っていたんだけどね。」
「警察に連絡して調べてもらったが、亡くなってるとは誰も思わなかっただろう。」
「知ってるか?〇〇が過労死した事で会社の残業が多すぎた事も有り、部長クビになったらしいぞ。」
「マジか~、確かに彼亡くなる前の日結構顔色わるかったからねぇ~」
そんな会話が聞こえてきたために、俺は事実を知ったのだった。
みんなが俺を無視したのではない。俺が1週間も前に死んでいたからだ。
それなら、今こうして立っている俺は何なのだろう?
そう思うと急激に眠気が襲ってきて俺の意識は途絶えたのだった。